第17話 異世界一ヶ月記念



 異世界に転移され、森の中で生活し始めて一ヶ月が経った。


 最初は生活水準をあげようと頑張って(今もまだ頑張ってるけど)いたので、一日が長く感じてた。けど、一ヶ月の最後の一週間はずっとダラダラしてた気がする。

 ハンモックの上でゴロゴロしたり……。

 振り返ってみたらあっという間の日々だった。

 

 そんな一ヶ月記念として、ずっと考えていたあるも

のを創ろうと思う。

 それは……。


「ツリーハウス!」


 もう家を建ててるんだからそんなものいらないかもしれないけど、ツリーハウスは一度住んでみたかった場所なので創ってみることにした。

 

 家を建てた時の反省を活かして、私にはツリーハウスをより確実に創る方法がある。ずばりそれは、木の中に家を創っちゃうというトリッキーな方法。

 

 幸い木の中をくり抜いても大丈夫な大樹があるので、面倒さを考えてもかなり現実的な方法だと思う。


 もしかして私が創るのってツリーインハウスっていうのかな? 


 と、そんなふうに自分の中で分析してたけど……。なんかもう面倒くさくなってきた。やりたいようにやって、失敗したら失敗した時に考えよう。


「まずは木をくり抜く」


 大樹のいい感じの眺めになる場所に、窓となる部分をくり抜く。そして、部屋にするために奥行きを創って……。ここは一人でゆったりする予定の場所だから、あんま広くなくてもいいかな。


「よっと」

 

 地面から木の幹に階段を創って、中に入った。  

 うん。広さはちょうど良さそう。眺めもいいし、最高。すんごい木の匂いがするけど、これは仕方ないよね。嫌いな匂いじゃないからまだ大丈夫だけど、ここには長時間いれなさそう。


「う〜ん……」


 ツリーハウスなので、ちょっと秘密基地っぽくしたい。


 特に何も入れる予定はないけど、棚を創ってその上に木で創った猫ちゃんのフィギアを立てて、と。

 湾曲を描いた座椅子もほしい。……木が素材なので座り心地がいいかと言われたらよくないけど、湾曲がいい仕事をしてくれている。


「よし」


 部屋は完成した。

 あとは、この中に入るために階段をどうするかだけど……。


「外にあると色々面倒くさそう」


 じゃあせっかくだし、木の中にも階段作っちゃお。

 作り方は簡単。

 人が一人余裕を持って入ることができるスペースを確保して、地道に階段を作っていく。今回はせっかくだから、ちょっと憧れだった螺旋状階段にしてみよ。

 

「周り何も見えないから映えないけど……」

 

 緩やかな階段を作って……あとは、出入り口の扉をっと。


「よし」


 これで完成。

 このツリーハウスはちょっとずつレベルアップしていきたいな。

 ちなみにワンポイントとしては、ツリーハウス内から外に階段を使わずともすべり台からすべり落ちてこれることかな。

 やっぱ、何をするにも楽しい方がいいからね。


「にゃ」 


 でも流石に造形美を求めすぎて、るぅフィギアを創りすぎちゃったかも。


「にゃ」


 るぅがフィギアを突きながらこれはなにか聞いてきてる。


「このフィギアいいでしょ? これ実は失敗作なんだよね」


「にゃ」


「え。るぅより大きくして猫を祀る像にしてほしいって、本気?」


「にゃ〜」


 この猫、一体何を目指してるんだ……。

 さ、流石に冗談だよね?



「なんですかこの像?」


「いやぁ〜ちょっとした成り行きで……」

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