文章のためのサウンドトラック
キツノカ
『parkside in bloom』 kensuke ushio
せーのでジャンプしたら違う世界に行ける。そういう幻想を信じていられるくらいに子供だった。
海の中に潜ると自分だけに聞こえる音がして、きみの顔が光の屈折で歪んでみえた。
取り壊される予定の旧校舎に忍び込んで、置き去りにしたグランドピアノを弾くきみを見てる。音の粒が光になってはじけてるみたいに澄んでいる。差し込む光が揺らめきながら、きみのもともと白い腕を余計に白くしていた。そこはわたしときみだけの幻想だった。
暑さで蜃気楼のようにぼやけた世界は揺らぎながら色を変える。そういう景色をわたしたちは永遠と呼んだ。
文章のためのサウンドトラック キツノカ @kitsunoka
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