第七章 妖精王と特級魔術師 第一話 ムラムラスケベな〈獣仁志・創神〉(フ×××ュー、滅びろそんな下らない思考回路)

俺は一通りロデオンさんに自身の残酷な過去を話した。すると、ロデオンさんは泣きながら俺の肩を軽く叩いてこう言ってきた。




「そんな過去があったんだな…しかも、まだ9歳の時にその事件が起こったんだろう?俺だったら絶望して命を捨ててるだろうな…」


「まぁ、普通の人間ならその行動を取るでしょうが…俺は彼女の遺言に誓ったんです…」


「誓った…?」


「俺はもう…誰にも罪を背負わせない、そして、誰も悲しみの涙を流さなくて済む様な世界に変える為に…俺は強くなる、これ以上、悲しみの連鎖が続かない様に…」


「お前に生き様…俺も見習わないとな?」




そう言うと、俺とロデオンさんは手を繋いで…




「お前に会えて良かったよ、セイバー!」


「こちらこそ、決闘の決着はまた今度という事で…」


「あぁ、その事なんだが…」




すると、ロデオンさんはある広告用紙を俺に手渡してきた。




「あと半年後にこの島最強を決める『格闘技王決定戦』が行われるんだ。これに俺も参加しようと思う、ここで決着を付けようじゃないか?」


「そうですね…しかし、俺達は勇者と互角に戦えたので…決勝で戦う事になりますがね?」


「それなら僕っちも参戦しようかね?」




俺とロデオンさんが話している所にノーレルさんが入ってきた。




「ノーレルさん!?今まで何処に居たんですか、心配したんですよ?」


「あぁ、同胞と久方ぶりの会話をしていたんでっせ?」


「セイバー君、久し振りですね?」




なんと、ノーレルさんの背後にはサファイアルさんが居たのだ。何故彼がここに…聞きたい事はたくさんあるが…伝説の「獣仁志」が二人も…壮観壮観!




「セイバー君…そう私達をじろじろと見つめるのを止めてくれませんか?」


「おっと、失礼…伝説が二人も揃っていたので、つい…」


「まぁ、仕方ありませんよい、サファイアルさん。僕っち達は誰もが憧れる伝説の『獣仁志』なんですから、そりゃじろじろと見たくなるのは至極当然の事っす」


「いいえ…あんな事をしでかした私が『伝説』なんて…おこがましいにも程があります」




その…「あんな事」とは一体…?




