第12話




「やっぱこいつ強くね?」


「えー?あんたが弱いだけじゃないの?」


「どうやってこのボスに勝つんだよ」


「んーー?あー、これで勝つのは厳しいよ」


「マ?」


「マ」


「…やっぱバトロワとかFPS以外のゲームむずいわ」


「私からしたら良くそんなゲーム出来るなって思うけど」


「簡単だぞ?動いて銃構えて撃つだけ」


「言葉だけなら簡単そうだけどあれは無理」


「まぁ、それはさておき…うちってテレビとスマホでしかゲーム出来ないよな」


「そだね」


「パソコン欲しいな」


「あー、それは分かる。…買う?」


「高えからなぁ」


「まぁ…それでも、あったほうが楽な時ない?」


「あるな」


「買う?」


「…生活に支障が出ないようなら共用のパソコンって事で買うか」


「そうしよっか。それに、買うなら性能良いの買おっか」


「だな。よし、今週の土曜に買いに行こう」


「デートだね」


「そうだな。デート…か」


「お?楽しみなの?」


「いや…デートなんてしなくてもずっと一緒に居るって思ったけど言うのは流石にあれだなって」


「それ言ったら終わりだね。それにー、これからもずっと一緒なんだからねー」


「それは知ってる」


「……まぁ、いっか」


「ん?どうした?」


「いや…これからずっと一緒って遠回しになぁ、告白してるのに。結婚という」


「今更だろ」


「それもそっか」


「あぁ。…ん?どうした」


「いやー、もう完全に慣れたなぁーって」


「何にだ?」


「今の生活とあんたについて」


「あー、なるほどな。それを言うなら俺もだな」


「ねー。好きという気持ちは変わりないけど、なんか腐れ縁の時と同じ気分?」


「なんかその感覚は分かるな」


「あと、地味に禁欲続いてんのよね」


「凄えと思う。あの時のあのお前が禁欲するって言ってたが、絶対無理だなって思ってたからな」


「酷っーーい。…そろそろ解禁してもいいと思うんだけど」


「ダメだ」


「えー…いや、ここまで来たらどこまで我慢できるか試してみる」


「そうしとけ」


「そういやあんたは禁欲してたんだっけ?」


「あー、忘れたわ」


「…一人でしてるの?」


「いや、してねぇ」


「え?私見ても発情しないの?」


「言い方嫌だな……で、答えるなら。しねぇ」


「しないの?」


「あぁ。仮にバレた時どんな目に遭うか分かるか?」


「んー、私が揶揄う」


「だろ?ならする訳ねぇだろ」


「そっか」



「話少し変わるが、お前って最近甘えてこなくなったよな」


「急になに?」


「いや、前みたいに抱きついてきたりしてかなぁ事を思い出してな」


「あー、なんか前はほら…感情バグっていたというかなんていうか……そんなんあったけど、今はなんか恥ずかしいじゃん」


「はははっ、なるほどな」


「うん。いきなり抱きついてあんたの名前呼んで……うわぁ、今思うと何あれ。黒歴史よりも酷いじゃん」


「まぁ、俺が録画してなくてよかったな」


「ほんとね。もし、録画してたらその機器ごと破壊したわ」


「やめんか」


「冗談はさておき、もうあんな事は滅多にしないわ」


「滅多ってことはする時はあるんだな」


「…ストレスやばかった時とか、あんたに甘えたくなった時とかにね」


「後者はともかく、前者のストレスだが……何が原因になりそうか聞いていいか?」


「いいわよ?まず、大学。次にバイト、次にあんた、その他かしら」


「俺という存在がストレスの原因になっているのに俺に甘えるのか?」


「当たり前でしょ。ストレスになってしまうとはいえ、好きに変わりはないんだから。あくまで一時的にあんたに対してストレス溜まってイライラするってだけなんだから」


「あー、それを甘えることで解消するってことか?」


「そそ」


「まぁ…ストレス与えてる側だから何も言えねぇから、甘えたかったら甘えろよ?後日悶絶するくらい色んなことしてやるから」


「…悶絶じゃなくて殺意を覚えるかもね」


「おっと、それがあったな。それは恐ろしや、恐ろしや」


「まぁいいや。当分甘えることなんて無いと思うし」


