外伝 夢を喰らう少女と夢を失った少年 第三話 少女の開心
………あ……あれ?ここはアタシの家…?確か森の中でアレンに告白しようとして、失敗して魔力切れでぶっ倒れて……
「お、起きたか?」
「ア……アレン?」
アタシは今すぐにでもアレンを襲いそうになったわ。でも、体が上手く動かせなかったみたい…
「おいおい?一応熱が出てる訳だし、あまり激しい運動はしない方が良いぞ?」
「え、熱…?」
「あぁ、さっき俺の取得スキル『看護』で熱を測ったんだ。そしたら39.5度の高温状態だったんだ」
「え…そうなのね?道理で体が怠い訳ね…アレン、抱っこしてぇ?」
「また襲うつもりか?でも、病人の願い事を聞かない訳にはいかないし…仕方ないな、手を貸せ?」
アレンはそう言うと、アタシの手を取ってお姫様抱っこをした。その時のアタシは嬉しさがMAXになって、完全に理性が消えてしまっていた。
(ミネラルア、アレンの頬を舌で舐める)
「ひゃんっ…!?落ち着け、飼い主に懐きたての犬かよ?」
「きゅわぁ~ぁん…ヘロヘロへロへロ…」
はぁ~ん…アレンの匂いはいつ嗅いでも堪らなぁ~い!
「はいはい、マーキングも良いけど…今は病気を治すのが最優先だろ?」
「んんっ…そうね、今は安静にしておくわ…」
アタシはそう言ってベッドで横になった。それを見てからアレンは
「薬草を取ってくるから、絶対にベッドから動くんじゃねぇぞ?」
と言い残して家から出て行った。そしてアタシは家に一人残された…そういえば、今までは一人で暮らしていたけど、ここ数ヶ月はアレンがアタシの家族になったから二人で行動する事が多かったわね?だから、こうして家で一人きりになったのは随分久し振りな気がする…前までのアタシだったらこの展開は慣れっこだったけど、今のアタシは甘えん坊が過ぎて少しでも一人ぼっちになったら…寂しい……あぁ、寂しいなぁ……アタシの為とは言え、アタシを一人ぼっちにしたんだ。帰って来たらたくさんご褒美を貰わないと…
アレンが家を出て数時間が過ぎた。……………遅い……………遅い……………遅い……………遅すぎる……………あぁーあ、寂しいなぁー……………アレン、アタシの事嫌いになったから一人で休憩しているのかな……………?
「うぅっ…ヒグッ…うぅっヒグッ…うぅっ…ヒグッ…うぅっ…ヒグッ…うぅっ…」
気が付いた頃にはアタシは一人で泣きじゃくっていた。何でこんな気持ちになったのかは分からない…いいや、アタシの中に最初から入っていた感情が溜ま魂爆発しただけなのかもしれないわね?
「ヒグッ…うぅっ…ヒグッ…アレン…早く帰って…」
(アレン、玄関の扉を開ける)
「ただいまぁー!遅くなったな、今帰ったぞぉー」
「アレン…ヒグッ…うぅっ…ヒグッ…」
アタシはアレンが帰って来るなりアレンに飛び付いた。
(ミネラルア、アレンを抱き倒す)
「ど…どうした?そんなに泣いて…」
「うわあぁぁぁぁん!!許嫁のアタシを何時間も待たせて…馬鹿馬鹿馬鹿ぁー!!」
「な…何かよく分からんが、辛い思いをさせて済まないな?」
「うわあぁぁぁぁん!!」
アタシは泣きながらアレンの胸に顔を埋めた。アタシの涙と鼻水でアレンの服が汚れる事なんか全く考えないで我武者羅にアレンに抱き付いた。
「と…とにかく、薬草を見つけてきたから…配合して飲ませるから、良いな?」
「ズズゥーッ……分かったわ」
「汚いな、俺の服で拭いて良いから鼻水と涙を綺麗に落とせ?」
「え…?良いの?」
「そのままにしたら熱がまた酷くなるからな?そうならない様にするんだ、お前の弱った姿を見たくはないからな?」
アレン…優しいのね…そう言われると、もっと甘えたくなるじゃないの…
(ミネラルア、アレンをベッドに押し付ける)
「あはははは!!」
「んなっ…何をするんだ?」
「マーキング…いつもより強めの…」
「まぁ、良いけどさ…髪ボサボサだぞ?」
「え?」
「マーキングが終わったら髪を梳いてやるからな?」
「分かったわ…」
その後、アタシはアレンに一週間分の匂いを擦り付けた。
「いや、気持ち悪過ぎるだろ(作者)!」
その後、アタシはアレンに髪を梳かれていた。
「うにゃぁ~ぁん…」
「ただ髪を梳いているだけなのに…こんなにも気持ち良い声を出すなんて、淫乱だな?」
「だっ…誰が淫乱よ!」
「常日頃毎日俺に全裸で抱き付いてくる奴を淫乱と呼ばず何と呼ぶ?」
「アレはアタシなりの愛情表現よ、ディスらないでくれない?」
「ディスってはいない…ただ、意識しちゃうから…」
恋のアンテナ出現ー!もしかしたら夢にまで見たアレンとのランデブーも射程範囲に入ったのかしら!?いやいや、もしかしたら別の視点での意識なのかもしれないし…早まるなミネラルア!運命の人になるにはもう少し我慢が必要みたいね?
「まぁ、こんなものだろう」
そう言って、梳き終えた髪を見てみると…綺麗なツインテールが出来上がっていた。
「おぉ…可愛いじゃないの!」
「気に入ってもらえて良かったよ」
「そういえばずっと髪は伸ばしているだけだったから、たまにはこんな風にイメチェンするのも悪くは無いわね?」
「そうだぞー?お前は可愛いんだからもっとスタイルには気を配らないと…」
「かっ…可愛い!?」
「うん、充分可愛いぞ?」
「てっ…照れるじゃないの…でも、悪い気分じゃないわね(恥)…?」
「おぉー、ツンデレですかぁー?」
「だ・れ・が・ツ・ン・デ・レ・だ・!」
「そういう所がツンデレそのものなんだよね?」
クゥ~ッッ!!元・独り身だったアタシの心に強く響くな、その言葉は!!いや、別に肯定されるのが癖な訳ではないんだけどね!でも…アレン…アンタとの生活、正直に言ってマジで楽しいわ!
(ミネラルア、アレンに抱き付く)
「うおぉっ…!?」
「…♪」
ありがとうね、アレン…アンタに出会えて…アタシ…良かったわ!
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