第16話 出発と発覚

 「おーい、デペカニスくーん!まだかーい?もーう!ジョチエス様も相変わらずだし、僕だけいつまでこんな放置プレイなんだよー」


 「ゔ、わっしゃ、ゔわしゃしゃー!!!」


 嘆くチーソンを他所に、ジョチエスの甲高い叫び声がモーウィンに木霊したのだった。


 一方、覚醒幻旅カクセイゲンリョのラマゴスでは…


 「それでは、行って参ります」


 「デペカニスよ、頼んだぞ。そしてロイシ様もお気をつけて」


 王に出発の報告を済ませると、デペカニスとロイシは荷馬車にウトキを寝かせて、モーウィン大森林へと向かったのであった。


 (うわー、デペカニス君てばめっちゃ熱くなってる!こんな表情するんだあ、ロイシおじさんも久しぶりに熱くなっちゃうな、クゥーーーーッ)


 「ロイシ様、ロイシ様、聞こえておりますか」


 「おおっ、すまない、なんだ」


 「ウトキを治す代償について、まだ詳しく聞いておりませんでしたので、お聞かせいただきたく」


 「そのことか…デペカニスよ、フラエというあの女と出来ているのか?」


 「むむ、その事が今関係御座いますか?」


 「有るようで無い、無いようで有る、どうだろうなぁ」


 「まったく答えになっておりませんが、フラエとは心の底から通じ合った仲に御座います」


 「ほほう、そうか、それは残念だ」


 「残念とはなんです!曲がりなりにも元師匠がそのようなお言葉!」


 「おお威勢がいいな、デペカニスよ、代償を払うと言ったのは、あれは偽りか?恐らくあの女とは以前と同じ様には会えなくなる、寧ろ会わん方がいいだろうな」


 「ま、まさか…」


 「それが代償なんだ、だから助かる生命があるのさ」


 二人は、すやすやと眠るウトキに目を見遣ったのだった。

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