第9.5話(裏)



「さて…あいつも行ったな。…っっ、あぁ…我ながらめちゃくそ恥ずかしいことしてしまったな」




「ほっぺたにキス、か……あいつが行ってきますのキスしてって言ってきたのが悪い。きっとそうだ……」




「顔があちぃ…あんな事を普通にするくらいには俺もあいつの事が好きなんだろうな」




「…緋奈いねぇしな。久しぶりに一人になったけど、静かで…寂しいものだな。この辺りも、もしかして好きになってしまったせいなのか?」




「はぁ……ねみぃ。少し寝るとするか」




「あー、そうだ。…ベットの方で寝るか。緋奈には悪いが…たまにはベットで寝させて欲しいしな」








「…いつもはここに緋奈が寝ててるのか、っていつも起こしに行ってるだろってんだ。さて、寝るか。あー、アラームだけ設定しとかねぇと」




「……あー、やっばいな。洗ったのはこの前だから緋奈の匂いがするなぁ。寝れんのか?俺…これ、マジで寝れんのか?」




「…いや、まぁ…大丈夫か。いうて慣れてるし、それに…あいつの前じゃ絶対言えないが安心できるしな」




「安心…安心だな。心が落ち着く匂い…はぁ、なんて小っ恥ずかしい事言ってんだ。絶対あいつの前じゃ言えないな。揶揄われるし…そのまま誘惑してきやがる。あいつ…今まで彼氏とか居たことも、そういう噂も哀れなことに無かったから性欲溜まってるんだろうな。そのせいだろうな……俺も大変なんだよ。あいつの……あいつがあんな事を言ってきたら俺だって…したくなるだろ」




「……………今日は土曜。明日休みだし……あいつの願い事でも叶えてやるか。よいしょっと」






「っ……買ってしまった。あと、高かった」




「か、買っても使わなかったらいいだけ。若干後悔してるし…さて、これは隠して寝るか」




zZZ





「ーーて、ーーてってば!ねぇー!達也ぁ」


「ん………んぁ?」


「やっと起きた。もぉ、心配したんだからね?」


「……あー、緋奈か。どした?」


「っどした、って呑気にねぇ。私が帰ってきてからずーーと、寝てたのよ?私が帰ってきて4時間くらいは寝てたわよ?」


「…今何時だ?」


「夜の10時」


「はぁ!?…アラーム……あ、かかってねぇ」


「いつから寝てたの?」


「朝の11時くらいか?」


「っ11時間も寝てたの?」


「らしいな…」


「疲れてるんじゃないの?あんたがそこまで熟睡するなんて」


「違う…いや、そうかもな」


「ん?違うって?」


「…なんでもない」


「ねぇ、気になるじゃん。全然起きてくる気配なくて心配だったんだから教えてよ」


「…多分だ。これは推測だが、お前の匂いだろうな」


「へ?」


「……もう何も言わない」


「私の匂い……あれ?なんか包まれてる感じがして安心する的な?」


「……」


「あれ、まじ?〜〜〜!!!あぁ、もぉ…ずるいって」


「何がだよ…こちとら恥ずかしくて死にそうなんだよ」


「そうじゃなくて……ねぇ、達也。抱きついていい?」


「…まぁ、いいぞ」


「やった。えいっ」


「うぐ…少しは加減というものを


「…あっ、寝起きだから?当たってるよ」


「仕方ないだろ。……緋奈」


「なぁーに?」


「好きだ」


「ふぁ」


「これだけを伝えたかった」


「うん。嬉しいっ…達也、達也っ」


「ん?」


「私もっ、達也の事が大好き!」


「ははっ、嬉しいな」


「だから」


「?」





「…お、おい。緋奈」


「黙って…」


「どこにそんな力があるんだよ…俺を、押し倒すなんて」


「ねぇ、達也」


「……」


「明日は、休みよね?」


「そうだな」


「…シよ?」


「俺…腹が減ってるんだが」


「そんなの忘れちゃうから」


「寝起きなんだが」


「関係ない」


「それに」


「逃げないで」


「っ…」


「逃げないで達也…お願い」


「……分かった」


「ふふっ」


「なぁ……お前、マジで……少しは遠慮というというものをな?」


「なによ。好きなことに遠慮したらダメなの?」


「好きなことって…一回もしたことないだろ」


「その一回目が、今日になるんだよ?」


「……本当にするのか?」


「しつこいよ。ねぇ、ほんとに」


「…いや、あぁ…なんでもねぇ。覚悟を決めるか」


「うん。さっさと覚悟を決める方がいいよ?って、なんか私が悪者みたいになるじゃん」


「そうだろ」


「即答!?」


「お前…今の状況見て否定の言葉、言えんのか」


「……NO」


「おい、こら」


「だってー、いつまでもあんたが逃げるから」


「逃げるたって1ヶ月も経ってねぇだろ!約1週間しか!」


「その1週間は私にとって長かった」


「嘘つけ!この前、あぁ…明日金曜か。早いなぁ…って言ってたじゃねぇか」


「それはなし」


「なにがだよ!」


「むぅ、それよりねぇ、覚悟を決めたのなら…本当にやるけど?私は」


「っ……ちっ、はぁ」


「今の舌打ちいる?」


「うるさい。…ったく、わぁったよ。なぁ、緋奈」


「なぁに?」


「覚悟しとけよ。今日のことは色んな意味で忘れねぇからな?」


「なに、仕返しでもすんの?」


「こちとら寝起きプラス腹減ってんだ、そんな状態でやるんだぞ?違う何かで仕返しするからな」


「…なんか怖いんだけど」


「まぁ、それはさておき……っおらぁ!」


「わぁぁ!?…っ、あれ。なんで私が」


「押し倒される側の気分はどうだ?」


「…ノーコメント」


「さて…と、ムードとかゴミ箱に捨てたんじゃねぇかと思ってしまいそうな雰囲気だが…緋奈」


「ひゃ、ひゃい…」


「覚悟しろよ?」


「わ、私だって同じセリフを返してやるわよ!」


「ほう、そうか。やれるもんならやってみろ」


「上等よ!!」








ーーオマケは無し

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