第3話 おしゃんてぃに決めたいんです


「ふぁ〜」


 よく寝た。

 昨日は突然異世界に転移されて、正直なところ不安だったけどなんとかなった。

 食べ物と飲み物と家もあるし。

 洗っておいた服を着て、顔を洗って、キノコを食べて……。


「よし」


 準備完了!

 って、なんの準備してるんだ?

 

「ん〜」


 やることがないと言ったら嘘になる。

 色々あるけど……まずは、衣食住の『衣』の部分をどうにかするべき。今日は寝るちょっと前に洗って夜のうちに乾かしておいたけど、一枚の服を毎日洗って着るのは抵抗がある。


「服か……」


 どうやって手に入れるのか検討もついてないけど、今日は服を手に入れる!

 

 さてさて。どうしようか?

 布の服は多分近くにない。

 服、というか体を隠すことができるものは森の中にたくさんある。ちょっと抵抗あるけど試してみるのも大事だよね?


「う〜ん……」


 森の中にあった葉っぱを体に巻いてみた。

 葉っぱの表面がザラザラしてて肌触りが悪い。その代わりすごい開放的。いや、スースーする。一応大事なところは隠せてるけど、これはただの葉っぱを体に巻いた人だ。なにより、おしゃんてぃじゃないから……。


「却下!」


 振り出しに戻った。

 服。服。多分さっきの感じ、肌触りがいい布を調達しない限り服をつくるのは不可能そう。 

 

「布っていってもなぁ〜」


 この土地はもともと荒野だった場所。

 ものが落ちていたのなら私もここまで追い詰められないってぇ〜の。


「いやもともと森だったところになにかあるんじゃ……」


 ダメ元で森があった場所に這わしてあった根から、地面になにかないか探る。

 行き場を失い、私がいる森の方向に走る動物。かつて滝があった水たまり。


「あ、あった」


 馬車の荷台部分だけが崖から落ちた残骸。人の姿はないので事故でもあったのかな? 

 荷台の持ち主が商人だったのか、地面に私が求めている服や本が散乱している。誰のものかわからないけど……もらっちゃお。


 服をゲットした。

 ワンピースや、半袖短パンとシンプルな作りの服。異世界じゃ、こんな感じの服が主流なのかな?

 『おしゃれな服を作る』

 これもいつかやりたいリストに入れておこう。


 たまたま荷台から服を手に入れることができたのも大きいが、今回の一番の成果と言ったらを手に入れることができたことだ。

 もちろん文字は読めなかったが、ぱぁ〜っと見てみた感じあの本は植物の図鑑のようなものだということがわかった。私は植物も創り出すことができるので、絶対文字を解読したい。


「ふぅ〜よくやった私」


 異世界生活二日目にして、衣食住を手に入れることができた。それもこれも全部スキルのおかげなんだけのね……。

 

 まだやるべきことはたくさんある。

 けど、今日はゆっくりしよっかな。

 スキルで変形させた木の上ででも。

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