あの群青の下で君はまだ笑ってる

Vaintown

引きこもりでなぜ悪い

午前7時。

アラームが自室に響き渡る。

毎日、この時間にスマホが鳴るようにしてる。

今となってはこのアラームさえ無意味だっていうのに…

そう思いつつアラームを止め、けだるく起き上がる。

俺は、”望月 悟”。

つい、3か月前から不登校を決め込んでる高校二年生の17歳だ。

不登校になったのは俺の本意じゃない。

ただ、学校に居場所がなくなっただけ。

ただそれだけのことだ。


いやそんなことはいいんだ。

今日は大事な用事がある日。

俺が待ち望んでいた新作ゲームの発売日なんだから!

そんな憂鬱なことなんて記憶の片隅でも追いやってしまおう。

そんなこんなで、キッチンで適当にパンでも焼いて

自室でネットサーフィンをしながらかぶりつく。

この時間、両親は家にいない。

父はITエンジニア、母は出版社勤務で忙しいみたいだ。

特に父に関しては、ほぼ会社に泊まり込んでる。

新作ゲームのデバッグがどうこう言ってたが、詳しいことはよくわからない。

それに対して、俺が今やってることといえば…

「東京都**区**ここからだと1時間ってとこかな…引きこもりには荷が重いな」

何せ、引きこもるくらいには人が苦手だ。

できるなら外出はしたくないが、今日に関しては如何せん仕方がない。

俺は、ため息をつきつつも行先への経路を大まかに把握して

そのゲームを買いに行く電気屋が開くまでの間、ゲームをして時間を潰す。


----


午前9時半。

そろそろ、身支度を整えて家を出る。

大体、動き出すのは早い方がいいのが相場だ。

一度、だるいと思ったら足に根が張ったように動けなくなるのが目に見えてるし…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あの群青の下で君はまだ笑ってる Vaintown @Vaintown

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る