第13話 領地にて
原始的な暮らしに道という概念はまだないが将来の拡張性を考えて施設を配置していく必要がある。島は自分だけのスペースとして利用したいのでこの時点では手を付けないでおく。
対岸から開発を進める。ゲームシステムと連動しているので地図上では碁盤の目のように正確な線が引かれていて最少は1mの正方形、次が10m、次は100m、1km、10km、25kmと拡大縮小が出来る。実際に配置する際には10mサイズが一番作業がしやすいと感じた。
例えば現状の家屋である『竪穴式住居』は2m×2mのスペースと『木材』x4『〇〇皮』x4に『配置』にGPが4必要になる。住民として『ダークエルフ』を2名配置する場合にはGPが2,000必要になる。『ゾンビ』に比べると必要GPが多すぎるように感じるが種族の特性や能力、戦闘力、生産性を考えるとゲームバランス的には納得できる部分が大きい。
ゾンビは1GPで配置出来るが、ゾンビは自然繁殖しないし更に日の光に当たると消滅するというデメリットが大きい為配置出来る環境も限られる。戦闘力も低く、生産性に至ってはゼロ、知力が0の為領地の文明レベルの発展にも何の役にも立たない。シンプルな数合わせで捨て駒にしかならない。
方やダークエルフは種族解放の為に10万、1体配置する毎に1000という高額なGPを求められるが配置するだけで勝手に繁殖し、進化しながら文明レベルを上げてくれる。更に殺されない限りは1000年近い寿命を持つので長期的に見るとコスパがいい、長生きすればするほど戦闘力も上がるし、常に何かしらの生産に携わってくれる。
「どのくらいの規模にするか迷うな・・・50体は多すぎるだろうか」
ダークエルフとダークドワーフを50体ずつ配置したら10万、勇気が必要だが将来性を信じて思い切ろう。
「うっし、将来的な事も考えて広めにスペースを取って10km範囲をフルに使った村にしよう。デカすぎるくらいで丁度いいだろう」
画面上で操作してしっかりと道を意識しながら整地し、竪穴式住居を設置、住民を配置していく。
「3方向には関所の役割を持たせて基地を置いてバリケードで囲んでしまおう」
予め設置していた基地をドラッグして移動させる。余った分は重ねて強化、足りないバリケードを領地全体を覆うように配置する。1m×1mのバリケードを10km並べるのはなかなかしんどい作業だった。
「防衛はゾンビにスケルトン、ウルフを配置してっと。そろそろ侵攻も考えていいかもな」
現在の領地に面する3方向は人がいないフリーエリアである事が分かっている。一応ネットで見分け方と配置のルールが書かれていたので非常に参考になった。
まず領主というかプレイヤーがいるエリアからは自生しているモンスターは勝手に外に出ないようになっている。プレイヤーを狙うというよりはエリア自体が閉じられているという方がイメージしやすいだろう。
逆にプレイヤーがいないフリーエリアのモンスターは好き勝手に動き回る。初日に3方向から進行があった時点でほぼ確信している。流石に準備期間開けていきなり攻撃を仕掛けてくる馬鹿はいないだろう。それに侵攻して来たのがゴブリンの時点で人間側のプレイヤーの可能性が99%消えている。
理由としては人間側プレイヤーは初期の住民配置が難しくなっているのだ。人間しか配置出来ない為1人につき100GPが必要になっていて侵攻出来る程の人数を揃える余裕はないであろう事。
ジョブシステムを持っているのでその中のモンスターテイマーであればゴブリンを使役出来るがそうしてしまうとシステム上『敵対プレイヤーからの侵攻』と出るので分かりやすくなっているのだ。
以上の点から3方向のエリアがフリーエリアであると推測した。
プレイヤーの拠点配置のルールとしては予め決められた地図上の半径10km圏内で同じワールドを選択した人がいなければそのエリアがプレイヤーに与えられる。もし同じエリアを選択した人数が居れば、人数に応じてその10km圏内のエリアを分け合う形になる。実際に掲示板には東京を選択してものすごく狭いエリアになってしまったという書き込みが多かった。
「取り合えずは侵攻して占領して開拓だな」
『フリーエリアの占領にはエリア内で一定数のモンスターを盗伐するか、エリアボスを盗伐する必要があります』
『また、プレイヤーの領地を占領するにはプレイヤーの殺害か隷属化、もしくはプレイヤーが定めたルールをクリアする必要があります。デフォルトでは殺害に設定されています』
「なるほどねー、オートでいけるんかな?」
『占領はプレイヤー自身が行う必要があります』
「オート無理かーきつー」
この世界は不思議な物でこのパソコン上で操作する『オート』と自分自身で戦ったり作成したりする『マニュアル』がある。拠点から出ない限りはすべてがゲーム画面の中でオートで進み、拠点の外にいる間はマニュアルに切り替わる。
勿論まるっきり全部自分でやらないといけないわけではなく、視界に映るUIを操作する事でオートに近い操作感でプレイする事も出来る。神AI凄い。
「ほんとに神AIだな、どんな仕組みなんだろうか」
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