☽ 4 At night 〜夜間〜
☽
学校が終わり、日が暮れ、夜も更けた十時頃。
もうそろそろ
手のひらで握れるくらいの大きさで、首から掛けられるように
幸は目を閉じて、その三番目のボタンを押して、胸にその「機械」を
少し経って目を開けると、幸は別の場所へと
慣れた様子で、幸は右脇のボタンを押した。すると、彼女のすぐ右隣で扉がひとりでに開いた。その奥には真っ白なワイシャツと灰色のスカート、そして、茶色の革靴が
幸は「制服」に身を包むと、今度は左脇のボタンを押した。同じように、彼女の左隣が開く。そこには白い布で包まれた「何か」が保管されていて、幸は「それ」をそっと手にすると
すぐ外には大きなロビーがあった。そこには幸と同じ制服――男性はズボンだが――を来た人々が大勢いて、その中心に複数ある一人用エレベーターに次々乗り込んでいった。
「
すれ違う人達に返事をしながら、幸もエレベーターに乗り込む。
数秒後、上の階に到着した。たどり着いた先も円形のロビーになっていて、壁には無数の扉が設置されていた。
迷わず、幸は十二時の方向の扉へと向かっていった。
「おはよう、ゆき」
「あ、おはようございます、リーダー」
その途中、背が高く、灰色の髪と青い瞳をした、いかにも厳しそうな異国の男とすれ違う。
リーダーと呼ばれたその男はにっこり笑うと、立ち止まった幸の頭を優しくなでた。怖そうに見えて、実は優しいところがあるのだ。……ちなみに、厳しいのは事実だ。
「朝はちょっと調子が悪かったと
幸は笑ってみせると、大きくうなずいた。リーダーの口にした「
「じゃあ、早速やってもらおうかな。 今日は十二歳の少年の〔
幸は「分かりました」とうなずいてみせると、リーダーに頭を下げてからまた歩き出した。そして、扉の向こうへと足を踏み入れた。
そこには横になった複数のカプセルが円形に置かれていた。そのカプセルには制御が必要のため、複数の人々が壁際に設置されたパソコンを操作するのに行き来していた。
ほとんどのカプセルが一つずつで孤立しているなか、一機だけ二つが繋がり隣同士になっているものがあった。そのすぐそばに聖弥が立っていた。幸は人々を避けながら、彼の元へ向かった。
聖弥がカプセルの横に置かれたパネルを操作して、カプセルを開ける。
カプセルは人が足を伸ばしてぎりぎり横になれるくらいの大きさだった。だが、それは二人用のため、狭いがダブルベッドのように何とか二人が寝られるようになっていた。
「行くぞ」
幸が目の前にたどり着いたのを確認して、聖弥が声を掛けると、カプセルの中に入り、横になった。
顔を少し赤らめると、幸はその隣に入る。……これだけはいつまで経っても慣れない。距離が近すぎるのでさすがに少し恥ずかしいのだ。
早鐘を打とうとする心臓を何とか
――その時、ピピと電子音が鳴った。
合図だ。幸はそのまま意識を手放した。
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