第17話 代償

 久しぶりの二人の旅路だが、募る話しなどあるはずもなく、静けさの中で、モーウィン大森林に辿り着いた。


 「着いたな、では始めるぞ」


 ロイシは、モーウィン大森林一大きな巨木の樹洞ジュドウを、一頻り満遍なく優しく撫で回した、すると樹洞の中の小さな穴から、不思議と樹液が滴り落ちるほど湧き出たのだ。

 そして、その樹液が分泌されし、小さな穴目掛けて、ロイシは聖剣ウタマロを力強く突き刺した。

 

 「ゔぁわしゃー!!わしゃしゃー、誰なの私の大切な部分を弄ぶのは!」


 「久しぶりだなジョチエス、すまない、少々雑だったかな?」


 「あら、ロイシだったのね、どおりで脳天まで図太い刺激が響いたわけよ、やっぱりウタマロの一発は効くわね」


 「はは、それはよかった、わしもまだまだ捨てたもんじゃないな…ところでジョチエス頼みがあってな、コレなんだが」


 「あらあらなんなの、随分わがままで一方的だこと、我慢出来ないのかしらん…あー、憎悪の穿通創ね、随分面倒で回り諄いことされたのね、この子を助けろってこと?」


 「はい!!お願いします!!どうかウトキを、ウトキをお助けください!」


 「なーに、坊や?タダでは助けないわよ、それはロイシから聞いているわよね…」


 「ああ、伝えたさ、何があっても受け入れてくれるよ…」


 「そう、よかったは、では早速…」


 デペカニスは、これから体験する他人の身勝手な欲望をどれくらい想像出来ていたのだろうか。

 我々が生きる現代ネット社会では多種多様な性的コンテンツが氾濫して動物的本能は遥か遠くまで屈折して進んだと云える。

 その結果、純粋な性欲は麻痺し自己性愛の探求からマニアックに進化した変態達は更なる快楽を求め切磋琢磨する…

 でもここラマゴスの存在する、この世界ではそういった類の物は皆無といっていい、ほとんどの人々が純粋に性を楽しむだけである、皆素朴。

 

 嗚呼、なぜなぜなんだ!そんな世界でまたしてもデペカニスは味わってしまうのだ、古の神々の作る甘露の如き禁断の密の味を。


 「ぶわしゃっしゃー、そうよロイシ、もっとやってあげるのよ!突き上げて、突き上げて、さらに突き上げるのよー」


 「ぬぉおおー!デペカニスくーん!!ずっとこうしたかったんだよー!!!」


 どれくらい弄ばれたのだろう…気が付けば、デペカニスはうつ伏せで意識は朦朧としていた。

 

 (あぁ…終わったのか、ウトキは無事だろうか…しかし…お尻が痛いな…)


 朦朧とした意識の中で、ロイシとジョチエスがウトキを地面に仰向けに寝かせているのがぼんやりと見えた、その光景を最後にデペカニスは気を失ったのだった。


 「あらー、気を失ったようね、この坊や、どうするロイシ?」


 「すまんが、記憶を少し消して上げてくれ、流石に酷い…わしも辛い」


 「あらあら、あそこまでしておいて、最後まで我儘なのね、いいわよ、久しぶりに私もたくさん楽しめたから。でも…知ってる?気絶している時の行為も、イイものなのよロイシ…」


 「ほ、ほんとかジョチエス!」


 「ええ、こんな骨のある坊やそうそうお目にかかれない、まだ楽しみたいは、ねぇイイでしょ?もう一度だけ楽しませてよ、記憶はその後で…」


 「うむ、そうしよう」


 この二人、鬼畜である。

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