第32話 百獣討伐者

 セキは引き裂かれていた二種ふたりとワッツの亡骸を近くに見えていた丘の上へと運んでいる。

 一種ひとりで一度に運ぶには雑な扱いをする必要があるため一種ひとり一種ひとり丁寧に抱きかかえながら往復していた。

 血の匂いを嗅ぎつけて魔獣が集まることも想定していたが東大陸ヒュートにおいて、火眼獣ヘルハウンドの脅威はひとだけに留まらず魔獣にも同様の脅威となっていたため匂いが色濃く残る付近に魔獣が近寄ってくることもない様子であった。


「大したもんだの。自分の死に際の言葉が全て大切な誰かを想った言葉ばかりとはの……」

「ああ……。どうして、ああいう気のいいひとたちから死んでいくんだろうな……しょうもないやつはしぶといってのに」


 しょうもないやつとは誰を指しているのか。カグツチは言葉の意味を理解するも何も言わなかった。セキもそれ以上は何も言わず丘の上の大木へ歩みを進めていく――


「半精霊体なのに無理言ってすまないな」

「いや、気にすることはない。まぁ欲を言えば移し火ではなく全て我の炎で包んでやりたかったがの……」

「いや、そもそもおれが放出系魔術ができないのも問題だしな……」


 セキとカグツチは大木の根元に着き穴を掘ると故郷の弔い方法である亡骸の火葬を行う。セキがぎりぎり放出できる手の平からの炎、そしてカグツチが吐き出すことができる蝋燭の灯のような浄炎で三種さんにんの亡骸を包み込んだ枯れ木にその炎を燃え移らせるという形で行っていた。


