第28話 進むしかない
「朝か・・・」
不思議なもので昨日の疲れもすっかり消えて気持ちの良い朝を迎える事が出来た。
「うっし、やるか!」
考えてもしょうがない。前向き!と自分を奮い立たせて菓子パンを齧りながら画面の前に座る。やる事はやってから寝たのでいい感じに進んでくれてるといいんだが。
「次のエリアもプレイヤーが居るっぽいな」
ログを追う感じだと昨日倒したプレイヤーの上のエリアからもモンスターの侵入がないのでプレイヤーが確定で居ると思う。これどういう事かと説明すると人種のプレイヤーがいるエリアではモンスターは外側じゃなく、エリアに存在するプレイヤーにヘイトが向いていてモンスターが「内側に天敵がいる、警戒しろ!」って感じで本能的な動きが制限されてるんだよね。逆に俺みたいな魔物勢力側だとモンスターのヘイトはフラットなので獲物が居なければ違うエリアに出て行っちゃうって感じみたい。
後はシンプルに配下の魔物やモンスターが違うエリアに侵入する場合にそこがプレイヤーが存在するエリアだとシステムの警告メッセージが出るので分かりやすい。勿論、警告を出さずに侵入させる事も出来るから絶対ではないけど、数や内容でそれが自然のモノなのか人の手によるモノなのかは判断が付けれると思う。
「今日は鉱山まで行きたいからな、深く考えずサクっとやっちゃおう」
やる事をやるしかないのでログの確認とある程度街の整備、指示が済んだら準備をしてエリアの境界に向かう。前回の部隊をすでに移動させてあるので俺が着いたらすぐに作戦開始だ。
戦闘は何の問題もなくスムーズに終わった。というか、プレイヤーが存在していなかった。レベル上げで遠くのエリアに向かったのかどうかは分からないが探しても見つからなかったので拠点だけ破壊させて頂いてエリアの占拠が完了した。
ついでに言うとモンスターの位階が俺の初期エリアに比べて高かったのが気になる。もしかしたらまだ隠された仕様があるのかもしれない。
「なんでここのモンスターは少し強かったんだ?」
『人勢力側のプレイヤーはGPを支払う事で自エリア内のモンスター強くし、レベルアップの効率化を図る事が出来ます』
「なるほどね、少し賢いプレイヤーだったのかな」
現時点で位階が極端に高いモンスターと出会った事がない。何かあるとは思っていたがそういう仕組みだったのね。
『また、ゲーム開始から時間が経つに連れて放置されているエリアの敵は徐々に強くなる傾向があります。一定の条件を満たすと【ダンジョン化】が起こります』
また知らん単語が出て来た。こういう時に本当のゲームみたいな攻略サイトがあると便利なんだけどな。
「条件は教えて貰えるのか?」
『一部ですが、人が入らない土地で最短10年、それから50年、100年、200年と時間経過によってダンジョンが成長します』
「ダンジョン化による影響とメリット、デメリットがあれば教えてくれ」
『ダンジョン化したエリアはクリアしなければ支配する事が出来ません。大きなメリットとしては大量の経験値、GPや装備品等の報酬が得られる事、更に魔物勢力側のプレイヤーであればダンジョンの運営が可能になる事が挙げられます。デメリットは一度入ったらクリアするかゲームオーバーまで出る事が出来ないという事でしょうか』
メリットもデカいがデメリットが中々きつい、ダンジョンの難易度が分からない状態で下手に突っ込むと死ぬまで出れない可能性もあるし、魔物勢力側だと拠点を取られたら終わりなのでプレイヤーの侵攻があった場合の防衛に問題がありすぎる。それでいうと人勢力側は拠点を取られてもゲームオーバーにならないのがダンジョンでは有利に働きそうだな。
「人工的にダンジョンを作る事は出来るのか?」
『現在その機能は実装されていません』
「無理か。1つ領地にあれば便利だと思ったんだが」
取り合えず気になる事をいくつかAIさんに確認して質問は終わる。今日はまだ鉱山まで行くというミッションが残っているので残り3つのエリアをサクッと終わらせたい。
残りの3つのエリアはプレイヤーが存在しなかったので位階上げも兼ねて配下達に狩らせた。ぼちぼち進化した個体が出て来たので育成も順調だ。
今後の予定としては長崎全体の占領と波佐見鉱山を起点として扇状に防衛ラインを構築。島原方面は火山を中心にダンジョン化させてみたいと思っているのでプレイヤーの有無だけ確認して占領したら放置。現在の佐世保から長崎市内辺りまでを人口密集地にしようと思っている。周りから一気に攻められるのが一番きついのでこれなら陸からの侵攻は一面だけで済む、近いうちに海からの侵攻についても考える必要はあるだろう。なんせこのゲームは世界対応だからな。史実の黒船みたいな船団がいつ現れるか分かったもんじゃない。
「拠点を島に置いたのは意外と正解だったのかもな」
短期的な計画はこんな感じだとして、長期的には日本占領まで視野に入っている。行けるのならば半島から大陸までを狙いたい。俺のスペックならそれも不可能ではないと思っている。
結局その日は色々考える事に時間を使った事もあって鉱山までの3エリアを占拠した所で1日が終わった。
「だけど冷静に考えたら外の世界での1日って部屋の中だったらたった数分なんだよな、なんで感覚が狂わないのか不思議でしかない」
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作者より
29話を執筆中に現実の波佐見鉱山との距離との整合性が取れない事に気付いた為、都市計画を若干変更しました。また本日は沢山の方にご覧頂き大変うれしく思います。今後とも更新スピードは安定しませんがよろしくお願い致します。
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