第五章 国王会議 第一話 さようなら、清楚なセイバー
翌日、俺は国王に面会しに向かった。そう、ローズをその会議に連れて行けるか否かについて聞きに行ったんだ。俺は国王の前でそう発言した。すると、国王から返ってきた言葉はこうだった。
「構わぬぞ、そやつのレベルも見えておる。レベル850…そやつも神話レベルの化け物じゃな!つくづく面白いなぁ、お主達は!」
「お兄ちゃん、何で国王様と面会出来るの?」
「あぁ、先日会った時に『いつでも顔を出すと良い』と言われたから、その通りに動いただけだよ?」
「ヴゥン!全く、お主の周りには化け物しかおらんのか?不思議で仕方ないわい」
「ま…まぁ、俺的には普通の事なので…」
な、なんとかローズを会議に連れて行く事を承諾された。これでもしNGの意思表示が出ればローズは泣きじゃくっていただろうな…その様子が何となく想像出来る。しかし、国王が承諾してくれたのだから気にする必要はないだろう。これでようやくある意味一人で旅が出来る…
「お兄ちゃんと二人きりで旅…ワクワク♪」
そう、ある意味「一人」での旅だ。必ずしも物理的に一人という訳ではないが、ローズは俺の事を変な目で見ていないから実質一人のようなものだろう。さて、今日明日は会議に行く為の荷物の準備をしないとな…全く、昨日妹が出来て明後日には遠出する事になるとは。どうなるのやら、俺の冒険者ライフ?
「国王会議」当日。俺とローズはサファイアルさん達に見送られながら店を出て、王城まで向かった。そして、見るからに重くて高そうな装備を付けられて(ローズも)フルーリー国王と共に馬車へ乗り込み、開催される場所へと向かっていた。しかし、馬車なんて初めて乗ったなぁ…今までの移動手段は徒歩だけだったから、乗り物に乗って移動する事なんかなかったからなぁ…
「なんだ、セイバー?馬車に乗るのは初めてなのか?」
「は、はい。今まで乗り物という物に乗って移動する事がなかったので…」
「何と言うか…お主はレベルは高いが、身分は庶民である事を忘れていたな?」
そうだ、俺は強いが庶民だ。しかも、出身はそびれた村だ。まぁ、普通に生きていれば絶対に巡り合えない代物だろう。しかし、そんな物と巡り会えたのも全て俺の努力の賜物だ。まぁ、少しチートは付与されたけど…いやいや、今はそんな事はどうでも良いんだ。国王を守るのが俺達の責務だ。今はその事だけを考えろ、集中するんだ。俺は座禅を組んで精神を統一した…が、それは叶わなかった。理由はローズの言動による焦燥感だ。
「国王様?私も一緒に付いて来て良かったの?」
「あぁ、お主も化け物じゃからな?心強い事この上ない!」
「ちょっ、ローズ!国王の御前だぞ、言葉は慎め!」
「良い良い、こうして庶民と話すのも国王の使命だ。寧ろ、こんな可愛い子供のような民と話せて嬉しい事この上ないぞ!」
そ、その発言…遠回しに「ロリコン」って言ってるようなものだぞ?まさか国王の性癖が見られるなんて思わなんだ…全く、雑念が払えないな…煩悩滅却、心を冷静に保て!俺は精神統一をしていた時だった─
「ぐおぉぉ!!」
「な、何だコイツは!?」
「『ハングリーベア』!?B級レベルの化け物じゃないか!?」
俺達の目の前に「ハングリーベア」の群れが現れたのだ。あ、このモンスターの説明をしておこう。このモンスターは名前の通り常に空腹状態にある。なので、敵味方構わず襲ったりする。別名「万物を犯す者」とも呼ばれている。普通の冒険者がコイツ等を前にした時は、普通は逃げるだろう。しかし、それは「普通の冒険者」だったらの話だ。俺は馬車から飛び降り、ハングリーベアの群れ目掛けて突っ込んだ。
「丁度良い、ここで準備運動をしましょう…」
「セ、セイバー!?例えお主でも敵う相手ではないぞ!?」
「サファイアルさん、貴方の言葉、拝借します。安心して下さい、俺、最強だから!」
「ぐあぁああ!!」
さて、久し振りに倒すのに苦労する相手達だな?俺を存分に楽しませろよ?俺は右手に変色剣を、左手にダイヤの剣を装備して戦闘モードに入った。俺が剣を構え始めると、群れの中の一匹が俺に鋭い爪で攻撃して来た。まぁ、あの攻撃を一度でも喰らえば普通は死ぬ。しかし、俺は「普通」じゃないからな?俺は奴の攻撃を蹴り一回でいなした。そして、体勢が崩れたヤツの腹に深々と剣で突き刺した。
「おいおい、ハングリーベアさんよぉ?アンタ等の実力はこんなもんかぁ、つまらん。早々に終わらせてやる!」
俺は長老に教わったあの技の構えを取った。そう、皆も見た事のあるあの技だ。
「『神剣・クロニカル・一の技〈斬〉』!」