「ここなら……見晴らしもそんなに悪くないだろ。ティック村も見えるしな」

「そうだの。穴も深く掘ったし魔獣が掘り返すこともないだろうしの」


 三種さんにんの骨を土で埋めるとその上に墓標として『鎚』、『杖』、『盾』を刺しセキとカグツチは目を瞑り祈りを捧げる。

 組んだセキの指は自身の手を締め付けるかのように力がこもり、筆舌に尽くしがたい悲しみの気持ちは祈りの最中でもセキの脳裏から離れることはなかった。


「すまないね。三種さんにんの級証はちょっともらっていくよ……村を救う大仕事を終えたんだ。ゆっくり休んでな」

「見事な最後だった。後のことはセキが受け持つゆえ安心して眠れ……」


 片膝をついて祈りを捧げていたセキがゆっくりと立ち上がる。やりきれない思いは心の中に渦巻いていたとしても最後に頼まれた思いを無下にすることはできない。


「それじゃワッツたちの心残りを片付けに行ってくるよ。またな」


 別れの言葉を告げると墓標に背を向けティック村に向かって歩き始めた。


◇◆

 ティック村に向かう途中で放置していた火眼獣ヘルハウンドの躯の元に向かう。

 一般的な魔獣の場合、魔力の凝縮が発生した後にほぼ全てが自然魔力ナトラの流れに還るため躯が残るということはない。

 残るとすればその魔獣の象徴的な部位のみである。その残った部位も弱い魔獣ではもって数日。

 セキが今朝切り捨ててきた巨鼠ジャイアントラットの尻尾も数日すれば自然魔力ナトラの流れに還るだろう。

 しかし火眼獣ヘルハウンドは百獣と呼ばれるだけあってその死体は魔力の凝縮が発生し体躯サイズは縮んでもその姿を残していた。

 躯を担ぎながら歩いているとすっかり辺りも暗闇に包まれていく。

 仄かに見える魔具灯の明かりを頼りにたどり着くと村の喧騒が響いていた。


「ワッツたち……もう夜光石の時間帯だってのにまだ帰ってこねえ……」

「もう準備もできたっていうのに……」


 村種むらびとたちが話している内容はワッツたちの安否だった。セキは様子を聞くため躯を担いだまま村の入口へと近寄っていく。

 だが、ここまでのように努めて明るく話しかけることはできなかった。


「あの……遅い時間にすいません……」


 セキが村の入口にいる老種ろうじんたちに声をかける。

 日中と同様に探求士と伝わる見た目のためこの時間に村外からくることも不審に思われないことはセキにとって幸運だった。

 へたに警戒されてワッツたちの願いを伝えられなくなる状況は避けたいという思いからである。


「お、おお……探求士の方かい? 今はこの辺は百獣が出て危険なんだ……大丈夫だったかい?」


 開口一番にセキの身を案じる言葉が向けられる。そして言葉と同時に視線もセキに移すとその拍子に担いでいた躯に視線が向かう。


「え……そ、それはヘル……ハウンドの死体……?」


 その驚愕の一言に周囲の視線が一斉にセキに向けられる。

 今ここに集まっている村種むらびとたちはこの百獣のことで頭を抱えていたのだ。その悩みの種とこのような形で対面することになるとは誰一種だれひとりとして予想していない事態だった。


「探求士さんが討伐してくれたのかい!」


 近くにいた少年がセキに尊敬の眼差しを向けながら質問する。

 細かい事情よりも百獣という魔獣を討伐したという事実は年端も行かない少年にとっては憧れの対象として申し分ないものである。

 物怖じすることよりもその憧れに目を輝かせるのも仕方のないことだろう。


「いや……おれはたまたま最後の瞬間に立ち会っただけなんだ……この火眼獣ヘルハウンドは……」


 セキは口ごもりながらわずかにその視線を下げ眉間に皺をよせる。


「ワッツたちがその命と引き換えに討伐したものだよ」


 その言葉と共に顔を上げたセキは意を決したような面持ちだった。

 コートの内衣嚢ポケットから三種さんにんの血に染まった級証を取り出し村種むらびとに見えるよう手の平に乗せて差し出す。


「え……あいつらが……死んだ……?」


 村種むらびと一種ひとりがその眼を見開きながら問い返す。

 死は突然訪れると言葉では分かっていてもすんなり受け止められるような軽いものではない、ということをセキもその身と心が嫌というほど覚えている。

 事実、ワッツたちの訃報に哀惜しない者はこの場にはいなかった。


「探求士として立派な最後でした。火眼獣ヘルハウンドを討伐したものの、その時はすでにボロボロで……最後を看取ったおれに討伐報酬をこの村のカルネルさんに渡してくれと」


 先の言葉に一番動揺の色を見せていた男がセキの言葉に反応する。温厚を絵に書いたような白髪交じりの中老の男は立つこともままならないほど震えた足を踏み出しセキの前へと歩み寄る。


