四十八 全機、発進せよ
二〇二五年、十月十九日日曜、十四時過ぎ。
地球防衛軍関東師団宇宙防衛隊入間基地の広大な離着陸ポートに、地球防衛軍宇宙防衛隊コマンドと検警特捜庁検警特捜局局特務部コマンドの混成部隊、『地球防衛軍特務コマンド』のステルスヴィークル編隊が待機している。中央に指令機のロータージェットステルス戦闘爆撃ヴィークルがいる。
検警特捜本局特捜本局長、法務特捜官の本間は指令官のコクピットで、ディスプレイの隅の情報衛星センター所長へ視線を移した。
今回、本間は『地球防衛軍特務コマンド』の司令任務を与えられている。
「本間司令官。内部探査は不能です」
情報衛星センター所長が本間に報告した。
東亜重工M工場とM宇宙航空研究所の全施設はシールドされ、情報収集衛星の探査波を遮蔽し、内部探査不能だ。
「所長。ミサイル発射サイロを探せ」
「わかりました・・・」
所長の返答とともに、東亜重工の全体映像が工場各部に変った。離着陸ポートの、工場から最も離れた端に、直径三メートルほどの円形金属反応がある。数は、二十メートル間隔で十個だ。
映像が拡大した。ポート外れの身の丈ほどの雑草区域がディスプレイに現われている。
「雑草の下にサイロの鉄蓋があります。
本間司令官。命令に従い、施設へ立入るべきです!攻撃されれば反撃できます!」
指令コクピットの佐伯は混成チームの指揮官任務を与えられている。
奴らが亜空間転移して逃亡すれば、我々クラリックのディーコン位はアーマー階級と同じ思想なのに、クラリック階級(アーク位、ビショップ位、プリースト位)の掃討作戦から締めだされる。我々GPM(グランド・ピース・メーカー)はアーマーと同思想だ・・・。
「佐伯君。作戦開始だ!
所長。内部探査を続行してくれ!
全機に告ぐ!
これより東亜重工M工場と宇宙航空研究所の捜査査察を開始する!
全機、発進せよ!
攻撃されたら、迷わず反撃しろ!」
「了解しました」
地球防衛軍特務コマンドのステルスヴィークル編隊は発進した。
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