第4話





※『』があります。これは「達也」と「緋奈」以外の人物が喋った時に使いますのでご注意を。


ーー














「達也、今日出かけない?」


「ん?急だな」


「だめ?」


「んー、まぁいいぞ。外に出るのは良いことだからな」


「じゃあデートの準備するねー」


「おう」









「お待たせっ」


「お、似合ってるな」


「ふふっ、ありがとっ」


「んじゃ…何処行くのか知らんけど行くか」


「今日はね、ここから車で10分だったかな?その辺りにあるスイーツ店で新作が出たからそれを食べに行く」


「車か」


「私が運転するよ?」


「ナビで行くなら俺が運転するぞ?」


「ならお願い」


「はいよ」








「車って買った時は高いっ…ってなったけど、今はもうめっちゃ便利だよね」


「そうだな。こうやって遠いところに行けたらできるからな」


「ねっ。それにしても、車で何処かに行くのって久しぶりじゃない?」


「あー、たしかにそうだな…最近の休みは家でゆっくりするか、歩いて何処かに出かけるかしかなかったからな」


「そうだね」


「少し汚れているな……どっかで洗車するか」


「うちのアパートは洗えないもんね」


「そうだな。この車以外にも一台だけ車があるからな」


「比較的新しくて綺麗で、広いアパートだからどーしても他の人が住んじゃうよね。…って言っても、二つ隣に住んでるご夫婦のみだけど」


「あの人たちか。…優しい人たちなんだよなー」


「うん、見た目的には私たちより少し年上な感じなのに」


「20代か、30代前半か…あんまり考えないようにしとくか」


「だね。…にしても、私たちが住んでるアパートって、あのご夫婦のみだよね。他にも居住者来ればいいのにね」


「場所とか値段もあるんじゃねぇのか?いかに新しいアパートとは言え、駅までは少し遠いし…何より普通に高いからな。それだったらマンションとかの方が良いって言う人が多いんじゃないのか?」


