第八章 〈哀〉の神とその下部達 第一話 最悪の始まりとエチエチな二人組

「サファイアルさんが…世界を悲しみで包み込もうとしている!?」


「えぇ、置き手紙を見てから気付きやしたが…もう少し早く気付いていればこんな事態にはならなかったんですが…実力不足とは正しくこの事でっせ…!」




サファイアルさんがそんな事をしようとしているなんて…てか、「世界を悲しみで包み込もうとしている」ってどういう事だ?イマイチ実感というものが湧かないんですけど…




「あの、世界を悲しみで包み込もうとしているって具体的にどういう意味なんですか?」


「簡単に言うと…この島が…いや、この世界全てが絶望に包まれて、やがて世界は滅ぶんですよ…彼にはそれを実行できる力が備わっているんですから…」




な、何なんだよそれ…簡単に言うと、サファイアルさんはその気になれば世界を滅ぼす事も容易という事なのか!?それはマズい…早く彼を止めなくては、この世界が…




「あぁ、そう急ぐ事はありんせん。彼が今すぐその力を使える訳ではないんで」


「と…言うと?」


「彼がその力を使うには大量の魔力が必要なんですがね、それを集めるのに最短でも3年は掛かるらしいんですよ?」


「3年…長い様で短いですね?」


「ですが…あの人は部下を使って罪のない人間達から必要な魔力をかき集めているんで、それを考慮して考えると…半年後にはその力を使ってあの人を復活させているでしょうね?この世界の全ての命と引き換えに…ね?」


「な、何故こんな事になったんですか…そもそもの話、あの温厚なサファイアルさんがこの事件を引き起こすとは到底考えられないんですけど?」




俺がそう問いを投げると、ノーレルさんはこう言葉を返してきた。




「まぁ、『普通の彼』ならこんな馬鹿みたいな事件は引き起こしません…しかし、セイバー君…君の存在が彼をこう動かしたと考えられます…この考えはあくまで僕っちの理論に過ぎませんがね?」


「俺の存在がサファイアルさんをこの事件を起こさせる動機になったという事ですか…?」


「君は既に…ミリア殿から君自身が〈奇跡の子〉だと教えられているはずでっせ?その力欲しさに彼はこの作戦に打って出たと言う事なんすよ?」




なるほど…〈奇跡の子〉欲しさにこの行動に出たという事になるが…そんなに〈奇跡の子〉が大事なのか?俺自身その存在がどういう物なのか全く理解出来ていないので、選ばれし存在とか言われても実感が湧かない…




「あぁ、セイバー君…もし彼と対峙した場合、これだけは絶対にやらないでくだせぇ?」


「はい?」


「何があってもあの人を敵対視する様な言葉を掛けちゃいけねぇぞ?」




この言葉…以前にも聞いた事がある様な気がする。その「あの人」とは一体誰の事を言っているんだ?




「それも大事ですが…彼の刺客がここにもいずれ来るでしょうね?」


「刺客…サファイアルさんの…ですか?」


「えぇ、彼はあの目的の為にはどんな手段も厭いません…味方だった僕っち達も邪魔するなら排除されるだけでっせ?」




サファイアルさん…貴方が何を企んでいるかは全く分かりませんが、世界を滅ぼそうとしているなら黙って見ておく訳にもいきません!何があっても貴方を止めてみせます、レベルが∞でも必ず勝ってみせる!




「しかし、セイバー君…」


「はい?」


「君は〈神族〉を使い魔にしたと分かりましたが、恐らくは今体が動かないのはそれが影響しているかと…」




そうか、そういえばそうだった。てか、契約は成功してたのねぇー!?という事は、その気になれば召喚出来るという事になる…いやいや、確かにメリアさんとは契約したけど、彼女が〈神族〉!?彼女は一村人に過ぎねぇんだぞ、そんな強い仲間が増えたとか都合の良い話がある訳がない!俺はプルプルになった腕で彼女を召喚してみた。


(メリア、セイバーによって召喚される)




「…………ん?ここは…何処?」


「ほう、この子が〈神族〉…見た目は華凛な少女にしか見えませんがねぇ?」


「よし…召喚成功だな…」


「セイバー!?凄く弱っている様に見えるけど…そこのおじさん、セイバーは大丈夫なんですか!?」




(ノーレル、メリアの尻尾を引っ張る)




「ぎにゃぁああああ!?」


「誰がおじさんですかい、僕っちは永遠の20歳でっせ?」


「ノーレルさん、落ち着いてぇーっ!?」




はぁ…世界滅亡の危機が迫っているというのに、二人の様子を見ているとその事も忘れてしまいそうになるな?まぁ、平和なのは良い事だし…おっと、そんな事はどうでも良いんだ。俺はメリアさんのステータスを見てみた。すると、それに書いてあったのは…


○メリア・ルージュ


 ●レベル:1035


 ●種族:神族


神族…やはり神族なのかぁ…?納得がいかない、だって彼女は普通の獣人族なんだぞ?それが、たった数年会わなかっただけで種族が変わる事なんか有り得る物なのか?




