第6話

 お昼休み。

 お昼ごはんのサンドイッチを手に。

 クラスメイトをうまくあしらって、階段に向かう。わたしの、制服の違いを。見てくれたひと。


「いない」


 いなかった。

 それもそうか。

 同じ場所にいるなんて、そんな保証はどこにもなかったのに。期待してしまった。


 あきらめて、お昼を買いに行こうとして。


「あっ」


 いた。さっきとは、別の階段。やっぱり、踊り場に座ってる。

 逃さないように。と思いつつ、警戒されないように。走りそうな、歩きで。近付く。


「あの」


 彼。こちらに、目を向ける。


 ん?


 わたしじゃない。わたしじゃなくて。


 サンドイッチ?


「これ、ですか?」


「あ。いや」


「おなか。すいてるんですか?」


 無言の。うなづき。


「どうぞ」


「いいんですか?」


「どうぞどうぞ」


 サンドイッチを、放り投げる。彼が、キャッチ。彼が、サンドイッチを開けている間。そっと、踊り場。隣に、座る。座れた。隣。よし。これで話ができる。


「ん」


 彼が、何かに気付く。サンドイッチを、分解しはじめた。


「変なものは入ってないですよ?」


 学食で買ったやつだし。


「いや、そういうことじゃ」


 また、黙る。

 不思議だった。

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