「まぁ、せっかく『獣仁志』が二人も揃った訳です…私達の『ある力』を見せてあげますよ?」


「あ、『ある力』?」


「そう、その…〈トライデント・キャラバン〉でしたっけ?彼等の居場所を把握してみようと思いまして…」




そうだ、それを使うなら彼等を呼んで来なければ…




「ちょっとストップ、『通信』起動…」




俺は宿でゆっくりしているであろうスノウ達に通信魔法でこちらに来るように連絡した。




「スノウ、今から俺の所へ来れるか?」


『んんっ…少し待つミャウ…ひゃぁああん!?』




ん?なんか如何わしい声が聞こえた気がするが…




『セイバー!助けてくれ、アイツが…』


「『アイツ』!?まさか襲撃にでも遭ったんですか!?」


『はぁ~むっ♡』


『ぎぃやぁああああ!?』




あ、この色気のある声の主はまさか…




『セイバーさん…あまりにも生々しいので言いたくはないのですが…』


「マヤ…?まさかと思うが、サクシャインがあんな事をしてるんじゃないだろうな?」


『はい、そのまさかです。サクシャインさんがネルヴィンさんの息子を物凄い勢いで舐めまくっています』


「なに当たり前の事の様に淡々と証言してるんですか、アンタはぁー!?」


『いえ、その前に私達のア〇ルを舐め尽くしたので…こうして話すのもやっとと…いいますかぁ…はぁぁ~ん♡』


「ヒロイン達がやる所業の域をタイブレークしてるじゃねぇか、何があったらその展開に進むんだよ!?」




しかし、その言葉を言いきる前に連絡は途絶えてしまった。




「サファイアルさん、あの馬鹿共は放っておいて…早くその力を見せてください」


「馬鹿共って、この島で一番強い〈トライデント・キャラバン〉に向けて言ってんのか?無礼にも程があるぞ…」


「ロデオンさん、彼等の現実を見せてあげましょう」




俺は困惑するロデオンさんに俺の持つ〈トライデント・キャラバン〉の記憶を見せてあげた。




「こ…こんなエロスケベな奴等が…〈トライデント・キャラバン〉なのか…!?」


「えぇ、これが現実と言うヤツです…俺も認めたくなかったですが、これが現実!受け入れるしかないぃっ!!」


「なんか…こんな事してる奴等が許せねぇわ…」


「サファイアルさん、アイツ等をどうにかしてください…友人として恥ずかしいです」


「仕方ないですね…こうなったら、アレを使うしかありません!」


「あ…『アレ』?何をするつもりですか…?」


「まぁ、見ていてください…」




俺はそう言われるがまま、ロイドの宿へと向かった。




 な…何だコレは…!?


(スノウ・サクシャイン・マヤが擬似セ〇クスマシーンの実験にされている)


ナニコレ…?こんな真昼間からこんな生々しいシーン見たくないんですけどぉ?




「サファイアルさん、これは一体…?」


「名付けて…『擬似セ〇クスマシーン』です!世の中の女性のムラムラを制止する為に造った私の自信作です!」


「いや、余計にムラムラが溜まる気しかしないんですけど?てか、こんなくだらない事の為にいくら金積んだんだよ?」


「金貨50000枚ですが?」


「こんな事の為に使うくらいなら募金に使え、このムラムラスケベ狐が!」


「「「あぁあぁあぁあぁ…!?」」」


「た、助かったわ…危うく放送禁止の世界にレディー・ゴーしそうだったわ…」


こ、これで…一件落着なのかな?さて、これであの話が出来る…




「サファイアルさん…それで、さっき言ってた力を使っても良いですよ?」


「いやぁ~…この光景をもう少し見てみたいんですけど…」


「良いから早よせんか、我!こっちは早く用事を済ませて欲しいんだよ、おぉん?」


「そ、そんなに怒らなくても良いでしょう…分かりましたよ、使えば良いんでしょう?」




そう苦虫を嚙み潰したような表情でサファイアルさんはノーレルさんと一緒にある力を使った。そんなにあの醜態を見たいのか?そんな事を考えながら二人の様子を見ていると、テーブルに置いてある地図に二つの光が点った。




「サファイアルさん…この光は一体?」


「現時点で捜索可能な〈トライデント・キャラバン〉のメンバーの居場所を指しています」


「なるほどぉー…つまり、ここに〈トライデント・キャラバン〉のメンバーが居るという事ですね?」


「えぇ、ですが…」




サファイアルさんがそう苦笑いしているのには理由がある。それは、彼等を見つける手段が存在しないのだ。どういう意味なのか分からない人も居るので、簡潔に説明しよう。まず、一人目のサルバンについては…居場所がこの世とあの世の狭間だと記されているので、現状そこに行く手段がない。もう一人のリンも現状そこへ行く手段がない。彼女が居る場所は魔法都市「ルージュラ」。その国に行くには全ての魔法スキルランクがA級以上を超えていないと入国する事すら叶わないらしい。はぁ…人探しの為にどれだけこちらがレベルアップすれば良いのやら?




「セイバー君、まずはサルバン君の居る場所へ向かいましょう。ここから近いですし」


「それは物理的に考えての話でしょう?そこに行くまでの移動手段がないんじゃなかったでしたっけ?」


「それはどうにでもなります。ノーレルさんのあの力があれば…ね?」


「はい、僕っちのあの力を使えば…この世とあの世の狭間だけではなく、異世界にも行く事が出来るんでっせ?」




な、何だその聞くだけで面白そうな力は?まぁ、サルバンさんの居るこの世とあの世の狭間に行ける事も凄い事だが、「異世界」とかいう魅力しか感じない世界へ行ける事も凄い事だ。




「セイバー君、異世界に行きたい気持ちは分かりますが、まずはサルバン君とリン君を回収する事を最優先するべきですよ?」


「『回収』って言葉の使い方完全に間違えてるし、そのくらい分かってますよ…」


「あのぉ…?」




ノーレルさんが力を使おうとしたが、奥の方で肩身を潜めていたロデオンさんが俺達に話し掛けてきた。




「俺はどうすれば良いでしょうか…?」


「あぁ、ロデオン組んでしたっけ?君にとっても貴重な経験になりますから付いて来てください」


「わ、分かりました…?」


「じゃあ、気を取り直して…『転眼』、起動!」




ノーレルさんがその「転眼」を発動すると、俺達の目の前に大きく黒い…穴…ではなさそうだな?




