第七章 妖精王と特級魔術師 第三話 エッチな猫娘と新たな〈トライデント・キャラバン〉

ここは確かにこの世とあの世との狭間だが、彼女が俺に殺されて死んだのはもう7年も前の話だ。普通なら未練も果たされて成仏しているはずだが…




「久し振りだね、セイバー?」


「メ…メリアさん、何故ここに?」




俺がそう聞くと、彼女は顔色を色気マックスモードへチェンジし、俺に馬乗りになった。




「な、何をするんだ!?」


「ずっと…ずぅーっとぉ…我慢して来たんだよぉ~?」


「何をだよ!てか、ここは皆が見ている場所なの、こんな公衆の面前でこんな卑猥な事しちゃいけませー…」


「はむっ…♡」


「きゃいぃん!?」




あぁ、始まってしまった…彼女はこうなると、もう彼女自身でも制御不能になるのだ。はぁ、久し振りの挨拶が言葉ではなく、体での挨拶とは…この真実だけでも胃がもたれていくぞ、コレは!




そうして、彼女の挨拶が数分行われた後に、メリアさんは俺にこうお願いしてきた。




「はぁっ…はぁっ…はぁぁんっ!?」


「ア〇ルにキュウリ○れながら人に頼み事をしようとするんじゃない、例え愛人でも引くわ!」


「はぁぁんっ…♡」




え?またキスするの?さっき一週間分のキスをしたはずだよね?もう俺の口に君の液は入らないんですけど?




「むごごごっ!?メリアさん、こんな事は後からでも良いでしょう?それより、俺にお願いがあるって言ってたけど、君が成仏出来ない理由に何か関係でもあるの?」


「むうぅっ…!レロレロレロレロ…!!」


「きゃいぃん!?…うぅぅうっ、わおぉおんっ!?」




駄目だよコレ、傍から見れば獣同士で交尾してるのと何ら変わりないじゃねぇか?




『聞いてセイバー?』


『ん…心の声で会話しようと言うのか?』


『うん、これは皆の前で話せない事だからね…私は今、この世界に棲み付く魔物と戦っているんだよ?』


『あぁ…そうなんだな…』




魔物、か…この世界にも魔物が存在しているんだな?しかし、一介の魔物を相手する為にまだ成仏していないとは…この問題には何か大きくドス黒い裏事情があるに違いない。




「はむっ…はふはふっ…うにゃあぁ~ん♡」


『分かったから、口付けしながら会話するのは止めてくれぇー!』


「きゃいぃん!?あはぁんっ!?ういぃいんっ!?」


『ごめん…止めたいんだけど、体が言う事を聞かなくって…』


「ヘロヘロへロヘロヘロ…!!」




よし、彼女がここに留まり続ける理由は分かった。そして、ムラムラしている事も理解出来た。このまま流れに身を任そう…とか言ってる場合じゃあぁねぇぇ!!どうしよう、このままだとあんな事に及ぶ可能性が高い件について提唱しまぁーす!


(メリア、自分とセイバーの衣服を脱がす)




「はぁぁ~ん♡」


「なぁっ…!?」




なぁーにしてくれやがんだ、この雌猫!?今は誰にも見られていないから大丈夫だろうけど、一人でもここに人間が居たら黒歴史確定ルート直行じゃねぇか!




「セイバァ~…セ〇クスしようよぉ~?」


「仕方ない…これはやりたくなかったんだけど…」




俺はサファイアルさんが作った機械…思い出すだけで吐き気が出て来る…あの機械を再現して出そうとしていた。そう、その機械とは…


(セイバー、模擬セ〇クスマシーンをメリアに装着させる)




「あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ…♡」


「よし、これでR-18にまで過激さを下げる事が出来たし…無駄に体力を減らす事も避けられた」


「セイバァ~…にゃにこれぇ…私の性線に程好くアタックしてくるこの機械はなぁーにぃ~?うはぁぁぁ~ん♡」


「さて…それで、その魔物は何処に居るのかな?」


「その淫乱猫に聞く必要はないぞ、セイバー・クラニカル?」




俺とメリアさんが会話している所に聞き覚えのない女の声が聞こえてきた。




「だ、誰だ!?まさか、この声の主がメリアさんの言っていた魔物なのか!?」


「おいおい、勘違いも良い所だぞ?団長の許嫁さん?」




い、いきなり俺の間合いに彼女は介入してきた。しかも、俺が気付く前の数秒の間に…この女、ただ者ではないな?俺が両手に剣を構えようとした時だった。




「違うよぉ…ひゃうんっ!?セイバァ~…うぅうんっ!?その人は味方…だよぉ~…ひゃうぅあぁおぉん!?」


「メリア殿、私の説明をする前にその状態を何とかした方が良いんじゃないのか?」


「た…たしゅけてぇ…リン…みゃあぁうぅんっ!?」


「全く、セイバー殿…貴方はどんな機械を作って彼女を実験台にしているのやら…」




すると、謎の女性はメリアさんに向けてある魔法を放った。




「『絶対強制・破壊』、これでこの機械ごと助けてあげようじゃないか?」




その魔法が放たれると、メリアさんを捕らえていた模擬セ〇クスマシーンは木っ端微塵に壊されてしまった。




「あ…ありがとう、リン!全く、セイバーはいつからこんな卑猥な機械を使う程にエッチな男の子になったのやら?」


「先に襲って来たのは何処の誰だよ?」


「さて、メリア殿は完全に消耗してしまっている。彼女に説明してもらおうとしたが、これではその責務も達成出来まい…」


「貴方は何者ですか…いきなり俺達の会話に介入してきて…」




俺がそう女に問い掛けると、その女は俺にこう自己紹介してきた。




「名乗るのが少し遅れたな…私はリン、団長殿が創設した〈トライデント・キャラバン〉の副団長を務めている者だ」




ト…〈トライデント・キャラバン〉かぁ…最近この名前を聞く事しかない気がする。えぇ?この人達を探すのって相当苦労する予定だったはずだったんですけどぉ?こんなにあっさりと見つかって良いものなんですかねぇ?




「さて、一つ先に言っておこう…セイバー殿、お前がここから脱出するには…メリア殿を『使い魔』として契約する必要がある」


「つ…『使い魔』、ですか?」




何だその聞いた事もなくて面白そうなワードは?気になって夜も眠れません、あ、今はまだ昼真っただ中だった!




「そうだ、そうしないと…メリア殿は転生も出来ぬままこの世界に取り残される事になる」


「え…?それは一体どういう意味ですか?」




すると、メリアさんはリンさんに言われた通りに自身の首を見せて来た。すると、彼女の首に巻き付いていたのは…




「な…何ですか…コイツは…!?」


「『魂永久封印【フューチャー・ソウル・シールド】』、簡単に言うと…魂が転生して生まれ変わるのを妨げる代物だ」


「な…何でこんな物がメリアさんの首に?」




そう言う俺にメリアさんは涙を流しながらこうお願いをしてきた。




「私が…セイバーに殺してもらった後に…私の村の人達を皆殺しにしたよね…?」


「あぁ、貴方を苦しませた外道共に一矢報いたかったからな…それがその魔法に何か関係しているのか?」


「うん…ヒグッ…私は天国に行ってセイバーを見守っていようと思ったんだ…でも、アイツ等は死んでも私に執着して来た、死して尚私の人生を狂わせようとしたんだ…だから私は抵抗した、その結果…この魔法を付与されてしまったんだ」




そうか、アイツ等は死して尚、メリアさんに執着していたのか…この世には何故、人の痛みを理解出来ない者が居るのやら?もし、アイツ等が生き返っているとしたら…この俺が非情なる刃で屠っていたがな?




「それで、その魔法を解除するのに…『使い魔』が関係してくるんだね?」


「う…」


「あぁ、彼女を使い魔にする事で、その魔法は解除される…だが、その前に一つお前に何とかしてもらいたい問題があるんだ」


「も、問題?」


「あぁ、さっきメリア殿がチラリと言っていた…魔物の問題だ」




えっと…確かこの世界に棲み付く魔物だったかな?それがどうしてこんなに大きな問題に発展したのやら?




「まぁ、私もこの世界にずっと居続ける訳ではないから良いのだが…」


「あの魔物の中に私の大事なネックレスが埋め込まれているの、それを取り返したい、だからお願い、セイバー?あの魔物を討伐して!」




おいおい…何も守る事が出来なかった俺にお願い事かよ…まぁ、可愛い愛人のお願い事だ…断る筋はないよ?




「良いでしょう…要するに、その魔物をぶっ飛ばせば良いんですね?」


「セイバァー…だぁーいすきぃっ!」




(メリア、セイバーに抱き付く)




「ぎぃやぁああああああ!?嬉しいのは分かったから、そんなにきつく抱き締めないでくれ、死んでしまうぅ…!?」


「まぁ、メリア殿も乙女なお年頃だ…そう突き放す様な事を言うな」


「でも…首が絞まって…グフュー!?」




ぐぐぐぐぐ…………!?だ、誰か助けてぇ…!?あれ?一つ疑問が残っている…




「リンさん、貴方は獣人族ではないんですね?」


「あ…あぁ、私達のパーティーの女は私以外獣人族だったな?」


「貴方は違うんですね…良かった、元・人間族として対等に話せる相手が出来て…」


「ん?お前は獣人族ではなかったのか?」


「そういえば…セイバーにこんなフワフワした尻尾と耳は付いていなかったよね?何があったの?」


「じ、実は…」




俺はリンさんとメリアさんにこの姿になってしまった事情を話した。すると、二人から返ってきたのは…




「なるほど…〈獣仁志・創神〉ともあろう者がお前にそんな苦痛を与えるとは…」


「セイバーが可哀想だよ、そいつを今すぐ血祭りにあげてやるぅ…血祭りにあげてやるぅぅ!!」


「まぁ、中身は人間ですから安心して下さい…それで、その魔物とやらは何処に居るんですか?」


「あぁ、案内しよう」




そう言われ、俺はリンさんの案内の下、その魔物が住まう場へと向かった。

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