第26話 配置と侵攻
これまで7つのエリアは配置が完了している。所々物足りない部分はあるものの大きな街道と集落、防衛拠点は配置済みだ。これから手を付けるのは手に入れた敵の拠点周りとさっき手に入れたエリア。
敵の拠点だったエリアには計画通り不死軍団を配置。将来的には防衛拠点として大規模な基地を作るつもりでいる。このエリアは俺の拠点がある初期エリアからすると佐賀方面から攻め込むには必ず通らなければならない位置にある、将来的に完全な居住地化を考えているエリアを守る役割を持たせたい。
勿論、手に入れたエリアに応じて臨機応変に配置変更をする必要はあるがまずは現時点での防衛に力を入れたい。
「ここは将来を見据えてゾンビを眷属化して配置しておくべきだな・・・」
ゾーイには住民が住むエリアの防衛を担当して貰っているので、ここは新たな眷属を作って防衛と侵攻の責任者を作った方が役割分担的にスムーズに運営出来そうだ。
「よし、ゾンビとスケルトンを各5,000体、ウルフを10,000体、吸血コウモリとゴーストを少々っと・・・」
ゾンビとスケルトンには拠点となる住居が必要になるので『洞窟』を選択する。これを同じマスに配置して地下通路的な感じに配置して、簡易的な地下ダンジョンの完成!やっぱりこの技は大規模な部隊の配置にはぴったりだな。
『洞窟』は1体に付き1m四方のスペースが必要になる。最も原始的な住居の為資材は不要、更に重ねて配置する事で自動的に内部が広がって行くという不思議な特性を持っているので実際の居住環境とは関係なく、単純な住民の配置数を増やすにはうってつけの裏技の様なものだ。
動物系、アストラル系のモンスターには住居が不要なのでそいつらは適当に野に放つ。部隊設定をする事で自然とまとまって行動出来るように自律しているのでコマンドだけ与えてしまえば後は全自動というシステムだ。
今セットしているのは一番単純なモノで5体で1部隊、位階に応じて同じ位の個体が集まる仕組みになっている。役割や種族に応じて幅広く設定出来る項目があるので将来的にはより効果的な部隊運用をしたい。
この部隊をある程度均等に割り振り、防衛と自然発生的な侵攻を担って貰っているのだが今回はプレイヤーの支配エリアに攻め込む事が決まっているので一番新しく手に入れたエリア、そのプレイヤー側により多くの部隊を配置する。こいつらを侵攻開始と同時に一気に攻め込ませてどうなるかを今回は試そうと思っている。
この作戦が成功すれば今後プレイヤーの支配エリアに当たったとしても同じ作戦を実行し、徐々にブラッシュアップして行けばより安全でスピーディーな侵攻と拡大が可能になるだろう。そういった意味では今回の本格的な侵攻に大きな意味があるかもしれない。
「考えていたようにウルフ部隊先行でいこう」
部屋の外では物凄く早く時間が進んでいると思うので準備が出来たら外に出る。そこからは空を飛んで一直線で前線へと向かった。
前線に着いたらゾンビを1体選び眷属化する、今回のゾンビにはジョージと名付けよう。ジョージもゾーイと同じタイプのゾンビに進化したのである程度固定された条件に基づいて進化しているので間違いないだろう。
「さて、やりますか」
『このエリアには敵対勢力のプレイヤーが存在します』
『このエリアに侵攻しますか?』
『勝利条件:敵プレイヤーの撃退。もしくは敵勢力の拠点破壊』
『勝利報酬:敵プレイヤーの所有領地全て』
『撤退時のペナルティはありません』
「はい」
『エリアに設定された占領クエストが発行されます』
いつもの緑色の光ではなく、赤色の光でエリアの縁が照らし出される。敵の拠点の位置は分からないのでその場からローラー作戦でウルフ達を動かす。今回配置したのはウルフ約5,000体、体長が約2mあるので横に1列に並べて10km同時に駆け上がる作戦だ。後詰めとして不死軍団を等間隔で配置しているので後ろを追いかけながら拠点を見つけ次第そこへと集中攻撃を仕掛ける。
血霧で覆った方が確実性は高くなるのだが危険性もある為、今回はマップを拡大表示して随時チェックしている。眷属間の念話もあるし怪しい場所や人物が見つかれば随時俺に連絡が入るようになっているので大将はどかっと座って待つのだ。
勿論野良の雑魚モンスターも存在しているので接敵次第経験値として美味しく頂いている。初期エリアには練習相手にならない雑魚しか存在しない事が分かっているのでうちのウルフ達であれば問題なく殲滅出来る。
「お、見つけたか。よし、まずは攻撃。上手く倒せたら次のフェーズに移行せよ」
今回試すのは前回少し考えた拠点リポップ即殺戦法だ。自分で試すのは怖いのでここのプレイヤーに実験台になって貰おうと思う。
「うーん、少しは強いがやはり想定の範囲内だったな」
当然プレイヤーに1匹、2匹では相手にならない。徐々に包囲する数を増やしながら実験していたのだが50体を超えるとかなり厳しいようだ。
ウルフの部隊は50体で十分、余裕を持って100体で囲めば安心して倒せそうだったので次はゾンビとスケルトンの部隊をぶつけてみる。
「ん?何だ?急に動きが鈍ったぞ?ジョージ、現場に行ってどういう事か確かめて来てくれないか?」
「はっ!」
隣に立っていたジョージを現場に向かわせる。指揮官クラスには進化したダークホースを騎獣として装備させているのでそんなに時間は掛からないだろう。ウルフと同じ様に段々と数を増やしながらボーダーを探ってみよう。
「領主様、どうやらヤツは臭いにやられているようです」
「臭い?ゾンビに臭いなんてあったか?」
『同じ種族、陣営に影響はありませんが敵勢力、特に人種にはデバフに近い影響を与えます』
「知らなかった、そうだったのか。まじで逆の立場じゃなくて良かった」
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