第5話

第4.5話を見ずにこの話を見る人へ、

一応これは時間的には翌日の話となります。

1時間前に4.5話を投稿しておりますのでご注意を…



ーー本編










「…んんっ…んぁ?あー、朝か。時間は…って、なんで床で寝て、うぉっ!?なんで緋奈と手を繋いで、って頭痛ったぁぁ!!?」


「んん…うるさいなぁ…なんの騒ぎ、って…なーんで私床で寝て、なんであんたと手繋いでんのよ、しかもご丁寧に指まで絡めて」


「おおぉ……起きたか、緋奈。俺もよく分からん…」


「…あんた、死にそうな顔してるわよって、いたたた、やっぱり二日酔いね…いつもなら最悪の気分なのに今回は不思議と悪くはないわね」


「そうなんか?」


「それより、いつまで手を握ってるの?指まで絡ましてるから私が離しても無理なんだけど」


「おっとすまん…」


「それにしてもあんたの手って案外大きいのね」


「そうか?まぁ、男だから?…んなことより、まずは顔洗いに行ってくる」


「私も行くわよ」


「うい」






「っぁああ、ようやく終わったな」


「そうね…意外と大変だったわ」


「…てめぇ何もしてないだろ」


「したよ!!飲んだビールとかをゴミ袋に入れた!」


「入れただけな!?その後ゴミ出し行ったの俺だぞ!お前、見てわかるけどさ、さっきまで何してた」


「お風呂行ってました」


「貴様…ちょっとこっちこい」


「何をするつもりだ」


「罰だ、おでこ出せ」


「はっ!デコピンだな!やだっ!あんたのデコピンほんとっに痛いんだからね!」


「罰には丁度いいだろ。デコピンか、腕にしっぺか、ほっぺたを思いっきり抓る、どれがいい」


「…しっぺで」


「分かった、腕出せ」


「はい…」


「…せいやっと!!」


「ぃっったぁぁぁい!!!!?」


「…少し衰えたか?もう少し威力出せたと思ったが」


「もう嫌…あれ以上の威力とか私を殺す気?」


「貧弱すぎんだろ……さて、まぁ罰は終わりとして、こっち来い」


「…痛いことしない?」


「しない」


「信用するからね」


「おう」


「よいしょ…と、何するつもり?」


「髪の毛、乾かしてないだろ?」


「…もしかして、乾かそうとしてくれてる?」


「おう、いいよな?」


「うん…ありがとっ」


「風邪ひかれたら困るからな…」


「心配してくれてるの?」


「そうだが?」


「…うん、そういうところは正直なのは好ましいけどさぁ…」


「なんだ?」


「…なーんでも。それよりさ、今日は何する?」


「だらっとしようぜ」


「だねー、体も正直なところ動きたくないよー、って言ってるし」


「そうだな。前やるから熱かったら言えよ」


「あい。…明日からまた学校なのが嫌」


「…それはもう、仕方ないだろうな」


「…嫌だなぁ〜」


「おう、頭を預けてくんなや」


「もう乾いてるからいいでしょ」


「そうだけどさ。…危うく手元が狂いそうになったぞ」


「やめてよね、火傷させるのだけは」


「火傷したらお前が原因だけどな……なぁ、お前さぁ、ほんと…まぁ、いいわ」


「…一人で完結させないで?なによ」


「胸見えてんぞーって」


「え?……別に見られてもねぇ」


「そうだな。ないからな」


「あるわよ!!ちょっと!」


「ちょっとだけだろ」


「それならいいわ」


「なにがだよ。…お前のその辺りの境目がまったく分からん」


「嘘を言ったらそれは怒るでしょ?」


「事実だと思うけどなぁ」


「…このままあんたの喉元を噛みちぎってやってもいいのよ?」


「それするなら今すぐ首絞めぞ」


「首絞め…ちょっとだけ興味あるのよねぇ」


「…例えお前がどんな性癖を持ってたとしても俺は見捨てねぇからな」


「違うわよ!!性癖じゃなくて興味!」


「…興味から性癖に変わりそうだけどな。…よし、終わったぞ」


「ありがと。…丁度終わったし、やってみてよ。軽くでいいから」


「…嫌だ」


「なんでよ」


「例え軽く首を絞めると言っても、俺は嫌だ。…お前の命を握るような事はしたくない」


「…ふ〜ん、命を握るねぇ。今の状態も同じだと思うけど…それに、割と本当にあんたになら私の命、預けられるわ」


「分かってんのか。その言葉の意味を」


「えぇ」


「…いや、プロポーズだぞ」


「あっ」


「気づいてなかったんかい」


「…今の無しって事で」


「そうかい。…取り敢えず、ごめんなさいな」


「は?ぶち殺すわよ、そこは恥ずかしがってオーケーするところでしょ」


「…して欲しいか?欲しいのなら普通にするぞ」


「…じゃあ、それじゃなくて一回だけ首絞めてよぉ。なんなら添えるだけでいいから」


「…中々言ってる事やべぇな。…でも、添えるだけならいいぞ。力を込めるとなると怖いから、な…」


「……お願い」


「…添えるだけ。…こうか?」


「あっ……これはふふっ、いいわね」


「…どう言う感想だよ」


「さぁ?でも、なんていうか…心が踊るって言うか、高揚感かしら?…そんなのが感じるの。それに、めっちゃ小っ恥ずかしい事言うとね、あんたに私の体だけじゃなくて命まで拘束されている感じに思えてドキドキするの」


「…お前…あぁ、そうかい。なら、もっとドキドキさせてやろうか?」


「ん?…わっ………ん」


「俺もめっちゃ恥ずかしいのを我慢してるけどさ…こうやって、後ろから…抱きつく?まぁ、ぎゅってされたらどうなんだよ。心臓が爆発するんじゃねぇのか?」


「…ほんとに、私ったらどうしたのかしら」


「ん?」


「今のこの状況がとっても、とっても…今まで味わったことも感じたことすらないほどに…今のこれがとっても、嬉しいの」


「っ…飲んだ酒に毒でも入ってたんじゃねぇのか?」


「…だとしたら、その毒は私を苦しめる毒であったとしても、飲んで良かった毒だったわ…だって、こんなにも胸が高鳴って、高鳴って」


「なぁ、緋奈。実はなぁ、俺も凄く今の状況が嬉しい…のか?…そうだ、嬉しいんだよ」


「…」


「なぁ、緋奈。この気持ちは…きっと……いや」


「そうね……ねぇ、達也」


「ん?」


「今夜、答え合わせしましょ。この気持ちについて」


「…そうだな」


「「……」」








ーーオマケ



「……達也」


「お、おう。なんだ?」


「声震えてるわよ」


「…なんだよ」


「私、今夜が待ち遠しいわ」


「そうかよ」


「でも、明日が学校ということを思い出したら嫌になってくる」


「…あのなぁ。…人間何しようが時間は絶対に進んでくんだよ。嫌だ嫌だ〜言ってても、その間時間は進んでくから時間を無駄にしてるだけなんだよ」


「急にどうしたの?」


「さぁ?時間を無駄にするなってこった」


「…そうね。限られた時間の中でどれだけ自分が望むような生き方を出来るのか。それが人間に与えられた使命だと思うの」


「それはそうだな」


「それはそうとして…私、ずっとこうされていたのだけど」


「…休みとはいえやる事はあるぞ?」


「…むぅ」


「我慢しとけ。……分かる、か?」


「…なるほどね。分かったわ」


「……動けやあほ」


「もう少しだけ…」


「……あいよ」












ーーー


…うん。

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