第2話 食べ物と水の確保


 

 〜森の中を散策しています。少々お待ち下さい〜


「うわ〜ここが滝かぁ〜」


「くんくん。あっ! まさかこの木の実、ブルーベリーなんじゃ……やっぱり!! こっはシイタケ?」


「大樹に周りを見渡すためのツリーハウスとか作ったらおしゃれかな? う〜ん。おしゃんてぃだけと登るの面倒くさそう……」



 食料の確保。これは以外と簡単。 

 さっき森の中を散策している時、たまたまシイタケとブルーベリーを見つけた。なんで食べ物があるのかわからないけど、これが食べれるものだったら食糧問題は解決する。


「ものは試し!」

 

 とりあえず、キノコを茹でるため火をおこすことにした。

 ……ちなみ水は滝の下にあった川から直接もってきているので、準備万端。

 

「ほりゃああああああ!!」


 この木と木を擦り合わせて火をおこす方法は、子供の頃テレビでみたサバイバル技術の一つだ。

 まさかこんなとこので役に立つ日が来るなんて思わなかった。  


「あちち」

 

 昔を思い出しているうちに、いつの間にか火をおこすことがてきていた。とりあえず焚き火をする場所に火玉を入れる。

 ちょっとずつ火が広がっていき、焚き火へとシンカした。


「こりゃテレビ様々すぎるわ」


 火は出来上がった。

 あとはキノコを入れる鍋みたいのを……って、あれ?


「鍋は?」

 

 木じゃ燃えて使い物にならない。

 あれ? もしかして私詰んだ?


 いやまだそう考えるのは早い。直接火を使わずともできる調理方法はある。

 たしか小さい頃本で読んだ伝統的な……そう、『パチャマンカ』という調理方法だ。


「よ〜し!」


 まず始めに、食材が入るくらいのちょいい大きさに地面に浅い穴を掘ります。 

 で、次はその穴に入る石を2個探して火で熱します。

 あとは食材をバナナの葉っぱで丁寧に包んで……って、本当はそうしたいけどここにはバナナの葉っぱなんてない。とりあえずシイタケを包み込むことができる頑丈そうな葉っぱにする。

 ここまで来たらあとは簡単。

 熱した石を穴の中に入れ、その上にシイタケを包んだ葉っぱをおく。その上にもう一個の石をおいて、1、2時間待つ。


「できたぁ〜!!」

 

 ちょっと焦げてるけど、ちゃんと蒸し焼きできてる。やっぱり葉っぱがそこら辺に生えてたやつだったから、灰がすごい。

 あつあつのシイタケちゃんたちに水を通して……よし。  


「いただきます」

 

 嚙んで、嚙んで、嚙んで、飲み込んだ。

 苦くてとてもじゃないが美味しいとは言えない味。やっぱり調理方法が違うと、よろしくないらしい。

 どっさり取ってきたブルーベリーで口直しする。


「ぴゅ〜……」


 これもまた甘くなく、酸っぱい。

 これもまた美味しいとは言えない味。


 美味しくないはずなのに、私は再びシイタケを口に運んでいた。焦げの苦い味。

 美味しくない。けど、美味しい。

 多分こんな感覚になっているのは、異世界で初めて食べた食べ物だからなんだろう。


 ここにはいろんな食べ物があるはず。 

 絶対いつかほっぺがとろけ落ちるほどおいしい食べ物を作って、お腹いっぱい食べみせる!


 ――食糧問題『解決』


 水分不足。

 それは滝ができたことによって解決された。


 さっきスキルを使って気づいたんだけど、このスキルは創り出したモノのことができるっぽい。これは色んなことに活用できそう。

 試しに水を飲むため必要な蛇口を……。


「できた」


 公園などにある蛇口。木製だけど。

 蛇口をひねるとちゃんと水が出てくる。どんなカラクリになっているのか、創った私でさえ理解できない。

 多分だけど、水分が根っこから繊維を通って来ているんだと思う。確証はないけど、そう考えることしかときない。


 創ったモノの形を変えることができる特性を利用して、家を作った。完全木造の家だ。

 一部屋しかなくて小屋といったほうがいいのかもしれないけど、一人でゆったりできるスペースはある。

 この家は後々改造して最高の家にする予定。


「ふぅ〜」

 

 家の中で横になってみたけど、『最高』以外の言葉が浮かんでこない。

 今日は一旦休憩……にしたけいけど、まだすることがある。

 

「ふんっ!」


 まだこれじゃあ、持続的な水の確保ができたと言えない。

 この土地はもともと水っ気のない荒野だった。

 本当に水がなくなり、どうしようもなくなったら世界中に木の根を這って水分を吸い上げることもできるけど……。


「自給自足するんだもんね」

  

 空を見上げると、雲ひとつない快晴に見える。

 だが遠くに雲が見える。雲がある、ということはこの異世界でも雨は降るということだ。

 そうと決まれば、水の確保は簡単だ。

  

「ほほいのほい」


 巨大な木を何本も生み出し、平たくする。それを何度も続け、大きな桶を創り出す。いわばダム(仮)を創るということだ。

 ダムなんてスキルを使えばすぐできる。

 本当に一瞬で出来上がった。

 あとは、周りにある木の葉っぱをダムの方向に向かって傾ければ完成。


「我ながら良い出来」


 ふふんと鼻を高くし、木を変形させて創った椅子にふんぞり返る。

 

 神様からもらったこのスキル。

 最初『森』と知ったときは、あまりいいやつじゃなさそうだったけどちゃんとすごい。どんなモノでも創り出して、何でもできそう。


「神様ありがとぉ〜!!」


 ――持続的な水の確保『解決』



 

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