第六章 神の剣士v.s〈獣仁志・創神〉の弟子 第二話 死力の決闘、そして現れる刺客
翌日、俺はノーレルさんとある場所へと向かっていた。
「それにしても、あの人と決闘するとは…君も肝がだいぶ据わっているみたいっすね?」
「はい、強い奴と戦うのが好きなので…ははは…」
「『戦闘狂』というヤツっすね?まだ15歳には到底思えないっすね…」
そう、俺達が向かっているのは…
(ノーレル、扉を開ける)
「『ロデオン・ルラリアル』さん、ちょっと良いっすか?」
「何だ、ノーレル様よ?俺は今忙し…」
俺は挨拶代わりにロデオンさんに微量の殺気を向けた。
「おぉっ…そこの餓鬼、とんでもないオーラを感じるぜ…」
「この子は『セイバー・クラニカル』君でっせ?昨日僕っちと友達になりやした」
「勝手に自己紹介しないでもらえます?」
すると、ロデオンさんは俺を見てこう言い放った。
「餓鬼…じゃなかった、セイバーよ?」
「何ですか?」
「俺と戦え、YESしかお前に選択肢はない、良いな?」
なるほど、そちらから決闘を申し込んでくるとは…手間が省けた。
「良いですよ?でも、やるなら本気で…いや、死ぬ気で来てくださいよ?」
「分かってるさ、お前は他の雑魚共と違って…気合いとオーラが違う、これは敬意を示して全力を以って相手しないといけないなぁ?」
俺の殺気に応えるかの様に、ロデオンさんも殺気を殺気で返してきた。これが、この街一番の強さを持ち、その上〈獣仁志〉と同等の力を持っている男の気迫…
「では、今からでも戦いますか?」
「あぁ、けど…観客はたくさん居た方が良いだろ?」
そう言うと、外の方から大きな歓声が聞こえた。
「ギャラリーだけで数百人は居る…こうした方が戦いを楽しめるだろう?」
「御厚意感謝します…では、行きましょうか?」
「あぁ、俺を楽しませてくれよ?」
「その言葉、そっきりそのまま返します」
こうして、俺はロデオンさんと一戦交える事になった。
それにしても…ただ戦う時しか使わなさそうな場所なのに、随分と大きく、かつ綺麗に造られている…
「驚いたか?ここは〈獣仁志・創神〉様が造ったと云われる闘技場だ!それをちょちょいと改築しただけだが…」
これをサファイアルさんが造ったのか…流石は〈獣仁志・創神〉、やっと伝説の存在みたいな所が見られたよ…
「じゃあ、セイバー…観客も俺達の戦いを待ち望んでいる訳だし…」
「会話はここまでにして…」
「「始めようか!!」」
俺とロデオンさんは剣を引き抜き、戦闘を始めた。まぁ、最初は様子見で右手に変色剣を構えて…軽く攻撃するか。俺は少し速めに剣で攻撃した。しかし、そんな事をする猶予もなくロデオンさんは俺に鋭い攻撃を仕掛ける。
「おらおらぁっ!!」
「ぐうぅっ!?」
「どうしたどうしたぁ、お前の全力はこの程度か?」
仕方ない、少し本気を出そう。俺は左手にダイヤの剣を構えさせた。
「そっちが最初から全力を出すのなら…俺も少し本気になりますよ?」
「に…二刀流だったのかよ?だが、剣が一本増えただけだ…状況は変わらねぇ!」
「それはどうですかね?」
俺はあの技を発動しようとしていた。正直この技は対人間に使うのはあまりよろしくないが、これほどの実力者を前にそんな悠長な事は言っていられない。
「後悔しないでくださいよ…!『神剣・クロニカル・一の技〈斬・双連撃〉』!」
「この技は…!?」
よし、当たったな?これが命中すれば相手に大ダメージを与える事が出来ただろう…俺は相手の隙を見て追撃しようとしたが、それは叶わなかった。何故なら、攻撃を受けたはずのロデオンさんはダメージを全く受けていなかったのだから…
「おいおい…あの攻撃を受けてほぼ無傷で済むのかよ…!?」
「お前の攻撃、なかなか良い攻撃だ。だが、この程度の攻撃で俺にダメージを与える事が出来ると思わない方が良いぞ?」
「流石は〈獣仁志〉レベルの化け物…こうなったら、アレを解放するしかないみたいですね!」
俺は右腕と左腕に力を籠めた。そう、これはアイマとの戦いで覚えた…いや、「創造」で俺が作り出した新たな進化魔法だ。しかも、無詠唱で発動出来るので…
「何だ!?両腕が青く染まっている…まさか、『進化』か!?」
「そうですよ…けど、戦闘で使うのは初めてですけどね?」
そう、これはアイマ戦の直後に作った魔法なので戦闘で使うのはここが初めてだ。なので、まずは第一段階の「青」状態で戦う事にした。まぁ、あと上に3つ段階があるんだけど。
「面白い、その力…遠慮せずに出してこい!」
「後悔しないでくださいよ?はぁぁぁぁぁぁーっ!!」
(セイバーの剣とロデオンの剣がぶつかり合う)
よし、暴走はしていないな?それが分かればもう好きに使える!さて、この腕で「神剣・クロニカル」を使うとどうなるのだろうか?
