兄妹

僕の放課後は至って単純。

課題を終わらせる。ゲームする。ご飯食べる。お風呂入る。ゲームする。寝る。

たったこれだけ。

ゲーム何やんのかって?そんなの様々。

RPGゲームとか、FPSゲーム、音楽ゲームなど。

今日はFPS。チャンポンを2.3回とり、時計を見る。日を跨ぎそうになっていた。

これはやばい。僕は一応超健康児。ちゃんと寝ないと身長も伸びない。

急いで、歯磨きしようと、ドアを勢いよく開ける。

「いった!」

ん?ドアの前に誰か立ってたのか?と、ドアを閉めて見てみるとわが妹である陽菜がこちらを憎らしそうに睨めつけている。

「ごっ、ごめん」

とりあえず、謝罪。どんな時も誰かを自分が傷つけてしまったときは謝ることが大切。小学生の時に習った。

と、誤ったことが功を奏したのか、睨みをやめ、首を振った我が妹。

「いや、立ち続けてた私も私。別に大丈夫だよ、兄さん」

と手を僕の方に出してくる。

その手を取り、妹を立ち上げる。

「ところで、兄さん。質問があるんだけど、大丈夫?」

と、真剣な表情でこちらを今度は見つめていた。


「それで、単刀直入に聞くけど、なんで、みー姉のことを避けてるの?」

と「少し待って」と許可を取って、僕が歯磨きをし終わり、戻った自室のベットの上に座っていた妹が聞いてきた。

「別に、避けてるわけじゃねぇけど」

「避けてるよ」

と、僕の言葉を遮るように言ってくる陽菜。

「だって、昔はみー姉、みー姉って私よりも甘えてたし、可愛がられたじゃん」

「甘えてねぇし、それに、今と昔じゃあ、違うんだよ」

「ふーん、そうかねぇ」

と、にんまり顔をしながら、スマホをいじりだした。

次の瞬間、陽菜はある写真を見せながら

「これを見ても、まだそれを言える?」

と言ってきた。

「ちょっ、やめろ」

とその画面を見ないようにしようとするが、するりと躱されてしまい、スマホは彼女のポケットに仕舞われる。

ちなみにどんな画面だったかというと、恥ずかしすぎてもう思い出したくもない、考えたくもない。

「そんで、なんで避けてるのか、大抵見当はついてはいるけど」

と、まるでわかっているかのように言う。

「まあ、どうせ、俺みたいなやつがみー姉みたいな人の横にいたら、いじめられたり、妬み嫉みを言われたり、みー姉が困るんじゃないかとか思ってんでしょ?」

「そんなこと思ってねぇよ」

嘘だ。めっちゃ思ってるし、なんなら、高田先輩の方に迷惑をかけたくない。

「それに、俺みたいなやつが釣り合うわけないだろとか思ってるでしょ」

「別に…そんなことも考えてねぇよ。なんだったら、他の男のやつらも釣り合ってないとか思ってるだろ」

嘘だ。めっちゃ釣り合ってないとか思ってるし、そんなことしか考えてないと言っても過言じゃない。

「でもさぁ」

と僕を貫かんばかりに、真っすぐ目線を向けてくる妹。

「でも、みー姉に他の男の人が横にいたら、どう思う?」

「それはっ…」

と口をつぐむ。

「ほらね」

と、足を組みかえ、そして、妹は言い放つ

「みー姉のこと、好きなんでしょ?」

…。

「好きなわけないだろ」

と言葉を強めながら、はっきりと言う。それは絶対に違う。

万が一あったとしても、その好意は絶対に誰に打ち明けてはならない。

だって、そんなことしたら、み、高田先輩に迷惑。

「みー姉に迷惑とか思ってるんじゃない?」

とまるで僕を見透かしたような発言をする陽菜。

「全然女心ってもんがわかってないね、兄さん」

と、飽き飽きとした表情をし、そして、こう言い放つ。

「みー姉はそんなこと、全く思わないよ」

と、立ち上がり、おやすみと言いつつ、部屋を出ていった。

迷惑ではないという謎の発言を僕の心に残して。

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