Side Episode2(陽菜 side)

私の兄さんは陰キャでコミュ障。

世間の大半はそう見るかもしれない。

というかそう見ざるを得ない。

だって、そう本人がしてるから。

私の兄さんは元々めっちゃ明るい性格だった。それはもう某元プロテニスプレイヤーのあの人ぐらいにどんな時もポジティブ。どんな時もリーダーシップがあって、いつも遊んでるようだったけど、なんだかんだ頭もよかった。そんな兄貴に私は憧れていた。

でも、だんだんと兄さんは暗くなっていき、最後は引きこもりまで行ってしまった。

今でもすれ違って、びっくりする。なんだ、その男子高校生らしからぬ、体の細さと肌の白さ。女子中高生の誰もが憧れるようなそんな体。

兄さんがそんな理由になったのは、引きこもりからやっと抜け出せて、みんなでそれを祝ってた時に、わけを話してくれた。

そんなの、偶然に偶然が重なった結果でしかない。そうとしか思えなかった。

兄さんが不幸を振りまくような人なら、この家庭はとっくのとうに崩壊するはずなのに、お父さんとお母さんはいつでもラブラブ。月に1回ぐらいは私たちを置いて、二人でデートしに行くほどだ。というか、私たちの目の前で普通にいちゃラブするのはやめてほしい。精神的に来るものがある。

というか、怪我なんて誰もがすることで、そのタイミングが全部一気に被ってしまったという感じとしか思えない。

その怪我した友達たちも兄さんのことをずっと心配していた。今でも、時折、家に来てくれて、兄さんの元気な顔を見て、安心するなんていう一連の動作を私が何回見たことか。

私たち家族も別に兄さんのせいとは1ミリたりとも思ってない。なぜなら、全部自業自得。

私はテニススクールでの頑張りすぎによる熱中症。お母さんは私たちにいいところを見せようとして、重いものを持とうとしたら、ぎっくり腰。お父さんは酔っ払いしてしまったせいでの階段でこけてしまい、骨折。

それが全部タイミングがかなってしまった。ただそれだけ。

というか、お父さんは予防できたでしょ。お母さんはもっとどうにかできたでしょと今でも思ってしまう。

それは私も言えないけど。

そんな中で、兄さんが大好きで大好きでしょうがなかったみー姉も怪我してしまったのだ。と兄貴から聞いたが、みー姉が大けがをしたとは聞いたことがないんですよね。

ちなみに、みー姉に聞いてみたこともあるんだけど、全くと言っていいほど覚えてなかった。

私はみー姉の答えを聞いてから、ただの擦り傷とかで言ってるのでは…?とか思っている、というかそれを確信している。

まあ、みー姉はずっーーーーーーーーーーとそんな一度引きこもりになってしまった兄さんのことを心配している。

それはそれは、忠犬ハチのごとく。ずっと待ってた。

私は、そんなみー姉が大好き。というか元々大好きだったけど、もっと好きになった。

でも、今日みたいに、最近は待つだけじゃなく、クソデカ感情を兄貴にぶち当ててる。

それはそれは、イチャイチャしかもうすることがなさそうなバカップルのように。

兄さんはまだ気づいてないかもしれないとは思わない。兄さんは頭はそもそもいい。

鈍感ではないのだ。みー姉の好意に気づいてないということは絶対にない。

長年ずっと一緒にいる、みー姉よりも長い私がそう思うのだ。

絶対に、私の大好きなみー姉を私の義姉にしてやる。

そのためには兄さんの心を開いてあげないとだめ!と、みー姉が帰った後はいつも思う。

私にできることはなにかなと思いつつ、私は少しでも作戦を練るために自室に向かった。

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