第14話 諏訪護
いつの間にかびしょ濡れだった髪も、この暑さですでに乾き始めていた。
坂を下りながら、兄に成り代わった凛は「しょうがねーな」と立ち止まり、性懲りもなくストレッチを始めた。何をする気なのだろう?とそれを眺めていると、彼は一瞬獣の姿に戻ったかと思うと、地面を蹴りくるりと宙に舞い前転すると、一瞬で露出度の高いギャル系の女子高生へと変貌し、ミニスカートひらりとひるがえした。髪は銀髪でふさふさした尻尾みたいなツインテールだ。そして、やらた胸元が豊かだった。
「ほら、おっぱいだぞぉ〜護。元気だせ〜」
そう言って、女子高生に変貌した凛はシャツの胸元を見せつけてくる。
「もう、からかわないでよっ!」
優しいのか悪乗りなのか、たぶんいつもの悪乗りなのだろう。護はそこから目を反らし、憤慨するも、悔しいが、目にはむっちりとした谷間がしっかり焼き付いている。
「恥ずかしがるなよ」と凛は護の腕に手を絡め、胸をこれみよがしに押し付けてくる。
偽物とわかっていても、変なドキドキが止まらない。
その時だった。
「最低」と後ろで声がした。振り向くと手にタオルを持ったあやめがいた。
なんでいるの!!
彼女はツカツカと坂を下ってくると「これ、悠護さんに持ってきただけだから」と鬼のような形相で護にタオルを押し付け、そのまま踵を返して帰っていった。
もしかして、キモいおっぱい野郎とか思われた……
「ちょっと、兵藤さん、誤解なんだっ!別に僕、おっぱいが好きなわけじゃっ!」
彼女の背中を追いかけようとすると、今度は突然坂の上の方で爆発音がした。
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