第六章 神の剣士v.s〈獣仁志・創神〉の弟子 第一話 この世界の「柱」

 今日はリーブル国王のお誘いで王都ロイドへ赴いている。この町もかなり発展しているな?こんな発展している町の王になるなんて…リーブルさんはよっぽどの実力者なのだろうか?今回、俺に付いて来たのは…スノウとサクシャイン、マヤとネルヴィン、ミネラルアの五人だ。ネルヴィン以外の四人は師匠である俺に付いて行きたいと言うので連れて来た。残ったネルヴィンさんは、こう俺に言ってきたので連れて行く事にしたのだ。




『その、ロイドには強い奴が居るんだろ?俺も連れて行け♪』




戦っていないのにキャラが変貌したから、思わずGOサインを出しちゃったけど…だが、この人はレベルがスノウ達より高いので戦力の確保を考慮した結果、連れて行くのが妥当であると判断したのだ。いやいや、そもそもの話なんだけど…今連れて行ってる皆さん、俺より年上ですよねぇー!?年下に世話されて恥ずかしいとは思わないんですかぁー!?




「あ、あのぉ~?ネルヴィンさんはまだ良いですが…スノウ、サクシャイン、マヤ、ミネラルア!かなり年下の俺なんかに世話される様な真似してて恥ずかしいとは思わないのか、しかも何百歳も年が離れている俺に!!」




すると、四人は血相を変えて俺に襲い掛かった。




「何をー!?僕達は永遠の17歳ミャウ!」


「それを『イタイ発想』であるという事が分からないの!?」


「女の前で歳の話をするなぁ!」


「ミネラルアもスノウ達と同じくらい生きてたのね!?初対面だったから分かんなかったわ!」


「ヴヴーッ!!!!」


「マヤはいつから獣みたいな鳴き声をする様になったのぉー!?」


「はぁ…同じパーティーメンバーとして恥ずかしいよ…」


「ネ、ネルヴィンさん!そんな事言ってないで早く助けてくださいよ!」


「いいや…見てて微笑ましいからそのままで…」


「昼間から女に抱き付かれている苦痛をお前も味わえ。そうすれば俺の辛さが分かるからな!」




はぁ…これから国王と面会だというのに、このままだと女の匂いが俺にビッチリくっ付いて…必ず嫉妬される!




 そして、リーブルさん(国王)と面会した時、案の定…


「セイバー(怒)?」


「な…何ですかぁ…?」




そう、先程抱き付かれて匂いが付いているのも問題だが…今、俺はスノウとサクシャイン、マヤに抱き付かれながら国王の前に座っている。そうだ、これは卑猥な事をしているからリーブル国王は怒っているんだ。俺はそう思い、事情を説明しようとしたが…




「セイバー!?」


「はいぃっ!?」


「お前…お前ぇー(怒)!!国王である私でも嫁は一人しか居ないのに…体の関係を持つ女が三人も居るだとぉー!?許せん…絶対に許せんぞ、貴様ぁー!!」




あ、嫉妬してんのね?なら話は早い…




「あぁ、コイツ等はビッチなだけです。誰彼構わずこうして抱き付くんです」


「そ、そうなのか…なら許そう、ありがたく思えよ?」




あのぉ~?何だろう?国王だから何も言わないけど、上から目線で話されると虫唾が走るんだよね?まぁ、今回は?国王だから何も言わないけど、これが、もし、ネルヴィンさんが言ったら、思い切りグーパンでK.O取ってる所だからね?




「それで、今回連れて来たのは…話で聞いてる〈トライデント・キャラバン〉のメンバーだけなんだな?」


「はい。まだ五人しか見つけきれていないんですが…只今絶賛捜索中です」


「残りの四人も早く見つかれば良いな?」


「あ、メンバーは合計9人だったんですね?」


「知らなかったんかいっっ!!」




まぁ、半分は見つけられたという事で…おっと、この話はまた今度にするとして…この町ではやらないといけない事があるんだった。




「リーブル国王。この町に〈獣仁志・破壊神〉が居ると聞きましたが、何か知りませんかね?」


「あぁ、何なら今すぐ呼んであげようか?」


「え!?ここに居るんですか!?」


「あぁ…客人だぞ、『ノーレル・ノクターン』よ?」


「僕っちに客人かい?珍しい客人だねぇ~?」




リーブルさんがそう呼ぶと、後ろから一人の男が現れた。




「やぁ…君が僕っちを呼んでいる客人かい?」




その男はサファイアルさんよりも細身で、頭には二本の角、腰からは魔族みたいな尻尾が生えていた。




「は、初めまして…俺は『セイバー・クラニカル』、S級冒険者です」


「初めましてぇ…僕っちは『ノーレル・ノクターン』、サファイアルと同じ〈獣仁志〉の〈破壊神〉を勤めているしがない魔族でっせ?」




やはり魔族か…そうだ、これを聞きたかったんだった。




「ノーレルさん、魔族と邪神族は仲が良かったと聞きましたが…」


「あぁ、37564年前までは親友みたいなものだったよ?でも、サファイアルがあんな事を…いや、アレは仕方の無い事だったんでっせ?まぁ、あの事件があって以来…犬猿の仲になってしまったんでっせ」


「そうですか…あの、邪神族が…」




俺がそう言う前に、俺の頭が頭痛を起こし、質問が出来なかった。




「ぐぅうっ!?」




(セイバー、その場で蹲る)