「ストレスが少ないようで何よりだ」


「悲しくはないんだ。甘えてこないことに」


「まぁ、それはそれで少し悲しいが、ストレスが少ない方が嬉しいな」


「そっか」


「あぁ」




「あー、話変わるけどさぁ。あんたって毎朝私を起こす時に何かしてる?」


「ん?何かしてるって、何がだ?」


「なんか起きる直前になーんか、されてるような記憶がぼんやりもあるような、ないような…よく分かんないけど、なんかしてる?」


「いや?」


「……嘘ね」


「何を根拠に」


「目」


「…目?」


「目。少し、泳いだ。それに、別に隠さなくてもいいのよ?」


「…白状するか」


「あ、本当にしてたんだ。何してたの?あっ、待って。実践して?」


「実践?」


「そう。私が寝たふりするから、実際にどんなことをやってたのかやってみて?」


「…分かっ、た」


「よし。…んじゃー、はい」



「あー、寝てるお前を起こす前にな…まずこうやって、前髪を少しどけて、こうやって」


「っ……」


「次に、ほっぺたを手で撫でて」


「っっ…」


「最後に、ボソッと愛してるぞ緋奈…と言ってから起こす」


「〜〜!あぁ、もぉ……ずっる」


「ずっる、って…」


「だって、それ以外何があるのよ」


「…まぁ、あぁ…うん」


「まっ、でも寝てる私の体…顔?顔をあんなことしてたことは許さないけど?」


「え?」


「ふふふ…あら、こんなところにあんたが頑張って進めたゲームのデータがあるわね」


「ま、待て緋奈」


「これを削除しちゃおっかしら?」


「ほんとにやめろ。萎えるからな?それされるくらいならお前の命令一つ聞く方がマシだ」


「…なら、命令聞いてもらおっかしら?」


「まともなやつにしろよ?」


「んー、なんか買って来てもらおっかしら」


「高いのやめろよ?」


「また考えておくわ。それより、そろそろお風呂沸いてると思うけど?」


「あー、なら行くか」


「そうしよっか」




ーーオマケ



「っくぁぁぁ、あったけぇ」


「夏なのにあったかい?むしろ、暑いからいいって感じじゃないの?」


「まぁ、どっちでもいいじゃねぇか」


「そだねー」


「てか、今更だけど…もう互いの裸もどうでも良くなったなー」


「ねー。この一緒にお風呂入るやつも元はと言えば私の禁欲から始まったんだよね」


「そうだな」


「もう、私なんてあんたに胸見せようが下見せようがどうでもいいもん」


「前者に関してはねぇもんな」


「ぶっ殺すぞ」


「怖っ」


「ふんっ」


「ははっ、ごめんって。まっ、本当に誘ってこない限り俺も興奮しないしな」


「ねー。ふにゃってるし」


「…なんかイラつくな」


「ふふっ」


「ほれっ、仕返しだ」


「わっ!?服を着て抱きついてくるのはいいけど、流石に裸なんだし、抱きつくなら事前に言ってほしいんだけど」


「すまんな…にしても、これしても特に興奮はしないな。幸福感は感じるが」


「私もおんなじかな?…少し手の位置が物申したいけど」


「ん?移動させるぞ?」


「いや、別にここでいいんだけど…下腹部過ぎない?」


「ここが楽」


「そっ。もっと下にやってもいいのよ?」


「それは禁欲生活を終わらせることになるぞ?」


「それはダメね。うん、やめましょ」


「だな」


「…でも、触られたところでって感じも少しあるのよねー」


「それは最早感覚バグってんだろ」


「そうだね。まっ、それはさておき…ふわぁ…眠くなってきたわね」


「寝るなよ?まぁ、寝ても起こすが」


「…寝ようかしら」


「ダメだぞ。ほら、上がるか?」


「…ん」


「あらら、これはおねむさんだな。せめて、体拭いて服着てくれ。その後なら寝てもいいぞ。髪の毛乾かしてベットまで連れて行ってやるから」


「……ん」





「すぅ……すぅ…」



「疲れてたのか?それとも……どちらにせよ、おやすみ。緋奈」






ーー後書き


今日から12月2日まで18時にマイナス更新します。お楽しみに

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