第九章 〈奇跡の子〉の力と〈哀〉の愛 第四話 〈哀〉を止める始まりと〈哀〉と〈諸悪の根源〉の過去

さてさてさぁーて…今日は仕事が休みなので、自部屋でゆっくりとしている。はずだった…




「セイバァ~…♡」


「お兄ちゃ~ん♡」


「我も我慢出来ぬ…がぶっ♡」


「旦那様ぁ~ん♡」




ハ、ハーレムかコレ!?俺の思っていた冒険者ライフとは180°シフトチェンジした冒険者ライフになっているんですけど!?しかも、俺を含めた全員が薄着だし…これはいつあんな事になっても無理はないぞぉー!?


(メリアとローズ、ランガとリリル、セイバーの衣服を脱がす)




「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい…!?」


「「「「一緒に…なろ?」」」」


「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁ!?たぁぁぁすぅぅぅぅけぇぇぇぇてぇぇぇぇっっ!?」




こうして、俺の休日はエッチな事で全て潰れました。チャンチャン☆




 あれから暫く時間が経った…俺はベッドで横に…なっていなかった。目が覚めた頃にはまたあの空間に呼び出されていたのだから。




「はぁ…ミリアさん、いきなり呼び出すなんて…今度は何用ですか?」


「まぁ、簡潔に言うと…サファイアルの下部になっている女の子達を救出して欲しいのです」


「想定通りの展開ですね…リリル…いや、元・ツーゲリも体を男に改造されていましたから、他の部下達も似た事になっている事も…それも、全員特攻状態でやって来ましたからね?」


「想像通り…ですか」


「あ、そうだ!アリアンの魂と体を俺の世界に戻す事は出来ないだろうか?」


「戻してどうするんです?」


「彼女を殺してしまった罪を償う為に謝りたいんです…彼女は死に際に俺を殺そうとしていたとはいえ、無実の命を奪った事には変わりはありません…」


「…………貴方は私に似て優しい心の持ち主なんですね?良いでしょう、〈獣仁志・混沌神〉に交渉してみます」


「混沌神に交渉…?」


「えぇ、魂の管理は〈獣仁志・混沌神〉が担当していますから…まぁ、貴方の理由をそのまま伝えれば彼も納得して交渉に応じてくれるでしょう」




良し、これで罪を償う事が出来る。




「あぁ、話が逸れてしまった…それで、サファイアルさんに体を改造された女の子達は何人居るんです?」


「私が現状確認している数ですが…あと13人は居るでしょう…」


「13人…ですって…!?多過ぎる…そんな多数の罪のない女性達の体を…勝手に改造しているなんて…」


「そうです…私もこの行為は許せない気持ちでいっぱいです。この事件は全て…サファイアルの身勝手で歪んだ愛によって引き起こされています…だから、セイバー・クラニカルさん…」




俺がそう憤っていると、ミリアさんは俺に頭を下げてこうお願いして来た。




「貴方が頼りです、もう貴方にしか彼を止める事は出来ない、だから…お願いです、彼の野望を止めて世界を滅亡の危機から救い出してください!」




涙を流しながら彼女は俺に懇願して来た。しかし、彼女の言葉は続く…




「しかし…彼はただ『あの罰』の連鎖を止める為に貴方を狙っているんです」


「あ、『あの罰』…?」


「えぇ…それはまた今度話すとして…それと、貴方に一つ警告しておきます…」


「警告…ですか?」


「何があっても…あの人を好きになってはいけませんよ?貴方が死ぬ事に成り得るんですから…分かりましたね?」




あ…「あの人を好きになってはいけない」か…前回は「あの人を敵に回してはいけない」って言われたけど、その「あの人」とは何の事だろうか?気になり過ぎて夜も眠れない…




「あぁ、もう時間が迫っています…今回はここまでにしましょう…次もまた会える事を待ち望んでいますからね?」


「一つ聞きたい…俺は貴方にとって何なんだ?」


「一言で言うなら…@*##$%ですかね?」


「え?何て…?」


「では、また会いましょうね?」




彼女がそう言うと、俺の意識はその空間から離脱した。




 翌日、俺はノーレルさんと二人で今後の作戦を考えていた。俺はとりあえず、現状サファイアルさんによって体を改造されている女性の数を伝えた。すると、彼の顔は憤りに満ち溢れてしまった。




「それは何があっても許せない事でっせ…今すぐ解放するべきでっせ?」


「しかし、〈奇跡の子〉の力を覚醒する事が出来たのは…現状俺だけですし、こちらには〈獣仁志〉が三人も居ますが…〈創神〉は〈獣仁志〉の中でもぶっちぎりで強いんでしょう?仮に俺達四人で彼に総攻撃しても負ける未来しか見えません…」


