第4話

「そんなことさせるわけ無いでしょ!」


 そう言って天井から小鹿が降ってきた。


「チッ、邪魔が入ってしまったな……」


 小鹿は俺の拘束具を破壊して助けてくれた。

 そして俺の両手を握ってすごい近距離で鼻息荒くしてる。

 ……怖い。


「先輩!大丈夫ですか!?怪我とかしてませんか!?」

「お、おう……。とりあえず離れろ……」

「嫌です!」

「えぇ……」


 なんかもう色々と面倒くさいなこいつ……。

 いやまあ、知ってたけど……。


「おいおい小鹿くん。斎藤くんは私のものだが?」


 あれれ〜おかしいぞぉ〜? なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ〜?


「先輩は誰のものでもないですよ。それに、先輩?私はあの時言いましたよね?」

「何を?」

「先輩は私が養いますし、一生一緒に居ましょうねって」

「絶対嫌だ」


 そう言って俺はドアへ向かって駆け出した。

 しかし、小鹿に追いつかれてそのまま捕まってしまう。


「また逃げるんですか?」

「逃げたいけど逃げれる気がしない」

「じゃあ、大人しくしてくださいよ」

「おーい、斎藤くん返してくれよー」


 酒井さんが手を振りながら言ってくる。


「うるさいですね。先輩は渡しませんから」

「……フム、ではこうしようか」


 そう言った瞬間、床から黒い触手のようなものが現れて小鹿を縛り上げた。


「きゃっ!」

「うわあっ!?」


 俺はそのまま引っ張られてベッドに縛られる。


「な、なんですかこれ……!」

「ん〜、私の可愛いペットだよ」


 そう言って酒井さんが指を鳴らすと黒い塊から人の形へと変わっていく。

 人の形になったと思ったら犬の形に変わった。


「これは……?」

「ああ、人の死体を使った実験の時に出来たんだ。面白いだろう?」


 そう言って笑っている彼女は少し怖かった。

 小鹿は拘束から逃れようともがいているが解けない。


「さて、邪魔者はそこから斎藤くんと私の夜伽を見ているがいいさ」


 そう言うと、彼女は俺の上に跨り服を脱ぎ始めた。

 ……やばい、犯される……!


「ふざ……けるなぁ!」


 今まで見たことがないくらい怒った顔で、小鹿はもがき続けているが一向に抜け出せないようだ。


「無駄だよ。それを切るには遠心分離機ぐらいの力はいるからね」

「切るのには……でしょ?」


 そう言うと小鹿は右腕を拘束から抜いた。

 左肘を張ってそれで出来た隙間から右腕を抜いたらしい。

 その右手には銃が握られている。


「これであなたを撃ちます」

「そ、それは困るな……。分かった、降参するよ」


 そう言って酒井さんは両手を上げた。

 そして酒井さんが指を鳴らして小鹿と俺の拘束を解いた。

 小鹿は拘束が解けるとすぐ俺を抱きしめた。


「先輩……良かった……」

「俺からしたら全然良くないけどな」


 お家に帰らせてほしい。


「……それで?どうするつもりだい?」


 下着姿のまま、彼女は腕を組んでベッドの上に座っていた。

 まあ……うん。

 胸、ないね……。


「……斎藤くん、今君失礼なこと考えてなかったかい?」

「いや、別に何も……」

「嘘はよくないなぁ〜」

「……すいません」

「素直でよろしい」


 この人は超能力者かなにかか?

 

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