第22話 閑話:おお勇者死んでしまうとは情けない

 俺の名は夜霧刹那、イカすだろ?俺は昔から無双系ゲームが大好きでよ、その時にこの神ゲーと出会ったんだよ。剣の一振りで山を割るなんてイカすじゃなねぇか、まさに俺が求めてた無双の極致よ。


 取り合えず最強のアバターを作って、かったるいチュートリアルを終わらせる。やっぱり弱いモンスターをバサバサ倒すのは気持ちいいぜ。


 俺が選んだジョブは勇者。やっぱりゲームするなら勇者しかないっしょ。初期のスキルはスラッシュだけかよ、シケてやがる。だがこのスラッシュが中々でよ、うさぎなんてイチコロよ。


 チュートリアルが終わって準備期間ってやつが始まったんだが俺は兎に角モンスターを狩りまくりたい。一撃で倒しながらバンバンレベルが上がるのはやっぱり気持ちがいいぜ、なんでも低レベルの時が一番楽しいんだよな。

 いや、勿論俺が好きなのはレベルを上げて強いスキルを放つあの瞬間だぜ?勘違いすんなよ。


 取り合えずある程度レベルも上がって眠くなったからログアウトして寝る事にした。明日はもっともっとレベルを上げるぜ!


 起きたら世界が変わってやがる。もしかしたらこれが噂の異世界転生ってヤツかもしれねぇ。くー滾るぜ!


 取り合えず周りを確認したんだが、ここは教会らしい。まぁ、仏教だしそもそも宗教に興味がねぇからこれが教会かどうかは分からないんだがゲームで見た事あるやつに似てるから多分そうだろう。


 武器は剣と、革の鎧か。ケチくせぇぜ、どうせ異世界転生させるならチートの1つくらいくれてもいいだろうが。


 えーっと、1000GPってのがライフと金の役割になってるわけね、それで装備買ったり死んだら復活出来ると。まぁ、俺が死ぬなんてないっしょ、全部使ってチョー強い武器買うべ。


 ステータスとか見れる上に、割り振りまで出来るのかよ!最高じゃん!取り合えず男ならSTRに全振りっしょ、一撃サイキョー!!俺のエクスカリバーン(模造品)が唸るぜ!!


 なんだか家の近所に似てる気がするけど気のせいっしょ。まずは雑魚でレベル上げが定番だよな。メタスラとかいねぇかな。


 つまんねぇな、近くには雑魚しかいねぇじゃねぇか。レベルも6で止まったし、ちょっと遠出してみるか?


 もう夜か、夜はこの不思議テントで寝りゃあいいんだよな。敵に襲われる事もなくてなぜか中に入ったら俺ん家なのはほんとに不思議だよな。


 ちっ、GPが無いと美味いメシも食えねぇのかよ。もうちっと残しておくんだったぜ。この辺の雑魚じゃいくら倒しても1GPにしかならねぇからな。しょうがねぇ、今日は牛丼で我慢するか。明日はもっと稼ぐぜ。


 はぁ、このエリアも大体狩り尽くしちまったな、レベルも10まで上がったしそろそろ隣のエリアに挑戦してみるかね。今の俺ならイチコロっしょ。


 いやいや、待て待て、聞いてねぇって。なんだよこれ、こんな数のモンスターがいるなんて聞いてねぇよ!倒せる訳ねぇだろうが、早く逃げねぇと狼が。俺は無双したいんだよ!無双って言ったら雑魚が出てくるのが定番だろうが!!


『おお勇者死んでしまうとは情けない』

『復活には100GP必要です。支払いますか?』

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『GPが足りません。あなたはここでゲームオーバーです』

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