「そうですね…」


「なので、まずは〈奇跡の子〉の力を宿しているサルタとランガに覚醒してもらう事…そして、他のメンバーの戦力増強を…」


「それなら私に任せろ…」




俺とノーレルさんが話している場にリンさんが現れた。しかも、露出度が高い服装で…




「我等の仲間は全体的に見れば強いが…神と戦う事を想定するなら、まだまだ弱い…せいぜい私とネルヴィン、そしてここには居ないワンだけが互角に戦える程度だ。最低でも全員レベル1000にはならねばサファイアル殿とは戦えまい…そこでだ…」


「何です?」


「セイバー殿、お前の『創眼』でスノウ殿達に『経験値10000倍』のバフを付与してくれないか?」


「そんな都合の良いスキルを付与出来る訳がないでしょ?俺にも限界というものがあるんですし…」


「おやおやぁ?そんな事も出来ぬなら、サファイアル殿を止める事も出来ぬぞ?」


「カチーン!良いですよ、しかし、彼等がどうなっても知りませんからね?」


「との事だ、皆、出て来い?」




リンさんがそう言うと、スノウにサクシャイン、マヤにミネラルア、サルバンが部屋に入って来た。




「さぁ、我等もセイバー殿には負けてはいられないよな?」


「うん!ここ最近、ずっとセイバーしか活躍してないミャウ!」


「メタ発言やめい!」


「わっちはお主に借りがある…今回はそれを返す事は出来ぬが、お主の力になりたい…お主が世界を守りたいなら、わっち等も同行しよう!」


「なにせ、私達はこの島一の実力を持つパーティーなんですから!」


「アタシも…アイツの分までこの世界で生きなきゃいけない、だから…サファイアルなんかに世界を滅亡されて堪るもんか!アンタの力で私達を強くして、お願い!」


「セイバー…君にはサクシャインを元に戻してくれた恩がある。その恩を返す為にも、僕は強くなりたいんだ!仮にも僕は妖精王、仲間を守る為にも戦いたい…頼む、僕達にバフを付与してくれ!」


「皆…分かったよ、でも…強くなるかと言ったからには、俺が頼れる仲間になってくれよ!」




俺はスノウ達五人に…




「いいや、私とネルヴィンにも付与してくれ?」


「僕も強くなりたいんだ!今よりも…強い奴と戦える様になりてぇからな?」




はーい、分かりやしたぁ~…俺は7人に「経験値10000倍」のバフを付与した。しかし、「創眼」でこんな事が出来るとは…もしかしたら、あんな事も出来るかも…俺は試しにある魔道具を創造した。




「『〈禁忌の魔道具〉』…創造!」




そう唱えると、俺の周囲が闇の煙に包まれた。そして、俺の目の前に5つの道具が召喚された。




「セイバー君…これは一体?」


「俺の父が厨二病の時に考えていた道具です。まさか、実物が出来るなんて…」


「見るからに痛い見た目だな…セイバー殿、お前が厨二病なんじゃないか?」


「違うわい、俺の父が厨二病なのぉー!!」




良し、これで戦力の確保問題は解決しただろう。これで、数日あればサファイアルさんを止める戦いに臨める!




「あ、あのぉ~?ここは何処ですか?」




おっと、そういえばアリアンの魂をこっちに戻す様に言ってたよな?つまり、今話し掛けてきた女性が元・アリアンなのかな?俺は怯える彼女に優しい言葉を掛けた。




「君が元・アリアンだね?」


「は、はい…ここは何処ですか?」


「俺が働いている店だ。あと、君には酷い事をしてしまった…それを謝罪させてほしい、すまなかった!」




(セイバー、元・アリアンに謝る)




「いえいえ!そんな謝らなくても…それに、私はそれ相応の罪を犯した訳ですし…もう一度生きる事なんか許されるはずがありません…」


「罪は幾らでも償える…でも、死んだらもう一生罪は償えない。それだけは忘れないでね?」


「は、はい…分かりました…あ、私はアリアンではなくルルスと言います。リリルの妹です」


「ルルス!生きてたんだね!」




いきなりリリルが飛び出して来た。




「心配したんだぞ、この馬鹿妹がぁー(泣)!」


「お姉ちゃん…心配かけてゴメンね?」


「姉妹の感動の再会ですかい…ここは二人きりにしてあげましょうぜ?」


「そうですね…二人共、俺の部屋でゆっくり語り合うと良い…」


「「ありがとう、お兄ちゃん!」」




お…「お兄ちゃん」…!!疲れた心に優しく響く言葉だな、これで明日からも楽しく生きれるぞ!




「さぁて、〈トライデント・キャラバン〉の皆さんのレベルアップの準備も整いましたし…後は…」


「サルタとランガの試練のみですね?」


「呼んだぁー?」


「我に何用だ?」


「二人共、丁度良かった…」


「二人にもセイバー君同様、試練を受けてもらいまっせ?」


「「試練?」」




そうして、俺達はここから本格的にサファイアルさんを止める作戦に取り掛かったのだった。


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