「まぁ、有り得ない事かと言われたらそうではないっすね?獣人族は稀に進化する事があるんすよ?」


「進化…ですか?」


「えぇ、メリアさんの場合は〈獣人族〉から〈神族〉へと進化したと言えるでしょう」


「私が…進化…?」




へぇ…つまりは、俺も進化する可能性があると言う事か。しかし、心強い戦力が味方に付いた事は事実だ。




「あ」


「ん?どうしたんですかい?」


「少し…マズい事を思い出しただけです、ハハハ…」


「マズい事ですかい?セイバー君の愛人とも再会出来て良い事だらけではないですかい?」


「それはそうなんですけど…俺には妹設定の女性が居るんです…」


「妹…ですかい?妹なら別に良いじゃないですかい、彼女も快く受け入れてくれるはずですぜ?」


「ただの妹なら良いんですけど…彼女は形式上の妹、血は繋がっていないんです」


「えぇっと…奴隷を妹にしたという事ですかい?」


「うるさいですね、気にしてるからあんまり声を大にして言わないでください!」


「セイバー?」




次の瞬間、メリアさんに飛び付かれ、首筋を甘噛みされた。




「おぉ、見応えがありそうなシーンですねぇ?」


「そんな事言ってないで助けてぇー!?」


「私以外の女を妹にして…ずぅーっとベタベタしてたとはねぇ…私はずっとあそこで見てたんだよ?」




やはり見られていたか…そういえば、ローズは俺以外の人間にあまり心を開いた事がなかったからな…そりゃ俺にあんなに甘える訳だ…しかし、そんな言い訳がメリアさんに通用する訳がない。彼女の甘噛みは次第に強くなっていく…




「いだだだだだ!?落ち着いてください、貴方仮にも15の大人ですよね!?」


「私は永遠の5歳なのだぁー!」


「お兄ちゃん、なんか騒がしいけど何してる…」




あ。




「えー!?」


「えーー!?」


「えーーー!?」


「えーーーーー!?」


「「あぁぁぁーっ!?」」




終わったぁ…………終わりました、只今俺の人生終了致しました!これは確実に殺されます!




「お兄ちゃん…この人…誰?」


「えぇーっと、これにはふかぁーい事情が…」


「あ、ローズ君…彼女はセイバー君の許嫁でっせ?」


「ばぁっかっ!?」




ノーレルさんがそう説明すると、ローズも俺に飛び付き、メリアさんが噛んでいない方の首筋を甘噛みした。




「ちょっ、ローズ!?」


「私も負けていられないよぉー!!ハムハムハムハムッ!」


「んなっ!?私だってぇー!」




な、何なんだこの光景は…?これをサルバンに見られてみろ?確実に殺され…




「セイバー君、良かった、意識が戻っ…」




あ。




「セイバー・クラニカル…汝は我の心を傷付けた、万死に値する…万死に値するぅぅぅ!!」


「だ、誰なのこの坊やは!?」


「誰が坊やだ!」


「君みたいな子供がそんな強い言葉を使っちゃ駄目だよ?」


「誰が子供だ!僕はこれでも100年も生きているんだぞ!」


「わー、凄いね凄いねぇー」


「称賛に値するよぉー」


「んなっ…!?」




あ。ヤバい…完全にサルバンの心を抉ったな。




「僕よりも年下の分際で僕を愚弄するとはどういう頭してんだ貴様等ぁー!!極刑だ貴様等…極刑だ貴様等ぁぁぁー!!」




俺は二人を抱き抱えてサルバンの追走から逃れようとした。




「すみませんすみません、もう本当にごめんなさぁーい!!」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(怒)!!」




鬼ごっこは5時間続いた。




 さて、サルバンにはある程度事情は伝えたし…これでようやく話が…出来る訳もなかった。今はもう午後10時…皆眠っている時間だ。俺の部屋には俺以外に二人いる。そう、ローズとメリアさんだ。




「セイバァ~…♡」


「お兄ちゃぁ~ん♡」




あ、これは完全に発情モードへ直行しているな、おい?某エロ漫画のアレと完全に展開が合致しているんですけど?ちょっと待ってくれぇ、心の準備がまだ整っていない件について提唱するぅぅっ!!いや、10歳にも満たないのにセ〇クスした俺が言える台詞ではないかぁ!




「今夜は長い夜になりそうですねぇ?」


「お兄ちゃんを精一杯癒してあげますからねぇ?」


─ セイバーの脳内の会話 ─


『え、ナニコレ!?もしかして二人同時に快楽の世界に導かないといけないの、そうしないといけない訳!?』


『いいや、無理無理無理無理!!まだ俺は15歳になったばかりのひよっこ、こんな大人の世界なんかまだ早いとしか言い様がない!激辛料理や鼻にワサビ入れても良いからこの状況から脱出させてくれぇ!!……………いいや、やっぱりワサビは無理ぃぃっ!!』


『しかし、二人を満足させねばいけないのは事実!』


『ここは諦めてセ〇クスしないといけないのか?』


『『ん?』』


『『模擬セ〇クスマシーンがあるじゃねぇか!』』


『いいや待て待て、セイバー・クラニカル、お前は純粋な二人の想いを機械で踏み躙る様な真似が出来るのか!?そんな事出来るはずがぁあぁねぇぇっ!!もしそんな事してみろ、狂人確定ルート直行だぞぉー!?』


『そうだとも、そんな事出来るはずもない…でもぉっ、だからと言って二人分満足する様な行為が出来る訳がない…でも機械は使いたくはなぁぁいぃっ!!』


『『生身、機械、生身、機械、生身、機械、生身、機械、生身、機械、生身、機械、生身、機械生身、機械、生身、機械、生身、機械、生身、機械…!!』』


『『はぁっ!?』』




─ 元の世界 ─


俺が取った選択は…生身で二人を絶頂させる選択だった。




「はぁぁ~ん…もう入らないぃ~っ♡」


「うにゅぅう~ん♡」


「はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…よし、やりきったぞ!二人を満足させ…」




(メリア・ローズ、セイバーに抱き付く)




「「まだまだ愛してぇ~ん♡」」


「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁーっ!?」




それからとはいうもの、メリアとローズは毎日ヤらないと落ち着かない体質になったのでした。チャンチャン☆




「フ○○○ュー、俺のチ○コが保たんわ!」

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