十 宇宙戦艦の女帝と大佐の壊滅
「女帝リズは、この島国から他の国々へ手を伸ばして、ヒューマ社会を支配したんだよ。だけど、ヒューマが増えて不満が増えたから、支配体制を共和政にしたんだ。
女帝リズは、今度は、思念波・レプティカで意識内進入して精神と意識を乗っ取ったエイプを使って、ヒューマ社会を支配しようとしてる。
女帝リズの部下で、島国のヒューマ社会で軍隊を指揮しているのが、アーサー・ブリット大佐だよ。大佐と呼ぶのは単なる呼称だよ。
大佐はレプティリアの一族のマコンダだよ。大佐は今のところ女帝リズの思念波・レプティカで意識内進入されて、女帝リズに支配されているようにしてるけど、大佐の精神と意識は、まだ乗っ取られていないよ。女帝リズを倒す機会を狙ってるんだよ。
ああ、二人の声と精神と意識を思考記憶探査した結果を説明したんだよ」
クピがそう言った時、コクピットの空間に現れている、4D探査映像の軍の司令室が消滅して大きく揺れ、その場に岩石が大量に出現した。
4D探査映像の横の緊急表示に、大量の青白い閃光が現れている。
「何が起こった?何だこれは?」
バスコとマリーが慌てている。
「スキップ光だよ。誰かが、ここに岩石を転送スキップ(時空間転送)したんだよ」
とクピ。
「女帝リズと大佐は消滅したんか?二人はどこにいたんだ?」
「ちょっと待っててね。波動残渣を見るね・・・」
4D探査映像が引いて、動残渣による過去の4D探査映像に変わってゆく。
「驚きだ!ここは巨大な宇宙戦艦の司令室だったんだ・・・」
「誰かが宇宙戦艦ごと女帝リズと大佐を消滅して空間を岩石で埋めたんだわ!」
バスコとマリーが波動残渣の4D探査映像を見て驚いている。
「だけど、まだ、ヒューマ社会に紛れて女帝リズと大佐がいるよ・・・」
波動残渣の4D探査映像が変わった。
過去の波動残渣の4D探査映像が、ヒューマ社会の宮殿の玉座に座る女帝リズに変わった。ヒューマの姿の女帝リズと、ヒューマの姿のアーサー・ブリット大佐がいる。
「これが現在の姿か?どうやってヒューマ社会を支配してる?」
「独裁国家と民主主義国家のどっちがレプティリアに有効か確認してるよ。
独裁国家を支配してる独裁者はヒューマの亜種のエイプだよ。
民主主義国家は経済が国家を支配している」
「どっちが優性なの?」
「独裁国家の露国が、民主主義国家の宇克蘭国が侵略したと偽情報をでっち上げて宇克蘭国に侵入した。独裁国家の中国が、経済的に露国に頼っている国々とともに露国を指示した。
民主主義国家は宇克蘭国を経済支援して、独裁国家と民主主義国家の戦争が宇克蘭国で続いた。
そして今、露国が『宇克蘭国が各兵器を配備した』と偽情報をでっち上げて、自国の核兵器を配備した」
「独裁者は何をしたいんだ?」
「領土を増やしたいだけだよ。ただそれだけだよ。コレクターだよ。他人の物を何でも奪って自分の物にしたいんだよ」とクピ。
「犯罪者特有の支配欲による病気だな」
バスコが呆れている。
「ヒューマの亜種のエイプ特有の、略奪と所有だよ。
略奪と支配。彼らにはそれが当り前の考えなんだよ」
「それをさせているのが、島国の女帝なの?」
マリーは女帝が何者かと思った。
「女帝リズとアーサー・ブリット大佐だよ」
「女帝と大佐を消さぬ限り、次々にエイプの独裁者が現れるわね」
「レプティリアを壊滅しよう。その後にエイプだ」
バスコが、攻撃のターゲットを決めた。
「じゃあ、レプティリアを見つけて、転送スキップ(時空間転送)のターゲットマークするよ。
4D映像探査ターゲットは、女帝リズと大佐の波動残渣を思考記憶探査したから、4D映像探査できるよ・・・。
ほらできたよ。だけど、ずいぶんたくさんいるよ。転送スキップ(時空間転送)できるのはこの〈ガジェッド〉の質量の5倍までだよ」
この飛行艇〈ガジェッド〉の転送スキップ(時空間転送)可能質量は、〈ガジェッド〉の5倍までだ。それを越えると相対スキップ斥力が働き、この〈ガジェッド〉自身がターゲットの転送先へスキップする。
「クピ・・・。女帝リズと大佐が何でこんなにいっぱいいるの?
何か、変だよ・・・」
マリーは4D映像探査ターゲットと転送スキップ(時空間転送)のターゲットマークした4D探査映像を見ている。
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