【ショートショート】 ストップマン

あれを見ろ!ストップマンだ!


え、ただの若い男じゃないかって?

いやいや..彼は人の姿をしているが、人ではない。ストップマンだ!


彼は本当に凄い。

ほら、あそこのカフェに座ってるギャル2人を見てごらん。


「見てこのウチの推し。可愛い自撮り動画あげてる!」


「わ!いいね!うちの推しは全然投稿頻度が少な...」


「STOP」


ほら!見ろ!ギャル達の動きがいきなり止まっただろ!


店員も、他の客も、注がれている途中の珈琲だって、

みーーーんな止まっただろう!!


信号も、動いている車も、地球の自転だって、

みーーーんな止まっただろう..!?


そんな中であそこにいるストップマンを見てみろ!


動いているだろ!!凄いだろ!!


ストップマンが「STOP」と言うだけで時間が止まるんだ!

彼はどうやら何かしらの理由があって

いつも勝手に時間を止める。


いったいどうしてだと思う?

僕はそれを突き止める為に、

わざわざストップ防止シャツを通販で買って(13万円した)

この謎を【突き止め】にきたのさ!!(ストップだけにな!)


おおぉーーっと!!ストップマンが動き出した!

車道の真ん中に向かって歩き出して、、何をする気だ、、??


「今日の案件はここらへんの車道に落ちている500円玉..」

ストップマンは地面を観察している。


「うーーん、これか。」

500円玉を拾った?


「納品先は、、こちらのお兄さんか。なーんで落とした500円玉が車道に行くかね。」

ストップマンは道で電話をしているお兄さん(停止中)のポッケに500円を入れたようだ。


「このあたりの仕事はもう無さそうかな。そろそろ【START】するか..おや?」


そうか!

ストップマンは落ちたお金をストップを掛けて拾い

こっそり持ち主に返しているのか!

すごい!大発見だ!


「お、君はストップ防止シャツを着ているね」


...。ばれた。興奮して目を離していた。


「はい。すみませんこっそり観察したくて。失礼しました。」


「良いんだよ。 僕も昔同じことをした。こうやって落ちたお金を持ち主に返すことで、同じ金額が僕の口座に振り込まれるシステムなのさ。」


そうなのかよ。


「なんならキミにもストップ免許をあげるからストップマンになるかい?」


...!?マジで??


「え、僕もストップマンになっていいんですか!?」


ストップマンは両手を組みながら話を続けた。

「こんな仕事だから人材が少なくてね。一緒に働こう!」


うおー!俺もストップできるのか!夢叶った!


あれ?でも職業なら1つ気になる事が、、


「あの、、時給はいくらですか?」


ストップマンはニヤリと笑った。


「無限さ。」


たしかに。












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【ショートショート】夢が必ず現実になる男 〜しかも夢より少し派手だ〜 @haku_saitou

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