「あ、あいつらそんなことを……?」


 セキは足どころか体をも震わせながら疑問を口にする男に視線を向ける。


「あなたがカルネルさんですね。ワッツは死の間際まで育ててくれたあなたへ感謝していましたよ……」


 膝から崩れ落ちるカルネルは自身の顔を両手で覆っている。

 その覆った両手の隙間から漏れ出る途切れ途切れの言葉に嗚咽が混じって掠れている。


「そうか……探求士さん……あいつらの最後を看取ってくれて……ありがとう……」


 それでも最後を看取ったことへの感謝の言葉を必死に紡ぐその姿は紛れもなくワッツたちの両親だということをセキに伝えてくれる。


三種さんにんはあの丘の大木の根元に眠らせました。落ち着いたら頑張った三種さんにんに労いの言葉を……かけに行ってあげてください」


 セキはカルネルに告げる。


「ああ……あいつらの好きな酒を持っていってたっぷり褒めてやりますよ……」


 カルネルの返事にセキは笑顔で頷いた。カルネルはその手で顔を覆いながらおぼつかない足取りで村の奥へと歩いていく。

 誰もがその足取りに不安を覚えるが声をかけることはできない。

 セキも同様にその姿が見えなくなるまで見送ることしかできなかった。


「あの――探求士さん。もし良ければですが……もう日も暮れているしうちの宿に泊まっていってください。少し古いですが……」


 そこに村の男がセキに宿の提供を申し出る。

 スピカに戻ることも頭にあったがせめて一晩様子を見てから、という結論をセキは出していた。


「すいません。とても助かります……それじゃお言葉に甘えさせてもらいますね。あ、あとこの躯は紹介所とかに運んでおけばいいですか?」

「それはうちの紹介所に運んでおくよ。もちろんちゃんとカルネルさんに報酬は渡しておく!」


 火眼獣ヘルハウンドの処理を申し出てくれたひとにセキはお礼を言うと寝床を提供してくれる男に案内され宿へと向かっていった。その道中でセキは男から今回の百獣の騒動の経緯を聞いていた。


 五日前に百獣がピック村からこちらのティック村に近づいてきていたこと。

 気が付いた村種むらびとたちは一度村を離れる準備をしていたこと。

 そこに昨日ワッツたちが到着したこと。

 ワッツたちとは別に探求士がティック村に向かっていること。

 ギータに逃げるための道中の安全を確保するために索敵に出たこと。


「その索敵で火眼獣ヘルハウンドと遭遇したってことだったんですね……」

「はい。今日、伝達魔具で連絡がきてまして……本葉トゥーラ級の探求士がギータから向かってくれてるらしいんです。だからギータに向かえば合流できると思ってたんです……索敵後に一緒にギータへ出発する予定だったんですが……それがこんなことに……」


 男は説明を続けていくうちに肩を落としその重みに耐えかねるように足取りもまた重くなっていく。

 セキに向けられた視線はいつの間にか下がり自身の重い足取りを眺めているかのようだ。


「でも……確認されたのは結構前……二十日くらい前なんですよね? それまでに他の探求士とかはこなかったんですか?」

何種なんにんもきました……でも……やつの怖い所は知恵が回る所なんです……他の百獣も一緒なのかはわかりませんが……」


 男はため息を吐きながら。


「観察してるのかわかりませんが、探求士が来てる時は一切姿を現さないんです……ここらへんから東は茂みも高いし、もう少し奥は森になっているじゃないですか? そこらへんに逃げ込まれたらまず見つけられないと思います……それに探知に秀でた魔術士の方でも探知ができないみたいで……」


 男の言葉にセキは改めてワッツたちの功績は大きいものと実感していた――向かい合えば先の通り瞬断することはたやすい。だが、相手次第で身を隠すというのはセキにとって致命的だ。いくらセキでも姿の見えない相手を斬ることはできない。

 ただ探し出すだけであれば体力と根気でどうとでもなるが自分を認識して逃げられるとなると探知ができないセキが見つける術がないも同然だからである。


「今回ワッツたちが見つけられたのも、俺たちが村から逃げる所を喰おうとして、やつが待ち伏せでもしていたから見つけられたんだと思います……でも……そのせいでワッツたちは……」


 男もきっとワッツと少なからず面識があるのだろう、とセキは感じている。村という小さな集団は良くも悪くも繋がりが強い。

 そして同じことを繰り返さないためにもワッツたちは逃げるという選択肢は端から考えておらず命に代えてもあの場で討伐をする心づもりだったということも。

 あの実力差では命を差し出すことと同義である。――だが、セキ自身似たような経験を過去に持ちそれは理屈ではないということも理解しているからこそ、これ以上言葉を紡ぐことができなかった。


「ここがうちの宿になります。探求士さんもゆっくり休んでください……あまり見栄えのいい宿ではないですが……今、客はいないので好きな部屋で休んでください。」

「いえいえ、そんな……ありがとうございます。こんな時間にきてまともに宿で寝れるだけでもありがたいですよ」


 男は軽く会釈をするとワッツたちが眠る丘に一度目を向け自宅側の入口へと歩いていく。セキはそれを見届け宿の中へと向かう。特に違いの分からないセキは入口から一番近い部屋の扉を開けた。


