番外 ハロウィン編



「ハッピーハロウィーン!!!へい、達也。トリックオアトリートォォ!!」


「…テンション間違ってねぇか?」


「ノンノン、間違ってない!」


「…普通、怖がらせにくるだろ。なんでそんなテンションマックスなんだよ。あと、もう一つツッコミたいんだけど」


「その前にトリックオアトリートの答えを聞かせて貰わなきゃ」


「…はいよ。飴ちゃん」


「わーい。………ハッカ味」


「露骨に落ち込むなよ。こっちだって準備したんだから」


「…まぁいいわ。それで?ツッコみたい事って何?」


「その衣装」


「これ?可愛い…くは、ないだろうけどいいでしょ」


「低コストにも程があるだろ」


「なによ!これの何が悪いのよ!」


「お前、白布に穴開けただけの低コストゴーストは文句も言うだろ!!」


「あーあ、言っちゃった。地味に面倒だったんだからねー?この布手に入れんの」


「近くで手に入るだろ」


「それをバレずにするのが一番大変なのよ」


「…そうかい。ハロウィン当日の今日。大学終わりで両方とも疲れてるはずなのにお前だけやけに元気そうだから確実に何か仕掛けてくるな…と思ってたんだが…来たのがそれでびっくりしたわ」


「あっ、ちなみにあんたのもあるわよ?」


「いらねぇわ!!」


「なっ、せっかく用意してあげたのに!ほら、ほーら!」


「あぁ?……なんだこれ」


「頭に嵌めたら、ほらフランケンシュタイン」


「ぶっ飛ばすぞ」


「あー!投げるなぁ!」


「アホかぁ!あれも、それも低コスト過ぎるだろ!」


「当たり前でしょ!?ハロウィンとかいうものに大きく金なんて使うわけないでしょ!あんたバカ?」


「てめぇがバカだろ。そんなもの用意して」


「あんただって飴ちゃん用意したじゃん」


「これは俺が自分で舐めるように買った物だ。何か仕掛けてくると思って用意したわけじゃない」


「……無駄な出費って私だけ?」


「今更気づいたのか。あほか?」


「死ね。……はぁ、疲れた。暑いからぺいっ」


「放り捨てんな。あと、お前死ねって言ったな」


「さぁ?…それより、はー…疲れた」


「ソファーにドスッと行くな。悪くなるだろ」


「今更でしょー?それよりさー、渋谷とかのあれ見よ」


「ニュースか?」


「うん。馬鹿達が大騒ぎしてるアレ」


「表現考えろ…ほれ、ポチッと」



「「…うわぁ」」



「えー、騒ぎすぎでしょ」


「同感だな。そもそも、ハロウィンって大人が仮装するやつじゃねぇよな」


「多分ね。私が知ってる本来のハロウィンって、子供がお化けとかの仮装してトリックオアトリートって言ってお菓子を貰うやつよね?」


「あぁ。でも、大人がただ騒ぐだけの

あれじゃあ」


「ただの仮装祭りだね」


「俺からしたら凄え時間の無駄遣いとしか思えん」


「それは人次第でしょー」


「いや…わざわざ時間をかけてあんな地味にクオリティ高い仮装作って、着て、街行って騒いで…時間の無駄遣い以外に何があるんだよ」


「ハロウィンアンチの方?」


「ハロウィンそのものは嫌ってない。ただ、やり過ぎなのもどうかというやつだ」


「なるほどねー。……騒ぎすぎて警察沙汰になるからね」


「だな」


「それにさー、わざわざあんな所行ってもどうせ人多くて満喫出来るわけがないと思ってるんだけど」


「それは俺も思うな」


「私だったら絶対に迷うし、はぐれる」


「俺もだな。…まぁ、行く相手は居ねぇし、仮に誘われたとしても行かん。あの波の中に入ったらストレスエグそう」


「私もね。……あっ、私が誘ってあげようか?」


「あの低コスト仮装を着るくらいなら行かん」


「結局行かないじゃん」


「おま、あんな仮装はむしろ恥だろ」


「恥!?そこまで言うの」


「言うだろ。ただの布に、フランケンシュタインの頭についてる謎の突起部分のみ…仮装という文字に当てはまることすら恥ずかしいわ」


