【クリスマスSS】私の傍にずっと、ずっといてくださいますか?

 ヴェーデル伯爵家の崩壊を見届けて帰ってきたシャルロッテとエルヴィンは二人で彼の自室にいた。


「私を妻にしてくださいませ」

「──っ!」


 そんな可愛らしくも凛としたシャルロッテの言葉に骨抜きにされたエルヴィンは、彼女を抱きしめて愛を囁く。


「私はシャルロッテを愛しているよ」


 二人は何度も何度もお互いを確かめ合うように愛を囁き合った後、シャルロッテはエルヴィンの腕に引かれ、そのままベッドに押し倒される。


「今日は逃がさない」

「エルヴィンさまっ!」



 甘く優しい時間が流れた時に、エルヴィンがふと囁く。


「シャルロッテ、日付が変わったから今日はクリスマスだね」

「くりすます?」

「ああ、恋人や家族、また友人たちが楽しく過ごす時なんだよ」


 エルヴィンはシャルロッテの長い髪を優しくなでた後、ちゅっと頬に唇をつける。

 シャルロッテはもう何度目かの赤くなった顔を恥ずかしそうにシーツにうずめる。

 そんな様子をもう可愛らしい、可愛らしいというように心の中で思いながらエルヴィンは見つめる。


 すると、突然シャルロッテが無自覚の反撃に出る。


「エルヴィンさまは今日は私の傍にいますか?」

「え?」

「私の傍にずっと、ずっといてくださいますか?」

「──っ!」


 エルヴィンは妻のあまりに可愛すぎるお願いに息を飲んで、そして思わず彼女を自分の胸元に引き寄せる。


「エルヴィンさまっ?!」

「あまり私を煽らないでほしい。歯止めがきかなくなる」

「……いいですよ」

「え?」

「たくさん愛してほしいです……」


 その言葉にタガが外れたエルヴィンは首元、頬、瞼というように優しく愛を伝えていく。


「シャルロッテ」

「はい」

「君が思うより、私は君を愛している。好きだよ」

「はいっ! 私もエルヴィンさまが大好きです!!」


 そう言って二人は身体を寄せ合って、何度も唇を重ねあう。

 そしてふと目を合わせて言った──



「「メリークリスマス」」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る