「ふぅ……」


 部屋の明かりを点け息をはきながらベッドへ腰を下ろし背負っていた小円盾バックラーを膝の上に乗せる。

 長距離の移動も百獣との戦いも南大陸バルバトスでの日々を思い出せば日常と言っても差し支えない出来事であり、身体への負担もましてや傷一つさえもない。

 だが、この心に刺さった棘の傷跡は薄れることがあれど治るものではないことも南大陸バルバトスでの経験から知っている。


「お主らしいの。ワッツの遺言は十分の一でも、だったのにのぉ」


 村種むらびとへの誤解を招かないよう息を殺し静かに衣嚢ポケットに忍んでいたカグツチが姿を見せる。

 寝台ベッドに座ったままのセキは両腕を背後に付きなら力無く天井を見上げ、


「ん……ごめんな。決してステアさんたちへの手土産にすることを忘れていたわけでもないし、軽んじてるわけでもないんだ……」


 その言葉を聞いたカグツチはのそのそと衣嚢ポケットから這いだしていく。


「ファファッ……さすがに我もそれくらいわかっておるかの。その命を投げ打ってまでとったワッツたちの行動は、ひととして……そして探求士として立派な生き様だったからの」

 

 その言葉にセキもゆっくりと頷き仰け反っていた体を起こす。

 慣れた手付きで布袋に入っている煙木タバコを取り出すとくわえながら手の平に魔力を込める――すると手の平に収まるほどの炎が揺らめきくわえた煙木タバコに火が灯る。


「はぁ……ほんとおれは放出系の素質が皆無だな……」

「それは今に始まったことではないからのぉ。それに弔いは心で行うものだからの。お主は『火』だからこそ自身の火で盛大に弔ってやりたかった気持ちはわかるが、そう気に病むことではないと思うがの」


 セキ自身は火属性の素質を備えているが魔術の放出に関しては才能がない。才能がないとは比喩ではなく一般レベルのうたでさえ発動させることができない。先の航海でブラウやゴルドが詠んでいた下位魔術ですらセキには発動させることが不可能だった。


「わかってる……けど、あんな想いを見せられたら、せめてしっかり弔ってやりたいって思ってなぁ……」

「お主の魔力の扱いは放出ではなく循環に特化しすぎておるからの。いや――すまんの。特化しているわけではなく、かの……まぁ結果的に魔装との相性もよくデタラメな魔装火力がでとるんだがの……」


 ワッツたちへの弔いに満足がいっておらずその表情に影を落としているセキ。


 魔力の扱いは大きな分類として『放出系』と『循環系』が存在する。


 『放出系』とは体内の魔力を外部に出力することを指している。詩を詠むことで放出を行うことが一般的だが詩を詠まずとも周囲に自身の魔力を撒くこと等も可能である。

 探求士として修練をしていない一般種いっぱんじんでも魔力の放出は可能であり、自覚なくともわずかではあるが常に魔力を放出している。

 そして『循環系』とは、体内の魔力を必要な部位に巡らせることを指す。探求士が常種じょうじんよりも脚力が優れていたり、肉体強度が高いのはこの循環により魔力を必要な部位に巡らせ強化することで可能となっている。直接魔力を消費する放出よりも循環の魔力消費は著しく低い。


 そして魔装も同様に魔術士が使用する『杖』や『装飾』等は放出する魔力を高め、『剣』や『槍』等の魔装は、魔装自身にも循環により魔力を巡らせることで切れ味や破壊力が高まるようになっている。


 セキは『放出系』の素質が皆無ではあるが、『循環系』の魔力操作を理屈ではなく、命がけの実戦の中で身体に染みこませている。『力を込める』とは異なるこの魔力操作は個種こじんで感覚が異なるため、少量の魔力の循環なら問題なくとも扱う量が増えるに連れその扱いに苦しむ者が後を絶たない。