そう、皆さんお馴染みの「神剣・クロニカル」です!久方振りに使ったから腕が鈍っていないか不安だったが、腕は落ちていないみたいだな?この技で三体は討伐出来たし…さて、ここからはフルスロットルで戦うぞ!国王様に俺の実力を見せるチャンスだし…それに、初めて「二刀流」での戦い方なので、良い経験になるだろう。俺は変色剣だけではなく、ダイヤの剣にも力を籠めた。そう、初めての「神剣・クロニカル」の同時発動だ。正直確実に成功する保証はないが、もしロリアン戦以上の激しい戦いを強いられた時にこの技を発動しなければならなくなる。そう、これが出来なければ例え普通じゃなくても死ぬ未来しかない。そう感じろ、そう思え、そう…いつも使っている技を片手だけじゃなくて両手で使えば良いだけの話だ!俺はそれぞれの剣で別々の技を発動した。
「右手・『神剣・クロニカル・二の技〈砕〉』、左手・『神剣・クロニカル・三の技〈円〉』!」
「ぐわぁあああ!?」
「ぐぅおおおお!?」
よし、成功だ!これで一応同時に二つの技を同時に発動出来る様になった。しかし、たった一回成功しただけで喜ぶ様な小さい冒険者ではないんだよな?俺は再び両手の剣に力を籠めた。
「右手・『神剣・クロニカル・四の技〈断〉』、左手『神剣・クロニカル・・八の技〈壊〉』!」
「ぐぅおおおお!?」
「ぐぎゃあああ!?」
毎回思うけど…………モンスターが倒される時に出す叫び声に敵う気持ち悪い叫び声はないだろう。まぁ、きちんと殺す為に極部を狙って攻撃してる訳だけど?それでもさ?こんなに大きな声を出す程の事でもない気がするけど…もしや、これは俗に言う「演出」と言うヤツか?なら仕方ないか、そういう演出だから別に気にする必要はないし…あ、皆気になっていた「神剣・クロニカル」の技の詳細を紹介しよう。どうせ、この戦いは作者によって割愛されてそうだし…では、俺が戦っている映像を100倍速した映像を見ながらこちらをご覧ください!
○「神剣・クロニカル」技の詳細
●一の技〈斬〉
・相手の体に強烈な痛みを伴わせながら半分に斬る
・自身の物理攻撃力を1500アップさせる
・自身の物理防御力を1000アップさせる
・この技で相手を倒しきれなかった場合、相手の物理防御力を5200ダウンさせる
●二の技〈砕〉
・相手の体を木っ端微塵に砕く
・自身の物理防御力と魔法防御力を950アップさせる
・条件なしで相手の物理攻撃力を5000ダウンさせる
●三の技〈円〉
・相手の体を円を描く様に斬り裂く
・自身の回避確率を50%アップさせる
・相手の物理防御力と魔法防御力を2500ダウンさせる
●四の技〈断〉
・相手の体の神経全てを切断させた後に首を刎ねる
・相手を倒した場合、自身の物理攻撃力と魔法攻撃力を12500アップさせる
・相手を倒せなかった場合、自身の魔法攻撃力を12500アップさせる
●五の技〈閃〉
・相手の心臓を貫く
・自身の物理防御力を5600アップ&この技の使用時はスーパーアーマー状態になる
・相手のHPを吸収する
●六の技〈貫〉
・相手の四肢を貫き、無力化させる(10%の確率で心臓を貫く仕様になっています)
・自身の物理防御力と魔法防御力を10500アップさせる
・相手の物理攻撃力と魔法攻撃力を吸収する
●七の技〈破〉
・防具等の装備を貫通して相手にダメージを与える
・自身の魔法攻撃力を15000アップさせる&自身の魔法クリティカル時のダメージを
15%アップさせる
●八の技〈壊〉
・防具ごと相手の体を破壊する
・自身の物理攻撃力を15000アップさせる&自身の物理クリティカル時のダメージを
15%アップさせる
●九の技〈突〉
・相手の心臓を体の外に押し出す
・自身のHPを毎秒5200回復させる状態を付与する
●最終奥義・十の技〈創造【クラニカル】〉
・相手の体を未知なる「創造」の力で限界状態へと誘い、精神的苦痛と肉体的苦痛を
同時に付与し、必ず相手を死に至らせる
・自身の全ステータスを35200アップさせる&クリティカル時のダメージを25%アップさせる&自身のHPを毎秒10500回復させる状態を付与する
・この技で相手を倒せなかった場合、相手の全ステータスを毎秒35%吸収する
これが俺の「神剣・クロニカル」の技の詳細だ。十の技は情報がてんこ盛りだな?ここに
書いてあるのは、あくまで俺が理解している情報だけなのでもっと凄い力が追加されるか
もしれない。まぁ、簡単に言うと…新人冒険者が取得出来る技ではないと言う事だ。バフやデバフがもりもりに書かれているが、これも新人冒険者が取得出来る技の代物ではない。まぁ、そりゃ登録して数ヶ月でS級冒険者になれる訳だわ。と、俺が心の中で技の紹介をしている間にハングリーベアの群れの討伐は終わってしまった。まぁ、S級冒険者の俺から見ればB級モンスターなんか可愛い子供にしか見えない。全く、ロリアン戦以降、心から楽しめる戦いがやって来ないな?まぁ、ロリアンが俺を心から楽しめる戦いを提供してくれた事には感謝感謝大感謝なんだけど?それにしても、心の中で説明しながら戦うのは少し舐めプし過ぎたかな?とりあえず、国王から危険要素を取り除けたので良しとしよう。
