【ショートショート】夢が必ず現実になる男 〜しかも夢より少し派手だ〜

【ショートショート】夢が必ず現実になる男

夢が必ず現実になる男がいた。

しかも、夢より少し派手になる。

道端に500円が落ちている夢をみた翌日は、道端に900円が落ちていた。

拾わずに通り過ぎる。

雨がポツポツと降る夢をみた翌日は、決まって土砂降り。

黙って傘を持ち会社に行く。

そんなふうに、

良いことも悪いことも夢には現れて、必ず少しだけ派手になる。

男は夢で起きた出来事が、

現実で再現されても関わらないようにした。

夢と関わると何か恐ろしい事が起こるような、

そんな気がしていたから。

ある日、男は道で可愛い犬が歩いている夢を見た。

その翌日、夢で見た場所で不審者が現れたニュースを見た。

ニュースを見て男は鳥肌が止まらなかった。

冷や汗もかいた。

男はその日から眠るのをやめた。

「もう夢を見るのはうんざりだ、、」

次の日に仕事があっても、男は関係なく起き続けた。

月曜日も火曜日も、起き続けた。

しかし水曜日の夜に男は眠ってしまった。

男は夢の中で自分の部屋で知らない男に刺され、死んだ。

男は翌日起きると、

「おはよ。」

妻からのキスで目覚めた。