除霊開始
特殊清掃は速やかに行われ、外観は普通の学校のように戻った。
しかしこびり付いた血は洗い流されても、こびり付いた怨念は剥がれない。
これを剥がすのは送琉のシゴトである。
きぃんこぉんかぁんこぉん
昇降口に入るなり突如として鳴り響くチャイム。
既に電力会社は供給していないことは確認済みだ。
すわどこかからの盗電かと疑うが、送琉にはわかっている。
これは霊力による怪奇現象だ。
「セェイッ!」
床を大きく踏みしめ、送琉が気を放出する。
先ほどまで昇降口に立ち込めていた陰鬱な気が一気に晴れ渡った。
神仏すら見放したこの土地でも、送琉は怯まない。
そのままスピーカーへ向けて光弾を放つ。
程なくして、スピーカーから絶叫が響き渡った。
「なにっ、光が逆流して……ギィヤアァァァァ!」
その絶叫を最後に二度と放送が行われることは無くなった。
どうやら放送機器にうっかり取り憑いていた幽霊は今の光弾ですべて強制成仏できたようだ。
けれど送琉の第六感は未だ怨霊の気配を感じ取っている。
「そ、そんなのありかっ!?」
怨霊の声だ。
送琉は声のした方をぎろりと睨みつける。
「むざむざ姿を現したか」
言いながら、送琉は気を高める。
その気を受けながらも怨霊は存在を保っている。
以外にも強い怨霊のようだ。
「おかしいだろ!仕組みを考えても、スピーカーから逆流するわけがない!」
生前は科学に精通していた怨霊なのだろうか。
今の除霊をおかしいと思って飛び出してきたのだろう。
しかし送琉はその主張を鼻で笑い飛ばす。
そのまま、怨霊を素手で殴って成仏させた。
「非科学の権化が科学を語るな」
その通りである。
怨霊など科学からはもっとも離れた存在。
ゆえにスピーカーから霊力が逆流してもおかしくは無いのだ。
送琉はそのまま、一階の除霊を開始した。
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