「これを耐えきったら…俺の全力を超えた更なる上の力を見せてあげますよ?」
「ほう、面白い…かかって来いやぁ!!」
ロデオンさん…この状態で使うさっきの技は、伝説の邪神族でも無傷では済まない代物ですよ?深手を負っても知りませんからね!
「『神剣・クロニカル・三の技〈円〉&八の技〈壊〉』!!」
「ぐうぅうっ…おぉうっ!?」
よし、発動成功だ!これには流石のロデオンさんでもノーダメージでは済まないだろう。技が命中して砂煙が立ち込める中、ロデオンさんは…
「セイバー…お前は本当に面白い!まさか…この俺にダメージを負わせるとは…だが、この程度の攻撃で俺は倒せぬぞ!!」
おいおい、あの攻撃をもろに受けてピンピンしてるだと!?まさか…こんなに耐久能力があるとは…まさに〈獣仁志〉に引けを取らない化け物だな?なるほど…これは…ロリアン達と戦った時に出した力と同じ、いや、それ以上の力を出さないと勝機はないな?
「ロデオンさん…約束通り、俺の全力を超えた更なる上の力を見せてあげましょう!」
俺は青色に染まった両腕を今度は緑色に染めた。色が変わった事により、パワーとスピードが桁違いに跳ね上がった。そして、俺自身の後方に〈万物の道具〉の全種類を装備した。これを対人用に使うのは少し気が引けるが、そのくらいロデオンさんは強いのだ。これを見せねば不作法と言うもの…それに、まだ手は幾らでもあるからな?
「おいおい…あの新人冒険者、ロデオン様と互角に渡り合っているぞ!?」
「何者だ、あの犬っころは!?」
「でもでも、ロデオン様が勝つに決まってるさ?いくらあの冒険者が強くても、経験値が違うからな?」
観客達が俺の力に驚きつつ、ロデオンに負けると叫んでいる。まぁ、端から勝負の事なんか気にも留めていない…それに、この戦いには集中したいが…何処に居るのかまでは分からないが、俺に向けて強い殺意が伝わってくる…それを突き止める為にも、残念だが早くこの戦いを終わらせないといけない!
「ロデオンさん…貴方は強いよ、でも…」
「おっと、お前も気付いていたのか?」
「話をする手間が省けて良かったです…俺達に向けて強い殺意が向けられています。何処の誰かまでは分かりませんが…」
「だったら、俺の『神眼』で見るだけだ!」
「戦いの続きは、その後と言う事で…」
俺とロデオンさんは一旦戦いを中断した。そして、ロデオンさんは魔眼を使って殺意を向けてくる存在を探し始めた。
「お前等ー!この中に勇者を騙る殺人鬼が居るぞぉー、気を付けろよぉー?」
おいおい、それは言わない方が良いんじゃないのか?
「ロ、ロデオンさん!それを言ったら観客が大混乱になりますよ!?」
「あ、そうだったね?」
「『あ、そうだったね?』じゃねぇよ、見ろ!」
(観客達が大混乱になりながら、闘技場から逃げ出している)
「アンタがいたらん事言ったせいで観客全員只今絶賛混乱状態になっちまったじゃねぇか、どう落とし前付けるんだ!」
「だが、目的の人物は見つかったぞ?」
ロデオンさんが指差した方に、見た事のない大所帯の集団が見えた。すると、見つかった事を察知したのか、その集団は俺達の元へワープして来た。
「お前達、何者だ?」
すると、その集団のリーダーらしき人物が俺の質問にこう答えた。
「私はこの世界に10人しか居ないとされている勇者だ。そして、後ろに居るのは僕の奴隷だ」
「ほう…勇者ともあろう人が奴隷を飼い慣らすとは、やってる事がクズそのものだぞ?」
「フフフ…クズかぁ、そうかぁ…」
(謎の勇者、セイバーに斬撃で攻撃)
「うおぉっ!?」
「セイバー!?」
「この崇高なる勇者である…『バリアン・レクイエム』を目の前にして、その口の利き方はなんだ!?おこがましいぞ、獣人族セイバーよ!」
「バ、バリカン!?何でお前がここに!?」
「バリカンじゃない、バリアンだ!」
ここで、意外な人物が登場したのだった。
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