「これは時空の歪みでっせ?早く閉じないとこの世界が壊れちまう寸法でっせ?」


「さぁ、これでこの世とあの世の狭間の世界に行けますね?」


「じゃあ、あのエロ娘三人をなんとかしてください、目の付け所がありませんし…」


「「「うにゅうぅうぅうぅ!?」」」




あ、あの三人は…あんな醜態を晒して恥ずかしいと思わないのか?俺だったら恥ずかしくて投身自殺すると思うんですけど?




「まぁ、スノウ君達は私が何とかします。とりあえず、担いでいきましょう」




よし、これでサルバンさんの居る場所へ向かう準備は整った。さぁ、いざ行かん、この世とあの世の狭間へ!




─ この世とあの世の狭間 ─


 ここが…


(ドラゴンが暴れ狂っている)


入界早々、修羅場に巻き込まれたみたいだ…




「さて、セイバー…準備運動と行こうじゃないか?」


「そうですね…見ず知らずの世界ですが、危険を放っておく訳にもいきませんからね?」




俺とロデオンさんで暴れ狂うドラゴンに応戦した。




「ぐがぁぁっ!?」


「見るからに…レベル550といった所かな?」


「つまり、俺達の相手ではないという事だ!」


「折角ですし、連携しませんか?」


「『連携』か…なんか面白そうだから、良いだろう!」




そう言うと、ロデオンさんがドラゴンに突撃した。そして、俺は後方支援に回った。まぁ、人生で初めての後方支援なんだけど…あの時も、あの事件が起きる前の時も、俺は常に前衛として戦ってきてたからな…ぶっちゃけて言うと、どういう立ち回りをしたら良いのか分かりません!とりあえず、ロデオンさんに「身体強化・究極」を付与して戦い易くするか!




「おぉっ!?なんか体がいつもより軽くなった気がする、これならあの技を連発出来そうだ!」




え?この付与魔法は対象の相手の体力を少し上げるだけの代物なんですけど?あんなに強い付与魔法じゃなかった気がするんですけど?




「あぁ、ちなみに…『身体強化』…言い換えると『バフ』系の付与魔法は発動する人物のレベルに応じて強化のレベルが上がるんですよ?」


「そ・う・い・う・の・は・は・や・く・い・え・ッ・!!」


「まぁ、セイバーさんはレベルが1150もあるんですから、付与魔法もチート級と言っても過言じゃありませんぜ?」




へぇ、だったら…このオリジナル構築強化魔法を付与したら…どうなるのやら?




「『オリジナル構築付与魔法・〈万物を喰らい、守る者【オールティングス・イーター・アンド・プロテクト】〉』!」




(セイバーの付与魔法がロデオンに多大なる力を与える)




「おぉぉぉっ!?何だコレぇ、体から力が溢れ出て来る…試しにコイツでも喰らえぇ!!」




(ロデオン、ドラゴンを一刀両断する)




「えぇーっ!?」




ロデオンさん…めっちゃ驚いてる…




「今の付与魔法は一体…?」


「あぁ、簡単に纏めると…対象の全ステータスを500%アップ&オリジナルスキル〈絶対強制〉を付与するんです」


「セイバーさんのレベルによる付与魔法の効果が通常の50倍でしたっけ、サファイアルさん?」


「えぇ、ですので…『500%×50=25000%』の付与の効果が付いている、と言う事になります。その上…その〈絶対強制〉と言うスキルには…」


「対象の全ての行動に〈絶対〉が付与される…だったかな?」




聞き覚えのない何者かの声が聞こえてきた。声のする方を見てみると、そこには…


(謎の男の子がこちらを見つめている)


エルフ…?ではなさそうだな…じゃあ、妖精族?




「おっと、自己紹介がまだだったね?セイバー・クラニカル君?」


「な、何故俺の名前を知っている!?」




俺の質問に答えるように、その男の子はこう自己紹介をした。




「僕は『サルバン・リジュード』、〈トライデント・キャラバン〉のメンバーだよ?あぁ、君の名前を知っているのはね…僕の仇だったロリアンを倒してくれたからだよ?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る