第2話:ジャックと郁人
『あっ…ひ…っまっ……て、郁人っ!!〜〜〜っ!!』
『っ!!』
『あ〜〜〜、疲れた!!郁人もう少し優しくしてくれてもいいんじゃね?オレちゃんのセクシーな腰がぶっ壊れちゃう!!』
狭いベッドにうつ伏せになりチラリ、と隣でクッションにもたれながら半身を起こし煙草をふかしている男を見つめながら腰を擦り大袈裟に喚くジャック。
ジャックの喚きを最後まで聞き終わると郁人と呼ばれた男はふぅ、と紫煙を吐きながら煙草を消す。
『お前が相手しろつったんだろ。あんな時間からちゃんと相手してやったんだ、むしろ感謝する所だろう。大体、いつもいつも仕事終わりの血なまぐさいお前を抱いてやってる俺が優しくない訳がないだろ。』
ふんっと布団に潜り込む。男2人がならんで寝転ぶにはやはり狭すぎるな、と考えながらチラッとジャックを見やる。
『はいは〜い。オレが悪いですよ〜っと!!でも何だかんだ郁人だってオレで発散させてる癖に〜。持ちつ持たれつじゃん♡』
そう言いながらジャックは郁人に腕枕をさせ腰に絡みつく。その様子をただただされるがままに見つめる。
『とりあえずもう疲れたから仕事の報告は起きてからだ。俺はもう寝る。』
『オレも〜!!流石に疲れちゃった!!郁人起きたらオレのことも起こしてね〜♡ちゅっ♡』
軽く頬にキスをし早々に眠りにつくジャック。
(毎度ここまでしないと眠ることが出来ないのも、考えものだな。一体どんなトラウマ抱えてるんだか。…まぁ、俺には関係ないが。)
郁人の元には基本的に訳ありの人間しか集まらない。郁人もそれを拒むことなく受け入れそして彼らに必要以上踏み込むこともしない。彼らも彼らで必要以上に郁人に何かを求めることはしない。そして持ちつ持たれつの関係を築き彼らは【仕事】をしている。ジャックもそのうちの一人で5年前店の裏で倒れているのを見つけて拾ったら妙に懐かれてしまいそのまま面倒をみている。それからジャックも郁人の仕事を手伝うようになり今のような関係が続いている。今のような関係と言っても別に恋人、という訳では無い。むしろ郁人もジャックもそのような関係が煩わしいと思っている。簡潔的に言うと惚れた腫れたとは無縁の割り切った関係なのだ。
お互い性別を気にするタイプではないし健康男児である為性欲もある。が、愛だ恋だのと言うものが切実に煩わしいのだ。その為互いが互いに理解していて都合もいい相手と認識している。
出会った時から今までを思い出しながら横で寝息を立てるジャックを見つめる。
『……壊れるなよ。』
そう呟き郁人も眠りについた。
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