第9話
「ただまー」
「お帰りさーん。…目、死んでるなぁ。そんなに忙しかったのか?」
「…どちらかと言うと大学の方が疲れた。
はぁぁ、疲れた」
「お疲れさん。夕飯は出来てるが…食べるか?」
「ん、食べるー」
「あいよ。先に着替えてこい」
「うぃ〜」
◆
「「いただきます」」
「そういや、今日って金ローあったよね?」
「あー、確かあったな。名前は思い出せねぇが」
「他に何かみたいテレビとかある?なかったら見てみたいんだけど」
「別にいいぞー。ゲームしてると思うし、面白そうなら俺も見るし」
「りょ」
「話変わるけどさー、明日何しようか迷ってるから案出してくれ」
「んー……友達と遊んできたら?」
「無理。数日前ならまだしも前日に連絡取るのはなぁ?」
「あー、そっか」
「お前は明日遊びに行くんだろ?」
「そだよー。羨ましいでしょ」
「……いや、そんなにだな」
「そう?」
「あぁ。明日はお前が友達と遊びに行くから俺は一人だしな…ゲームするか」
「ごめんねー?折角付き合って最初の週末なのに」
「まぁ、それはそうだが……こんなこと言うのもなんだが、数日前のあの暴走期間に比べたらめちゃくちゃ落ち着いてきてるから嫌とは思わないんだよな。好き、と言う気持ちは変わらないが腐れ縁の時みたいな感じだな」
「それは私もそうなんだよねー。…数日前の私、実はもう一人の私だったんじゃないかと思ってるもん」
「ははっ、あれは確かにそうだな。好きしか言ってなかったよな」
「やめて?めちゃくちゃ恥ずかしいんだから…」
「録音しとけばよかったな」
「もぉ!明日友達にあんたの黒歴史暴露してくるから」
「ちょっ!?それはダメだろ!」
「なによ、あんたが悪いんでしょ?」
「よし。明日はゲームやめて家の掃除するか。全部の部屋を隅々まで、なぁ?」
「…それは」
「もちろんお前の部屋もな?」
「変態って罵ってあげる」
「彼氏だから許される。腐れ縁だったら変態だが、彼氏だからな」
「どっちでも同じでしょ!!」
「同じじゃねぇだ……ろ?うーん、どうなんだろうか。お前的にはどうなんだ?」
「変態、カス、死ね」
「思った数倍の返しありがとう。…まぁ、それはさておき…実際どうなんだ?」
「…なんとも言えないところねー。あんただからそう感じてるだけなのかもしれないし…でも、なんか嫌かな?」
「例えば?」
「別に私の部屋に入る事はいいのよ。でも、掃除となると…ねぇ。あと、掃除という名の名目で物色されたら普通にキレる」
「それは俺だって同じだ。…まぁ、特に見つかったらやばいものはねぇけどな」
「下着とか…漁らないでね?」
「するわけねぇだろ。馬鹿か?」
「少しくらいは迷いなさいよ!!私はあんたの彼女よね?だったら少しくらい迷うのが普通でしょ!」
「世の中の彼氏彼女がそうだとは限らんぞ。特にお前と俺の場合はな」
「…それもそうね。…それに、そんなの物色しなくても目の前に居るわよ?」
「そうだな」
「欲しいのならあげるわよ?」
「ほざけ。いらねぇよ、んなもん。って、食事中にどんな会話してんねん」
「今更でしょ?なんなら今までの中ならまだマシな方じゃない?」
「それもそうか。…あっ、そうそう。さっきの話の続きだけど、本当にいらないからな?」
「二度も言うな!!傷つくよー?」
「傷つけ」
「うわっ…DV男じゃん。物理的に攻撃してくるんじゃなくて精神的に攻撃してくるタイプだ」
「傷つけ、その後に甘やかしてやる」
「……ふむ。その話を詳しく聞かせてもらっても?」
「ワクワクしてんじゃねぇか。おい」
「だって、あんたが甘やかしてくるんでしょ?…良いじゃん」
「おい」
「…私はもう、自分の気持ちを隠さない。隠さない。…うん、取り敢えず私が手を伸ばしてもギリギリ届かないそこの飲み物貸して?」
「…はいよ。お前は自分の気持ちを隠さない…か。それは凄いと思うな」
「それって…この前、私が寝てる間にあんたが言ってたあれ?」
「……まぁ、な」
「別に私は、あんたがどんな奴でも嫌いにならないわよ?ねぇ、だからさー。あんたも正直になったら?」
「……」
「まず試しに私の体、好き放題したら?」
「…死ねよ」
「はぁ!?」
「っお前どうせ、それが目的なんだろ!!」
「…それもそうだけど!」
「おい」
「私は我慢せずにやろうと思ってるのに、あんたは我慢してばっかなのは嫌だから」
「そうか…まっ、我慢しなきゃな。仮に、その我慢をやめたら…明日遊べなくなるぞ?」
「っ!!それ、はどういう意味で?」
「さぁな」
「〜〜〜!!!…ちょっと友達にドタキャンの連絡してくる」
「やめんか!!」
「えぇー!でもさー」
「でもさ、もなにも…俺は何も言ってないぞ?ただ寝不足で起きられないかもしれないってだけかもしれんぞ?」
「……ぶち殺す」
「お前の勘違いだろ!」
「そうだけど、あんな言い方したあんたも悪い!」
「直ぐにその考え方が出てくるお前も大概だろ!」
「むっ…………この話終わり!!」
「…ちっ、まぁいいだろ。まっ、明日は楽しんでこいよ」
「もちろんよ」
ーーオマケ
「お土産いる?」
「いらねえ。そんなのに金使うくらいなら楽しむために使え」
「ん、分かった」
「遊ぶのなら全力で遊ばないと勿体無いからな」
「それもそうだね。…あっ!もしかしたら夜ご飯も友達と食べるかもしれない」
「そうなのか?なら、食べる時は連絡してくれ」
「うん、分かった」
「あー、朝はここで食べるんだよな?」
「そだよ」
「…そうかぁ。明日はもしかしたら俺だけになるのか」
「あっ、そうなるのか」
「…久しぶりな感じがするな」
「そう、だね?うん、久しぶりだと思う」
「なぁ、緋奈」
「ん?」
「ちょい来てくれないか?」
「どしたのー?…わっ。……どうしたの?」
「明日お前が居ないからな。こうやって緋奈成分を補充しとこうと思ってな」
「そんな口実作らなくても抱きついていいんだからね?」
「…バレたか」
「流石にねー。…ふふっ」
「ん?」
「あったかいなぁ、って思ったの」
「そうか」
「…だめ、もう離れたくない。このまま抱きついて、あんたの温もりを服越しでもいいから感じていたい」
「少し暑いくらいだけどな」
「それがいいのよね〜。………いえ、夏にこれは暑いわね」
「そうだな」
「……離してくれない?流石に暑くなってきたんだけど…」
「もう少しだけ、な?」
「…仕方ないわね。風呂上がりに熱々のお湯を飲むのならいいわよ」
「さて…俺も暑くなってきたな。ほれっ」
「…迷わず離したわね」
「そらそうだろ」
「もぉ…あー、そうだった。こいつはこんな奴だって事を忘れるな私」
「おい、こら」
「なに?やんの?」
「ぶっ飛ばしてやろうか?脳内ピンクちゃん」
「ほほぅ…いいでしょう。その喧嘩を買いましょうか?」
「望むところだ」
「「覚悟しろよ?」」
ーー後書き
ストック消えたので連続更新終了です。あと、あの暴走は強制的に落ち着かせました。
次の更新まで気長にお待ちください〜
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