「これで安全に進めますね?」
「う…うむ、よくぞやってくれた!」
『こやつ…本当にただの獣人族の冒険者か?S級とはいえ強過ぎる。たった一人で大量のハングリーベアを全滅させるとは…敵に回すと国が滅びる…こやつはずっと我の味方であって欲しいものだ…』
「国王様?心の中でもお喋りなんですね?」
「なっ!?何故我の考えている事が分かったのだ!?」
「あぁ、俺も『万里眼』を持っているので…」
「お、お主も魔眼持ちなのか…」
「まだ他に八つの魔眼を持っています。見ますか?」
「魔眼九つ持ちだと!?我の国では前代未聞だぞ!?」
「そ、そうですか?サファイアルさんは魔眼10個持ちですが?」
「彼は伝説の存在だからそのくらい当たり前なのだぁー!庶民のお主とは格が違うのだよ、格がぁー!!」
「そ、そんなに強く言わなくても…しゅん(泣)…」
「いや、お主は男だろう?見た目が女の子みたいだからって可愛く泣き真似するんじゃないよ、なんか我が悪い事したみたいになってしまうではないか!」
「え~?だって心の中の悪魔がぁー…」
「悪魔ぁ?お主今年で幾つになるのだ?」
「15歳」
「15歳!?その歳でそんな事やってて恥ずかしいとは思わないのか、お主さては俗に言う『厨二病』じゃな?」
「いやー、でも、うぅーん…」
「でもではない、恥晒しめ!見た目は女なのに男って言ってる事と同じくらい痛いし恥ずかしい!」
こ、国王様ぁ?そんな強く言わなくても良いんじゃないんですか?おっと、一旦この話は後回しにして…俺達はその後、さっきみたいにモンスターが現れたら俺とローズで討伐し、会場に辿り着くまでそれを繰り返した。そして、夕方になる頃に会場である島の中心の王都「ミリア」に辿り着いた。
「や…やっと着いたよぉ~…」
「長旅付き合ってくれてありがとうな、セイバーとその妹よ。さて、これからが『国王会議』本番だ」
こ、「国王会議」…一体どんな様子で行われるのだろうか?まぁ、庶民の俺からしたら全く分からない話になるだろうが、聞いて損する事はないだろう。そんな訳で、明日の会議に向けて俺達は会場に併設してある付き人用の宿の一室でゆっくりと………出来なかった。何故なら─
「おにぃーちゃーん♡」
「ち、近いぞ!?距離感バグってんのか!?」
そう、ローズの世話で余計に忙しかった。だから、こうして今日もローズに首筋を舐められたり、尻尾を甘噛みされたり、あとは俺の息子をローズの舌で○○○○されたり、尻尾を互いの○に○入したり、○○が○○で○○を○○して○○を○○○○○○○○…
─ 翌日 ─
『ローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさんローズさん』
「ぎぃやぁああああああ!?」
(サルタ、手紙を投げ飛ばす)
「ナ、ナニコレェ!?セイバーに一体何があったの!?全然普通じゃないじゃん、途中からエッチな事しか考えてないじゃーん!!」
(スノウ、手紙を拾う)
「サルタさん?僕達より年下のセイバーがこんな事してるのに、僕達はまだ処女なままミャウね?いっそ、サファイアルと一発ヤるみゃう(怒)?」
「おいおい、早まらないでスノウちゃん!私達は清楚系代表としてそんな淫らな行動はしちゃいけませーん!!」
「これじゃあ仕事どころじゃないミャウ。帰って来たらアイツに何発も○○浴びせてやるミャウ。そしたらムラムラも晴れるはずミャウ」
「話聞いてたぁー!?私達はこの作品の中でまだ清楚な方なの、だから羨ましいかもしれないけど、ここは我慢して!」
「それじゃあ、僕だけサファイアルとヤッてくるミャウ。サルタさんは一生処女のまま生きるミャウよ?」
「ち、ちょっと待ったぁー、スノウちゃん!私だけ孤独に処女をやれと言う事なの!?いや、無理無理、だってあんな清楚だったセイバーがこんなに気持ち悪い程にエロくなっちゃったから、貴方もキャラ崩壊引き起こしてこの物語がイカレサイコになっちゃうよ!早まらないで、スノウちゃん、スノウちゃーん!!」
二人が話している様子を遠くから見ていたサファイアル。彼はこんな言葉を吐き捨てていた。
「自由に愛し愛される…私には到底巡り合えない代物ですね?」
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