「あぁ、貴方はサファイアルの…いや、何でもありやせん。貴方はまだ知らなくて良いっすから…」




やはり、アイマの言っていた事に関する事を言うと決まって頭痛が起こる。これは何かの呪いか?俺はフラフラしながらノーレルさんの方へ向いて、もう一度、頭痛に耐えながら同じ質問をした。




「邪神族は…ぐうっ!?…何故…がぁあっ!?…全種族の敵に…なったんですか…ぐぅうっ!?」


「もう止めてくだせえ…言っておきますが、僕っちは貴方とは初対面ではありんせんよ?」


「え…?それは…どういう…カハッ…!?」




俺はその台詞を最後に、意識を手放した。




─ 夢の中 ─


 ここは…何処だ?俺はさっきまでロイドの王城に居たはず…なのに、何でこんな見た事のない部屋で寝転がっているんだ?




「目を覚ましたようだね?」




いきなり聞いた覚えのない声に呼ばれた。その声がした方を見ると、これまた見た事のない綺麗で華奢な一人の天使族の女がこちらを見つめていた。




「だ、誰ですか貴方?」


「私は『ミリア・ワールド』、諸悪の根源です」




し…「諸悪の根源」…それを自分から言うのは悲しくならないのか?そもそも、「諸悪の根源」って何の事を言っているんだ?何も知らない俺にその話をされても「分からない」の答えしか出て来ないんですけど?




「単刀直入に言いましょう…」


「はい…」


「貴方は@#$@+‘#$$%&$$#です」


「はい?」




な、何て言ってるのか全く聞き取れなかった。あれ?俺の耳が悪くなったのかな?そのくらい何も聞き取れなかったからな…はぁ、訳の分からない所に連れ込まれて、訳の分からない女に話し掛けられて、訳の分からない話をされて…あー、イライラするなぁー、早くここから出してくれないかなぁー?




「おや?聞こえないという事は…貴方はまだ知る必要はないという事ですね?では、この話はまた別の機会にしますか…あ、そうです」


「何でしょう?」


「貴方に一つ警告しておきます」




け、警告?一体俺の身に何が起きるというんだ?悪い知らせである事は確定ガチャなんだけども…




「貴方はいずれ『勇者』に命を狙われるでしょう…しかも、最速で二日です」




ゆ、勇者か…まぁ、散々フルボッコにしたから恨まれても仕方ないよな?




「私が今言える事はここまでです。では、この空間の維持も厳しくなりましたので…今回はこれでさようならとしましょう」


「ま、待て!貴方は一体俺の何なんだ?」


「そうですね…大事な#%@ですかね?」




また聞き取れなかった…そんな事を考えているうちに、俺はさっきの謎の空間から弾き飛ばされた。そして、光が灯る方へと引き込まれ…




─ 現実世界 ─


 「はっ…!?」




俺は気が付いた時にはまた見知らぬ一室のベッドで横になっていた。




「セイバー!」


「良かったのじゃ…」


「貴方…いきなり倒れて…」


「貧血でも引き起こしたんじゃないの?」




起き上がるとスノウ達が俺の体に抱き付いていた。




「ぎぃやぁああああああ!?苦しい苦しい、息が出来なぁぁーい!?」


「フフフ…フフフフフフ…フフフフフフフフフ!!」


「リ!?リーブル国王様!?」




そして、その光景を見て怒り狂うリーブルさん…あ、ヤバい、殺される(焦)!?




「一度までなく二度もハーレムを見せつけるとはどういう料簡だ、貴様ぁー!万死に値するぅ…万死に値するぅ!!!!」


「すみませんすみません、本当に申し訳ございませぇーん!!」


「アァァァァァァ(怒)!!」




俺とリーブルさんとの追いかけっこは昼から夜まで続いた。




 その日の夜、俺はノーレルさんにさっきの夢の中での出来事を話した。




「ほう…ミリアさんか…懐かしいな、僕っちの親友ですよ?」


「し、親友…何故貴方の親友が俺の夢の中に干渉して来たのでしょうか?」




すると、ノーレルさんは真剣な口調でこう説明してきた。




「もう頭が痛くならない様に言いますとですね…貴方はこの世界の『柱』なんですよ?」


「『柱』…ですか?」


「えぇ、この世界には必要不可欠な存在なんですよ、貴方は…」


「はぁ…?」


「だからこれだけは伝えたいんです…」


「何でしょうか?」




すると、ノーレルさんは圧を強めて俺にこう警告してきた。




「何があっても、あの人だけは敵に回すなよ?」




この時の俺は、これが何を意味するのか、全く分からなかった。しかし、ノーレルさんは真剣に話している。きっと分かる時が来るだろう、俺はそう思い、その言葉を胸に誓った。




「あぁ、あと…僕っちはこれからセイバー君と旅をする事にしたんで、よろしくっす」


「は……はい!?」


「いやぁ~、なんだか君に付いて行くと人生つまらなくなりそうなんで、そう決めたんすよ?」


「あ、貴方はこの町の重要な役員じゃないんですか?」


「違いますぜ?僕っちはこの町では無職、単なる冒険者の一人に過ぎねぇんす」




じ…〈獣仁志〉であろう者が無職…世界は広い様で狭いのである。そういう訳で、旅の仲間にノーレルさんが加わったのでした。


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