「私がせっかく用意したのよ!?」


「……もういいわ」


「冷めてるなぁ〜」


「冷めるだろ」


「…あっ、そうだ。あんたもそれ付けて私にトリックオアトリートだけして?」


「なんでだよ」


「いいじゃん別に」


「…嫌な予感がするがまぁいいか。トリックオアトリート?」


「はい、お菓子」


「あんがとな。……黒蜜のど飴」


「いやー、別にお菓子持ってないフリして悪戯されても良かったんだけど、えっちな事されても困るから苦渋の決断の末、それあげることになった」


「そんな悪戯しねぇよ。したとしても、お前の料理に使う塩とかの分量変えるだけだ」


「中々えげつない悪戯じゃない!?」


「はははっ」


「…いや、否定してよ!」


「まっ、それは置いといて……って、なんだその手は」


「悪戯したい」


「直球過ぎんだろ」


「悪戯していい?」


「なんでだよ。ハロウィン関係なく悪戯したいだけだろ」


「そうだよ?何が悪いの?」


「こいつっ……」


「それに、私みたいな超絶美人に悪戯されるのは男からしたら喜ばしい事よね?」


「お前じゃなかったらな?あと、悪戯をする相手が俺じゃなかった場合な?」


「嫌なの?」


「嫌ではない。嫌ではないが、相手がお前だからどんな悪戯されるのか恐怖してる」


「大丈夫だってー。ちょっと髪の毛を縛るだけだから」


「地味に嫌なのやってくるな…」


「あっ、女装させるのもありね」


「ほんとにやめろよ?」


「私の服を着させて…あ、入らないか」


「そうだな」


「んー、でも悪戯したいしなぁ」


「やめんか。……ったく、デコピンとかでいいと思うけどな」


「あっ、それいいね。早くおでこ出しなさい」


「ちっ…はいよ」


「はぁぁぁ…せやっ!!」


「っ……?弱っ」


「っ!?」


「俺が本当のデコピンってものを見せて…いや、食らわせてやるよ」


「や…ちょっと、まっ!?」


「待たない。おぉらぁ!」


「っっ!!いったぁぁぁぁい!!!」



「…ふっ。いい気味だな」




ーーオマケ



「シクシクシク……達也に傷物にされた」


「言い方考えろ。処女のくせに」


「あっ」


「なんだ」


「童貞のくせに」


「童貞の何が悪いんだよ」


「べっつにー?」


「なんだよその言い方。言っとくけどな、卒業しようと思えばいつでも出来るんだぞ?」


「そんな相手いたの?教えて、教えてー」


「纏わりつくなカス。……で、知りたいのか?」


「カス言ったな?おい、こら。首絞めるぞ」


「お前の力じゃ無理だ。で、どうなんだ?知りたいのか?」


「非力って言ったな?……まぁ、知りたいっちゃ知りたいわね〜。なんたって、あんたの……なに?よく考えたら中々やばい発言ね」


「…まぁ、そうだな。いつでも出来るって…」


「で、誰なの?風俗とか?」


「アホか。テメェだよ」


「……………………え?」


「溜め長いな」


「な、な、な!?なんで私!?引く、普通に引くんだけど」


「お前…ちょっと考えたら分かるだろ」


「えー?うーん………あー、なるほどね」


「そうだ。まず、こうやって一緒に衣食住共にしてる時点でな。無理矢理襲うと思えば可能なんだよ」


「流石に襲ったらそうねぇ……抵抗するためにベットの近くに刃物でも置いとこうかしら」


「その前に襲うかアホ。言わなくても分かるだろ」


「当たり前じゃん。その辺分かってなかったら腐れ縁失格っての」


「だなー。まっ…特にこれといってやる事ねえけど、ハッピーハロウィン。緋奈」


「ふふっ、なにそれ。ハッピーハロウィン。

達也」







ーーオマケ無し


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