第5話 幕間~酒屋に寄り道・酒屋デート~
桜「はー、お昼寝してたらすっかり夕方になっちゃったね」
桜「どうだった、お散歩飲みは? たまにはああいうのもいいでしょ?」
桜「ん、外で飲むのも気持ちよかった? ワンカップもおいしかった、かー」
桜「うん、よかったよかった。気に入ってもらえれば私も誘った甲斐があったってものだよ」
桜「さ、これからどうしよっか?」
桜「お、まだちょっと飲み足りない?」
桜「いいねいいねー、そうこなくっちゃ」
桜「日本酒同好会は二次会三次会何でもありだー!」
桜「んー、そうだなー、でも具体的にはどうしよっか?」
桜「……」
桜「んんん……」
桜「あ、じゃあ今日こそうちに来て家飲みする?」
桜「今日はまだそこまで酔ってないし、ここからなら歩いていける距離だし」
桜「オッケー? 決まり! よーし、そうとなったらさっそくうちに……って、あ」
桜「そうだった、ストックしてある日本酒がもうないんだった」
桜「この前おいしいカツオのたたきをもらった時に全部飲んじゃって……あはは」
桜「あ、じゃあちょっとお店に寄っていこうか? ちょうど近くにいい行きつけの酒屋さんがあるんだー」
桜「面白いところだから、見ておいて損はないと思うよ」
桜「お、行きたい?」
桜「よーし、決まり、じゃあ行くぞー!」
***
桜「こっちこっち、もう少しだから」
桜「うん、そう。そこが神田明神。その近くににあるんだよ」
桜「ほら、あそこ。看板が見えるでしょー?」
桜「じゃあ入るよ? すみませーん、二人なんですけどー」
桜「ふふー、すごいでしょ、ここ」
桜「日本酒、すっごいたくさんあるよねー」
桜「あのね、ここの面白いところは、冷蔵庫にあるお酒が全部試飲できるんだよ」
桜「そう、全部!」
桜「これだけあるとどれから飲んでみればいいかわくわくしてこない? 私はくるよ! ぎゅんぎゅんくるよ!」
桜「というわけで気になったのを試飲してみて、よかったのを買ってこ」
桜「さ、選ぶぞー!」
桜「よし、私はこれとこれとこれ、っと……」
桜「きみはなににしたのかな?」
桜「お、『颯』と『黒牛』と『祝蔵舞』。いいチョイスだねー」
桜「私は『七冠馬』と『九尾』と『四海王』にきーめたっと」
桜「ふふー、こうやってたくさんの銘柄を見ながらどのお酒にしようかって選ぶのって楽しいよねー」
桜「思わぬレア銘柄を見つけたらガチャでURを当てたみたいな気分になるし」
桜「知らない銘柄を教えてもらっても得した気分になるし」
桜「もうなにしても楽しいよね!」
桜「じゃあちょっとだけ飲み比べしてみよー!」
桜「うん、このお店はそこのテーブルに座って試飲できるんだよ」
桜「好きな銘柄を選んで、ボトルを持っていくと、それを店員さんがグラスに注いでくれるの」
桜「大まかな分類で言えば角打ちっていうんだけど……ま、細かいことはあとあと」
桜「まずは飲も飲も」
桜「それじゃあ――かんぱーい♪」
桜「……はぁ、おいし」
桜「きみはどれが好み? お、『祝蔵舞』かぁ。いいところをついてくるね」
桜「私はこれかなぁ、『九尾』。フルーティですっきりしてて、いくらでも飲めちゃいそう」
桜「ふふ、こうやって色んな銘柄をちょっとずつ飲み比べながら何を買うか選ぶのも面白いよね」
桜「日本酒好き同士じゃないとなかなかできないことだよ、うんうん」
桜「はー、でもほんと楽しいなー」
桜「このお店は普段からよく来るけど、今日がいっちばん楽しい」
桜「なんでだろ? 特にイベントとかやってるわけじゃないのに……」
桜「……」
桜「ん、あ、そうか、きみといるから楽しいのかな?」
桜「ひとりじゃなくて、きみがいるから……」
桜「……」
桜「なんだろ、こういうの、酒屋デートっていうのかな?」
桜「……」
桜「デ、デートって……なにいってるのかな!」
桜「いや私が言ったんだけど!」
桜「うう、ほんと、きみといると調子が狂うな……」
桜「……」
桜「そ、そろそろお酒は飲み終わったかな? 飲み終わったよね?」
桜「買ってくお酒ももう決まったよね? じゃあそれ持って、うち行こ!」
桜「……」
桜「……だって……」
桜「……これ以上ここにいたら、ヘンな酔い方しちゃいそうなんだもん……」
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