職務質問される三毛猫
当初、ミケトはこの職務質問を拒否したが、拒否すると更に帰れなくなるよと脅かされたのでしぶしぶ受ける事になった。
「なるほど、名前はミケトちゃ……」
「僕は、男ですよ」
「はい、ミケト君ね」
シロンは端末を取り出して、ミケトから聞き出した情報を照らし合わせてみた。
「最近は野良ケットシーの犯罪や可愛いケットシーを誘拐して犯罪組織の資金源とか無計画に自治区に行こうする輩がいるから、こう巡回して……ってあなた捜索願出てるわよ! しかもケットシー地位向上に積極的な萩原議員から」
ミケトは特に育ての親と仲が悪かったからの家出ではなかったため、居なくなってからからすぐに捜索願が出されていた。
これは不味い、捕まると思ったミケトは、すぐ逃げようとしたが、シロンはミケトが逃げないように首を捕まえる。
「コラ、逃げないの! 悩みがあるなら聞いてあげるからねっ」
そう言って、ミケトを宥めるシロンであったが、それでもミケトは力ずくで逃げようとする。
「ん、この動き結構色んな体術をかじっているわね」
ミケトは裕福な暮らしの中、様々な体術系を学んでおり最近はマーシャルアーツの動きを好んでいた。
理由は、ケットシーだからと言う理由で学校で同学年の人間に嘗められない為であったが、ミケトの思いは裏腹に学校では嘗められず、むしろ親友も出来たぐらいである。
なので、得意の体術は披露されることはなかったが、まさかこんな時に使うとは想定しなかった事だろう。
ミケトは無我夢中でシロンに挑んで行ったがシロンはミケトの攻撃をかわしていく。
「え、え? なんで当たらない?」
「それはね、君のパンチが【1ミケト君】だとして、私が避けるスピードは【1シロン】、【1シロン】は【10ミケト君】と同等だから」
全く訳のわからない理論ではあるが、ミケトのパンチやキックが当たらないのは事実である。
ミケトにも疲れが出てくる、それもそのはず、いくらか軍資金を持って来たので食べるものには困っていなかったが、寝る所には困っていたらしく、ミケトはここ数日ちゃんと寝ていない。
「ん、動きが鈍くなったからそろそろ限界かしら?」
「まだ、まだ……」
強がるミケトだが、もはや体力は限界であった。
ミケトの渾身の一撃も交わされ、そのままミケトは倒れ込んでしまった。
「あらあら、ちょっと苛め過ぎたわね。でもこの子、トーラの相手にさせるにはいいかも……っていけないいけない、まずはこの子を保護しないと」
シロンはミケトを抱えて、適当なベンチに腰掛け、ミケトを膝に寝かした。
「寝顔も可愛いわね、だけど男の子なのよね」
シロンは端末に捜索願中のミケトを保護したと入力した。
因みにシロンが行っている夜の巡回任務は、シロンが平時行動として個人的に行っているものである。
もっとも、この夜の巡回任務があったからこそ、チームメンバーを集められたのだろう。
そして、今夜もシロンのお眼鏡にかかった子が膝の上にいる。
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