第39話 諏訪護
敷きっぱなしの布団の上に護は座り直し、気乗りはしないが一応、凛のお願いを聞いてみる。
「で、何なの?頼みって」
ギャル化した凛は布団の上にペタン座り、上目遣いに護を見る。
「ほら、この格好だと、結構力使っちゃうわけ。ちょっとだけ、護の生気を食わせてくんない?最近、あんま食えてなくてさ、ダメ?」
指を咥える凛はあまりに色っぽく、咄嗟に目を逸らす。
これはただの変化だ!と言い聞かせるも、ドキドキが止まらない。
「別にタダでとはいわないからさ。いいよ、触っても。その方が、いっぱい生気をを食えるから」
凛は護の頬に手を伸ばす。
「それとも、こっちの方がいい?」
凛の唇が近づく。
なんなのこれ……
凛君とキスしちゃうの……
待って駄目っ!!僕には兵藤さんがっ!!
でも……
術にかけられように護がそのまま動けずにいると、後ろでガタガタと何かが動く音がした。その音は次第に大きくなり、護が振り向くとコンを封印した木箱が激しく飛び跳ねるように動いていた。
もちろんその木箱は封印の札が貼られ、組紐で厳重に縛られているため、蔦は伸び出てこられないようだった。
「放っておけよ」
再び、凛の唇が近づく。
これはキスじゃない……生気をあげるだけ……
そんな言い訳の元、護が目を閉じかけたその時、蔵の扉がまるで自動ドアのように開らいた。
「えっ……」
そこには白い浴衣の姿のあやめと紺の浴衣姿の悠護が立っていた。
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