第3話 幕間~飲んだ後、夜風に吹かれながら熱燗の話~

桜「どうも、ごちそうさまでしたー!」



桜「はー、おいしかったねー」

桜「やっぱりいいお店だったなー」

桜「日本酒ももちろんだけど、料理ももう全部お酒にぴったりで……」

桜「ああいうのをなんだっけ、マリアージュっていうんだよね?」

桜「やー、結婚って、うまいこと言ったもんだよねー」

桜「ほんっと、日本酒と料理がお互いに運命の相手を見つけたみたいっていうか……」

桜「あ、あとあと、お店で女将さんに教えてもらった熱燗のおいしいつけかた!」

桜「一度熱々まで温度を上げてから冷ますと味と香りが開くとか」

桜「熱燗に冷酒を混ぜて温度調整をすると風味が変わってくるとか、ぜんぜん知らなかったよー」

桜「あれは絶対に自分でやってみたいなー」

桜「……」

桜「……(うずうず)」

桜「ね、今日、やっちゃおっか?」

桜「……」

桜「えっと……」



桜「うちまで……くる?」



桜「……」

桜「……」

桜「えー、酔いすぎだから今日は帰った方がいい? うー、それはそうかもだけど……」

桜「……わかったよー。今日はきみの言うことを聞くことにするー」

桜「『睡龍』とかを熱燗にしてみたかったけど、それはまたの機会にとっておくことにするよ」

桜「……」

桜「でもそのかわり、今度また飲みに行く計画があるんだけど、それに付き合ってくれる?」

桜「次のはお店飲みじゃなくて、ちょっと変化球な感じなんだけど」

桜「あ、だけどちゃんと楽しいやつだからそこは心配しないでだいじょうぶだよ」

桜「どう……かな?」

桜「……」

桜「おっけー? やった、さすがー! じゃあじゃあ決まりね」

桜「ふふ、きみと飲むのは楽しいからお誘いにのってくれてすっごくうれしいんだー」

桜「じゃあまた連絡するから!」

桜「おやすみー!」



桜「……」

桜「あ、そうだ、忘れてた」

桜「えっとね……」



桜「家に帰ったらちゃんとお水とヘパリーゼを飲むんだよ? ヘパリーゼは無敵、最強! お酒は飲んだ後のアフターフォローが大事なんだからねー」


***


桜「ただっいまー!」

桜「……」

桜「ていっても私しかいないんだけどね」

桜「うーん、一人暮らしにもだいぶ慣れたけど、やっぱり帰ってひとりだとちょっとさみしいかも」

桜「迎えてくれるだれかいてくれるといいのになあ……」

桜「って、そんなこと言ってもしょうがないか」

桜「……」

桜「ふー、それにしても今日も飲んだなあ……」

桜「全部で四合くらいかな。ふふ、すっごいいい飲みだったなー」

桜「あの子と飲んでるとほんっと楽しいんだよなあ。時間が経つのを忘れちゃうっていうか」

桜「……」



桜「……もうちょっと、いっしょに飲みたかったのにな」



桜「……」

桜「……って、な、なに言ってるんだろ。今のナシナシ!」

桜「うう、酔ってるのかな。こんなこと思うなんて……」

桜「それにお店で……その、間接……」

桜「……」

桜「う、うん、でもいっしょに飲むのは楽しいもんね。それはほんとのことだし……」

桜「楽しいことはいいことだよ、間違いない」

桜「……」

桜「あ、それより次にいっしょに飲みに行く計画、ちゃんと立てないと。よろこんでくれるかなー?」

桜「今度のはまたちょっと違う感じだからどういう反応するかなー」

桜「ふふ、わくわくする飲みのネタはたくさんあるから、絶対楽しませてみせるし」

桜「うん、熱燗をよりおいしく飲むやり方を実践するのも、次にいっしょに飲む時にとっとこう」

桜「楽しいことはだれかと分かち合った方がいいもんね」

桜「……」

桜「さ、それじゃメイク落として、シャワー浴びて寝よっかな」

桜「明日もまた一限から授業だから早く寝ないと」

桜「あ――でもその前に。

桜「忘れてた。まずはこれこれ」



桜「――ヘパリーゼを飲まないと♪」

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