第15話 ファーストコンタクト

 現在のGPは約50万、スタートダッシュが後々まで大きく影響する可能性が分かった以上、本気を出さざるをえない。ぼーっとしていても外の世界では物凄い速さで時間が進んでしまっている。可能ならば今後は部屋の外で考え事をするなり、野営するなりして与えられた時間を無駄にしないようにしなければならない。

 現在はゲーム開始から部屋の中で3日過ごしている、単純に無駄という訳ではないが領地の時間は1年近くが過ぎてしまっている。


「うし、一旦外出る」


 部屋の外に出ても視界に映るUIで操作が可能なので慣れればパソコン画面越しの操作と同じ様に動かせると思う。


「取り合えず、ダークエルフとダークドワーフを追加で100人づつ配置・・・」


 これで20万無くなった。


「次に1GPで配置出るウルフを1万匹配置してっと・・・」


 ウルフには武器も家屋も必要ない為、隣の領地に物量で攻め込むつもりでいる。その後は食糧資源は減り続けるだろうが放し飼いでも生きていけるので完全な駒として考えている。もしかしたらそのうち進化する個体も出てくるかもしれない。


 今後の住民には亜人や獣人だけでいいかと思っている。ゾンビやスケルトンはいくら住民にしても知力が低すぎるので今後はモンスター枠として配置するだけに留めるつもりだ。最初に防衛部隊に設定したやつらは放置しておいて、随時入れ替えて行く形を取ろう。


「・・・ふぅ。怖いけど、いっちょ隣に攻め込みますか」


 まずは対岸の集落に行ってみるか。何気に現地人?とは初コンタクトだな、どんな感じになるんだろうか。


「そういえば、飛べるんかな?」


 実は進化した事によって背中には立派な羽根を生やせるようになっている。いくつか身体的な特徴に変化があったがまだ試せていない。


「ほっ、よっ・・・何か変な感じだ・・・」


 なんだろう、昔からこれが当たり前だったかのように馴染んでいるんだが、元々普通のメタボな社畜の自分の姿を覚えているだけにそれが逆に違和感になっている感じだ。


「そうだな、折角だし、いつかやらないといけないんだから今のうちに試せるだけ試すか」


 取り合えずこの場で試せそうなのは『血剣』『血霧』『変身』くらいか。『吸血』やら『支配』やら『眷属化』やらは対象がいないから出来ないっぽいな。


 『血剣』は自分の血か他の生物の血を剣に変化させるスキルで、毒の付与や、相手の武器や防具を腐食させる事が出来るっぽい。めちゃめちゃ軽いのに丈夫で使い捨ても出来て食料にもなるのでめちゃめちゃ便利。しゅごい。


 『血霧』は自分自身を赤い霧にして広範囲に広がる。軽く10kmは行けた。性能も凄くて、霧の中にいる生物から何から情報が手に取るようにわかる、さらに毒の付与も出来るし、全体が自分なので転移みたく一瞬で遠くまで移動する事も可能みたい。全部の霧を同時に消されたら文字通り存在も消えちゃうので注意しなきゃだけどかなり強い、いや強すぎる。さす神。


 『変身』は至ってシンプル。見た目を何にでも変えられる。以上。


「確認おっけ、今回は普通に飛んで行ってみますか」


 羽を使って羽ばたいて飛ぶというよりかは普通に空中に浮かんで歩いている感覚かな?7つの玉を集める少年漫画の飛ぶ技がイメージしやすかったのでそれっぽい体勢で飛んでいく。


「どんな感じなんかな」


 数秒で海岸の集落が見えて来た。今回は地上から10mくらいの位置にいるのだが数人のダークエルフが集まってきた。


「領主様!!」


 同時にダークエルフ全員が五体投地でひれ伏している。なにこれ・・・。


「我らを配下として頂き、誠にありがとうございます!我らダークエルフ一同、誠心誠意ご領主様に尽くして参ります」


 最初っから忠誠心マックスなんだが?


「・・・よろしく。えっと、誰か1人眷属化っていうのを試して欲しいんだけど、大丈夫?」


 パパパーっとステータスを確認してみたが殆ど差がなかったので誰でもいいのだが、眷属化によってどうなるのかを知りたい。


 というか全員なりたいみたいでアピールが凄い。


「えっと、じゃんけんでお願いします・・・」


 コミュ障過ぎてちょっとしんどい。取り合えず勝ち残った1人に出て来て貰って眷属化を施す。かわいい女の子でちょっと緊張する。


「お願い致します」


「おっけ、じゃあやるよ」


 血を分け与えて眷属化を発動するとダークエルフに変化が起きた。


名前:

種族:ヴァンパイアエルフ

位階:15

称号:第一眷属

固有スキル:エルフ魔法

種族スキル:常闇の眷属 

能力値

体力:69/69

知力:102/102


「素晴らしいお力をお与え頂き、ありがとうございます。変わらぬ忠誠を御身に」


「良かった。今後ともよろしくね。この辺りのとりまとめは任せるよ。後、名前を上げる。君は今日からイチカだ」

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