羽人物語
ソラノリル
序章-空檻-
空檻
空にはただ、青しかない。
高く、たかく、地上から遠ざかるにつれて、
頬を切るように吹き
余計なものが、なにひとつないのだ。青の中を、わたしは飛ぶ。弾丸のように
(……来た)
空の彼方、一面に広がる澄んだ青の中に、染みが
――知ってる、かみさまは、ヒトが抱いた責任転嫁の心の化身だって。
白い微笑が脳裏を
圧倒的な力で人々を滅ぼしにかかるあいつに、おとなたちは《かみさま》という名前をつけた。先人の犯した罪に子々孫々罰を与えつづけている執行者だと。
(迎え討つ)
刃を構える。刹那、呼吸を止めて。かみさまを、まっすぐに見据えて。
おとなたちは言う。人々を守れと。戦闘機として我々を守れと。でも、わたしは人々を守りたいわけじゃない。わたしが守りたいのは、たったひとつ。そのために、わたしは今日も空を飛び、かみさまと、たたかう。
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