第16話 いきなりのご登場?!
「一緒に寝よ?」
「っ〜〜〜〜」
大きな枕に抱きついて、黒華のパジャマ姿で上目遣いに聞いて来る凛の姿が物凄く可愛いかった。
「...分かった」
「わぁ〜い!」
凛は嬉しそうに笑っていた。
「3人で一緒に寝よう!」
確かに千夏とは一緒に寝る予定だった。いや、彼女になってから一緒のベッドに愛し合って寝ていたのだ。そして黒華を真ん中にして3人は並んで寝る。
「...黒華君」
「え?!いや、待て待て!」
千夏の雰囲気的に察した。いつもならウェルカムだが、今は凛が隣にいる。
「そうですよね、今はおつかれですよね。すみません」
少ししょんぼりする千夏。
黒華は凛に聞こえない様に小声で会話をする。
「違う!別に疲れてない。本当はいつもみたいに愛し合いたい!でも、ほら今は凛が隣にいるだろ?」
「...?別に恋人同士なら良いんじゃないですか?」
「は?え?どうゆう事?」
「あれ?!もしかしてまだ付き合ってないのですか?」
本当に千夏の言葉に訳分からなくなり、混乱状態に入っていた。
「あの、凛さん」
「ん?どうしたの?」
「黒華君とはまだ付き合ってないのですか?」
「付き合う?あー、カップルって奴?」
「そうです。もし黒華君の事が好きでしたら」
「うん!好き!なら、コクハとカップルになるね!」
「ふふ、これで大丈夫ですよ」
...え?何が大丈夫なの?あれ?俺が間違ってるのか?
「ち、千夏どうゆう事だよ?あれ?俺と千夏は付き合ってるよね?」
「え?はい、付き合ってますよ?殿方は複数の恋人を作るとお父様は言っておりました。ですので、本気で好きな相手、この人になら命を授けれる相手ではないと絶対に付き合ってはならないと言い聞かせられています。なので、お父様の言う通り生涯独身の身になると覚悟しておりました」
うん、多分それは。男は浮気者だから絶対に付き合うな!生涯結婚するではない!っと親バカが遠回しに言ったんだろうな...それが、今悪い方面に行っちゃったよ。
「千夏、本当は1人しか付き合えないんだよ」
「え?でしたら、私を捨てるのですか?」
っと泣きそうな目で訴えていた。
「千夏を捨てる訳ないだろ!俺はお前が愛してるから」
「...コクハはあたしとカップルにならないの?」
「...」
すると隣で凛が泣きそうな顔になっていた。
正直凛は好きな方の分類だ。もし千夏と付き合っていなかったら凛と付き合っていたかも知れない。
「...うん、分かった。俺は2人とも付き合うよ」
正直、俺は男だ。こんな2人が合意的に二股を認めるのなら承諾してしまう。クズと呼ばわれて構わない。でも、俺は必ず2人を愛して幸せにすると誓う。
「ふふ、凛さん良かったですね。黒華君大好きです」
「やった!コクハ大好きだよ!」
2人に嬉しそうに抱きつかれてしまった。
「...一応言うけど、俺は2人が他の男と付き合うのは嫌だよ?」
「あたし、コクハ以外は興味ない」
「凛さんと同じ考えです」
そして、今夜は3人で愛し合うのだった。はじめての凛は痛くて涙目になっていたが、すぐに受け入れてくれた。
☆ ☆ ☆
ちゅんちゅんと鳴く小鳥に千夏は目を覚まして起き上がった。隣の方に視線を移すと、仲良さそうな黒華と凛は抱き合っていたのだ。そんな2人の姿を微笑み、朝食の準備をするのだった。そして、色々と支度をして学校に向かう。
「コクハ!すき〜」
凛は黒華の腕に抱きつき自分の好き好きと連呼する。黒華も流石に恥ずかしくなるのか顔が真っ赤だった。
「お、俺も好きだよ」
学校に向かう3人の前にいきなり黒い車が止まった。車の中から袴を着ている男が現れる。
「お父様!」
「千夏!!パパと会えなくて寂しくなかったのか?」
「いえ、全然。黒華君と一緒なので毎日が楽しいと感じます」
即答な答えに千夏の父と思われる人物はその場で崩れ落ちる。するとギロリとこちらを睨みつけた。
「お前が千夏をたらし込んだ男か!切腹だ!」
「え?!!」
袴の中から小刀を出した事に驚く。すると、後ろから女の人が飛び出して蹴り飛ばした。
「ふふ、すみませんね。うちの夫が恥ずかしい真似をしちゃって」
「はぁ...ん?夫?あ!もしかして千夏の母ですか?!えっと..俺は、いや自分は千夏と交際をしている不動黒華です」
「ふふ、話は聞いてるわ。私は千夏の母の不知火
2人はお辞儀をする。すると黒華の腕に抱きついている凛に視線を移した。
「あら?よく見たら凛ちゃんじゃん」
「チナツのママ!お久しぶり!」
2人は元気よくハイタッチをする。どうやら2人は顔見知りの様だ。
「ずっと、抱きついていたから妹さんかと思ったわよ」
「妹じゃないよ!あたしはコクハの彼氏!」
「スーーーーー」
いきなりのカミングアウトに黒華は汗をポロポロと流した。娘の彼氏が二股やってると聞かれれば誰だって怒るのだろう。
「あらあら、2人と彼女が...ふふ、若い子は盛んね」
「え?!二股ですよ?!良いんですか?」
「だって、本気で2人を愛す覚悟は出来てるよね?」
「はい」
「なら、宜しい。私はあまり娘との恋事情は加担しないつもりなのよ。誰かさんの入れ知恵のせいでね」
っと気絶をしている千夏の父親の方に視線を移した。
「まぁ、千夏...2人を不幸にさせた時はその時償って貰うわよ」
「はい!」
橙子の殺意に本気で身の危険を感じたのか、背筋がピーンっとなった。気絶をしている千夏の父親の服を掴んで車の中に引っ張る。
「黒華君が良ければ千夏はあなたの家に預けるわよ」
「え?良いんですか」
あんな広い家に1人で居ても勿体無い。千夏と一緒に住んでくれるのなら本当に嬉しい。好きな人と長くいれるから
「千夏も良いわね?」
「はい!」
「なら、後でうちの者に服とか色々あなたの物を届けに向かわせるわ」
千夏の父を車の中に放り込んで出発した。嵐の様な家庭だなっと感じたのだった。
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