「まぁそうなんだけどさ……たまには無いものねだりもしたくなるんだよ……」


 セキは煙木タバコを深く吸うと天井に向かってゆっくりとはきだす。

 ゆらゆらと部屋を漂う煙をただその虚ろな瞳で追いかけている。


「まぁの。良き者たちとの別れというのは、何度経験しても慣れるなどということはないからの。できれば……あやつらの元気な時に話をしたかったかのぉ」


 カグツチもセキのはく煙を見上げながら今はもう叶うことがない願望を口にする。


「ああ、そうだな……でももうそれが叶わない以上、せめてワッツたちの心残りを清算しにいこう」

「うむ、そうだの。名前を聞けなかったのはちと痛いがの」


 報酬の受け渡しは終わった。明日特に問題なければ後は元パーティメンバーへの届け物だ。

 ワッツに伝えた言葉に誇張は一切ない。南大陸バルバトス奥地未踏の秘境にいるのならいざ知らず、中央大陸ミンドールであればどこにいようが探し出す自信がセキにはあった。

 火眼獣ヘルハウンドのように相手が目視できない状態からも逃げ回るようであれば打つ手がないが今回は事情が違う。

 かつてカグツチの分精霊であるかさねを血眼で探し出した事実に比べれば取るに足らない難易度である。

 それを踏まえセキは最後の会話を思い出す。


「わかってることは、『オカリナ村』と『暗精種ダークエルフ』ってことかな? 年齢は同じくらいって言ってたから三十前後ってとこか。妹みたいとは言ってたけども、おれから見ると結構なお姉さんだな」

「うむ、エステルたちが中央のどこにいるかは、まだ聞いとらんがまずはそっちに向かうのかの?」


 その言葉を受けカグツチは今後の旅の順序を確認する。セキはしばしカグツチから視線を外し思考するも答えは最初から出ているも同然である。


「そうだね。東から向かってるから似たような位置にいるかもしれないけど……うん、まずはこれを届けてあげたいかな……」


 セキは膝の上に乗せている爪跡が刻まれた盾に視線を向ける。その爪跡を指でなぞりながら肩を落とす。


「それならオカリナ村でクエストをしていたらしいからの。そこの紹介所で話を聞けばわかるかの」


 カグツチも先に届けることに異論はないようで話を前向きに進めるよう提案する。


「よし、明日スピカに戻って……そうだ……百獣の変わりどうしよ……鼠退治いっぱいすればいいかな……五十匹で百コバル。五千匹なら一万コバルだ……!」

「まず五千匹もいるならあんな畑なくなっとるかの」


 共通語ペランは怪しいが数の計算は強いセキ。その強みを存分に生かした苦肉の策にカグツチの至って通常思考の指摘が突き刺さる。

 セキは、分かっていたよ、と言いたげな細目をカグツチに向けながら腰に備え付けている布袋の中に手を伸ばす。


「はぁ……どうしよ……これ売れるかなぁ……」


 セキは布袋の中に入れてあった名も知らぬ素材を取り出し木円卓テーブルの上に転がす。

 討伐してから時間が立っても自然魔力ナトラの流れに還ることのないこの素材は禍々しい魔力を宿しながら光を失うことなくほのかに輝き続けている。

 見た目も歪なことこの上ないため、魔力素材の加工に疎いセキとカグツチでさえどう考えても加工に手間がかかるという認識である。


「まぁ試しにステアの紹介所で見てもらうのがいいかの」

「そうだなぁ……そうしよう……」


 百獣の報酬の代替案もとりあえず、というところで方向性が決まるとセキはくわえていた煙木タバコを手に持ち吸殻を焼き尽くす。


「よし、方向性も決まったし今日は寝よう。明日早くにスピカに戻ってやることやらないとだし」

「そうするかの」


 一種ひとりは布団を被り一匹はその布団の上で丸くなる。静かな村の夜の虫の音に耳を傾けていると自然と眠りに落ちて行った――

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