「あー、そっか。高いもんね…二人でお金を出したからそんなに?って感じだったけど、一人だったら…結構お高い」


「間違いない。…まっ、でもそのお陰か知らんが静かでいいがな」


「あのアパート、結構防音性あるけどね」


「まぁ、そうだな」


「だからいくら騒いでも怒られないね」


「…騒ぐと言っても酔ってる時だけだろ」


「それはそう。…久しぶりに今日飲む?」


「土曜だしな…よしっ、飲むか」


「わーい!じゃあ、帰りにスーパー寄って買ってかないとね」


「明日は二日酔いだな」


「一緒に苦しも?」


「字面だけなら嫌なお誘いだが…二日酔いによる苦しみだからな。喜んで苦しもう」


「…ドM?」


「お前…めちゃくちゃキツイ酒飲ますぞ」


「やめて?普通に酔っちゃうし、飲めないお思うから」


「しかもなー、俺たちの悪いところは酔っていた時の記憶がほとんど無くなる所なんだよな」


「でも、他人に迷惑をかける事はしてないからセーフだよね」


「…多分な。酔ってる時に何言ってたのかも忘れてるからな」


「ねー」


「…今日、カメラでも置いとくか?」


「ありありのあり」


「よし、そうしよう。俺のスマホでいいか?」


「んー、私のでいい?」


「別にいいぞ」


「あざす丸」


「うぃ〜」


「うぃぃー」











「ここか」


「そだよ。さっ、見たところお客さんも少ないし行こっか」


「だな」





『こちら新作スイーツはカップル限定となっております』


「え…」


「あ、そうだったんだ」


「そうだったんだって…おいっ、緋奈。どうすんだよ」


「そんなの決まってるわよ」


『あの…お客様?』


「じゃあ、そのスイーツを二つお願いします。あっ、ちゃんと付き合ってます。…あと、同棲も親に内緒で…」


「あ、おい。それは…」


『ふふっ、仲がいいお二人ですね。…っとと、ではカップル限定スイーツパフェを二つお持ちします』





「…いや、お前…嘘うまいな」


「その褒め方なんか嫌だわ」


「にしても、咄嗟によく出たな…」


「スイーツのためよ。それに、半分本当だし」


「そうだな。親には内緒だしな」


「…いつかバレるのかしら」


「その話はやめよう。実現する」


「そ、そうね…」



『お待たせしました!限定スイーツパフェ、四季の彩りとなっております』


「「おぉ……」」


『では、ごゆっくりどうぞ!』



「めっちゃ美味そうだな」


「うん…写真、写真っ」


「…こういう所は一般的な女子だな、ほんと」


「パシャリと……で、喧嘩売ってるの?」


「なんでそうなるんだよ…」


「だって、こういうところでは一般的なって言ったでしょ?じゃあ、こういうところ以外は一般的な女子じゃないってことよね?」


「…? 事実だろ」


「…家に帰ったら覚えておきなさいよ。先にあんたを酔いつぶしてあげるわ」


「はっ、上等だ。……さて、そろそろ食べようか」


「そだね。それじゃ」


「「いただきます」」




◆◆◆




「…めっちゃ美味しかったな」


「…うん。果物も甘くて、クリームとかもたっぷりあって……食べれてよかった」


「少し多かったが…」


「そう?私はまだ食べれるわよ」


「夕飯食えねぇぞ」


「それは嫌」


「そうか。…さて、もういいのか?他に寄りたいところは?」


「んーー、久しぶりのデートだし…もっと楽しまない?」


「それもそうだな。帰りにスーパー寄って色々買うか。…あー、どこか行く前に洗車だけしていいか?」


「いいよー」


「あんがとさん」








「…洗車中ってさ、うるさいよねー」


「え?」


「洗車中ってさ、うるさいよねー!」


「あぁ…そうだな。って、近い近い」


「大きい声出すの大変だから」


「…そういうことか。急に距離詰めるからびっくりしたぞ」


「今更?たまに…っていうか、よく詰めない?」


「おう、俺が喧嘩売った時によくな」


「それは達也が悪い」


「五分くらいでな…残りの五分はお前だからな?」


「そうかしら?…まぁ、その話は今夜にでもして、絶対洗車中の車内でさ…えっちな事したことある人居るよね」


「急にどうした?」


「ん、気になっただけ」


「…まぁでも、居るだろうな。こんなにうるさいし、前後左右はブラシとかで見えないからな」


「ね。…やってみる?」


「はぁ?断る」


「失礼ねー、少しは迷いなさいよ。殺すわよ」


「理不尽っ…」


「まぁ、えっちな事と言ってもパッと思い浮かぶのはキスとかハグとか…その辺?」


「俺もだな…ほかに何がある?」


「さぁ?思いつかないわ。…あっ、話変わるけどこんな賭けしない?」


「賭け?」


「そう。洗車が終わるまで互いに目を合わせて先に背けた方が、今日の買い物代出す。勝負が終わらなかったら引き分けで互いに出す」


「ほぅ…面白そうじゃねぇか」


「よし、やろっ!」


「いいだろう」


「じゃあ」


「「始め!!」」



「「……」」




「…なぁ、一つ思ったが勝負つくのか?」


「さぁ?」


「……お前、目綺麗だよなー」


「その手に乗らない」


「ちっ……今俺たちがやってること、はたからみたら絶対にやばいよな」


「洗車が終わるまでだから誰にも見られないわ」


「…絶対に目は背けんぞ?」


「私だって」


「「……」」



「あ、後ろに虫いるぞ」


「っ!…!そ、その手には乗らないわよ。あんたの方こそ頭の上に蜘蛛居るわよ」


「分かりやすすぎだろ。…緋奈」


「っ名前呼び。何かしら?達也」


「…負けてくれ」


「ここに来てそれ!?負けないわよ!!…これならどうかしら?達也、達也?愛してるわよ」


「…感情が込もってない」


「は?…っ、あ……あ、い…好き、よ?」


「めっちゃドキッとしたが…残念、時間切れのようだ」


「え…」


「洗車が終わりを迎えます。と言うことで、仲良くお金を出し合いましょうか」


「わ、私が恥ずかしい思いをしただけじゃない!!」


「自爆だろ」


「…ちゃんと感情込めたのに、達也も私に感情込めながら愛の言葉を伝えなさいよ!」


「なんでだよ!」


「私だけが恥ずかしい思いをするのは嫌だからよ!!」


「…っ、いいだろう。恥ずかしくなって顔を背けんなよ?」


「上等よ。…って、急に顔を近づけて何を」


「愛してるぞ、緋奈」


「ひゃぁ!!?耳元でボソッと囁くように言わないでよ!!」


「いや…ちゃんとやったぞ?」


「なんか私が思ってたのと違うのよ!!」


「えぇ……それより、感想を教えてくれ」


「…久しぶりにゾクっとしたわ」


「そりゃ、ひゃぁーーなんて言ってたからな。ひやぁー」


「…覚えておきなさい」


「ドキドキはしたか?」


「……ちょっとだけ」


「ちょっとだけか…心臓が爆発するくらいドキドキさせたかったが」


「あんたにはしないわよ!…それより、戦車も終わったんだから、スーパーに行きましょ」


「あれ?どこかで楽しむんじゃなかったのか?」


「そんな気分じゃなくなったわ……」


「そうか…さて、じゃあスーパーに行って色々買うか」


「そうね、たくさん買いましょ」


「…二人で金出すんだからな?」


「えぇ、ちゃんと覚えているから」


「おつまみも買わないな…久しぶりに飲むんだ」


「楽しまないとね」


「そうだな。よしっ、出発!」


「いぇーい」








ーーオマケ




「これなんてどうかしら?」


「ん?ほろ酔いか、まぁいいんじゃねぇのか?」


「達也は何にするの?」


「俺なー、サッポロさんにするわ」


「そう。…一本だけ度数高いの買わない?」


「…飲めんのか?俺は飲める気がせんぞ」


「あれよ、水割りとかコーラ割りとかするやつ」


「あぁ、そっち系か。…買ってみるか」


「飲んだことないからどんな味なのか気になるわ…」


「つまみも忘れんなよ?」


「もちろんよ」


「何がいい?作る予定だが……まぁ、最悪何か買うが…」


「そうね、取り敢えず夕飯兼飲みだから…」


「そうだな……まっ、適当に作るわ」


「頼むわ」


「任せとけ。腕によりをかけて作ってやんよ」


「頼もしい〜」







『ーー点、合わせて6700円となります』


「「……」」




『ありがとうございましたー』




「「…」」


「思ったより高くなったな」


「えぇ…」


「…最近、出費が激しい気がするな」


「節約しなきゃいけないわね」


「だな…」


「「……」」



「よしっ!こんな気持ちは忘れて家帰ってゆっくりして、飯作って飲んで騒ぐか!!」


「えぇ!そうしましょ、こんな気持ちは全て忘れましょ!」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る