第8話(終) ネイキッドお嬢様、ノゾキ魔に見せつける

 神楽坂家のお風呂は、脱衣所からして豪華である。温泉宿くらいの広さはあるのではなかろうか。


 わたしは後でいいといった。近くのロビーで、二人を待つことにする。


「ヒカリさんの、お背中を流したいんですの」


 響子さんは、わたしの肩を持って浴室へ連れて行く。


 大浴場のようなお風呂を、響子さんとご親戚と共にする。


 ここで断るのは、かえって失礼だろう。わたしは、響子さんに従った。


 神楽坂家のお風呂は、露天風呂である。なんて、ぜいたくなのか。


「リラクゼーション施設を経営していますから、お風呂には力を入れていますの」

「ほおーっ」

「ああ、開放されるってすばらしいですわ!」


 響子さんが、大きな檜風呂にハシャぐ。


 ここでは、謎の光なんて必要ない。わたしは堂々と、響子さんの裸を見る。


「わっしゃわっしゃ」


 向かい合せで、わたしたちはお互いの頭を洗いあった。


 すっごい。どうすごいと表現していいのかはわからないが、とにかく存在感がすさまじかった。


「どうされました? シャンプーが目に入りますわ」

「いえ。おきれいだなと思って」

「まあ、うれしいですわ」


 とびきり巨乳というわけでも、スタイルがいいというわけじゃない。とにかく、エロいのである。自堕落に付いた脂肪も、ダルンとした太ももも愛おしい。


 これは、世の男性が釘付けになってしまうのもうなずける。


 頭にお湯をかけてもらい、背中を流すことに。


「では参り……お待ちくださいまし!」


 いきなり、響子さんがわたしとイトコさんにバスタオルを投げつける。


「ノゾキですわ!」

「どこ?」

「あそこですわ!」


 露天風呂の向こうにある木に、大量のノゾキ魔が群がっていた。なんて数だ。あれだけの人間たちが、響子さんの裸体を狙っているなんて!


「まあ、暗視スコープまで! 彼らはわたくしたちの体内も透視して、断面図を把握する気ですわ!」


 ああ、エロ漫画でよく見るやつか。


「みなさんは先に上がっていてくださいな。ここはわたくしが」


 自らが盾になって、響子さんはバスタオルをはだけさせた。


「さあ、いくらでも御覧なさい!」

「ファッ!?」


 いけない。このままでは、ノゾキ魔の性癖が歪んでしまう。


 わたしは、謎の光で響子さんを隠す。


 だが、ノゾキ魔は一向に下がる気配がない。細長いカメラのようなもので、激写しようとしていた。しつこいヤツラだ!


「これでもくらえ!」


 逆に、わたしはノゾキ魔たちの目に光を当てる。

 暗視ゴーグルなら、眩しかろう。


「ファーッ!?」


 ノゾキ魔たちが、力尽きたセミのようにバタバタと落ちていく。



 その後、イトコさんが通報してくれたおかげで、ノゾキ魔たちは撃退された。


「ヒカリさん!」

「はい」

「ありがとうございます!」


 わたしは、響子さんから抱きしめられる。


 なんでも、わたしがノゾキ魔だと思っていた連中は、テロリストだったらしい。

 わたしがカメラだと思っていたものも、睡眠薬入りのスナイパーライフルだったそうだ。


 テロリストたちは、神楽坂に親戚一同が集まっている瞬間を狙っていた。


 が、響子さんの裸に見とれて、それどころではなくなったのだとか。


 そこを、わたしが謎の光を当てて倒しちゃったのだと。


「あなたがいなければ、神楽坂家は大打撃を受けていたことでしょう」

「いえいえ」

「あなたがいてくれるおかげで、わたくしも元気に脱げるというもの。さあ、明日も脱ぎますわよ!」


 勘弁して……。



(完!)

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お嬢様は露出狂! 謎の光で隠せ!【ゲーム原案小説 大賞】 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2

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