第15話 久しぶりのラマゴス

 結果が全てだ、どこの国でも承知の事実。

 ここラマゴス王国もそれは同じ。


 「デペカニスよ、もう後はない、頼んだぞ」


 「はは、それでは行って参ります」


 なにを試そうと結局、ウトキの意識は戻らない。

 デペカニスは王との約束通り、嫌々ながらもロイシの元へ向かう事となった。

 

 世界一辺鄙な場所へ隠れたつもりのロイシではあったが、風の噂と隠し切れないオーラによって、デペカニスはすぐにロイシを発見してしまう。


 「ロイシ様、お久しぶりでございます…」


 「おお、これはデペカニスか、久しぶりだな、一体どうしたのだ」


 (え!デペカニス君だ、めっちゃ大きくなってる!!うわーカッコいい)と思いながらもロイシは平静を装った。


 そしてデペカニスが云々かんぬんと事情を説明すると、ロイシは一言、「わかった」と言って承諾した。

 

 「久しぶりだな、ここへ来るのは、いつ来てもここは活気がある、全てが叶う街ラマゴスか…ふん、よく言ったものだ」

 

 「ロイシ様こちらでございます」


 「うむ、行こう」


 王との謁見、国の歴史や現在、諸国の状況、王家とチャンクリイ一族いちぞくの繋がり等々、多岐に渡り会談が行われた。


 「では、ロイシ様頼みました、創造主セクウス様の御加護があらんことを」


 デペカニスとロイシは城を出ると、ウトキの屋敷へ向かった。


 「どれどれ、これか問題の傷は、ふーむ、閉じてはいるが…憎悪の穿通創せんつうそうか…」


 「憎悪の穿通創、それは一体」


 「まあ、まずは見ててみろ」

 

 ロイシがすっと傷口に手を当てると、怒号の様な悲鳴と狂気の叫び声が傷口から瞬く間に溢れ出した。


 「うっ、なんと穢らわしく堕落した陰鬱な声なんだ、ロイシ様、なぜこのようなことがウトキの身に」


 「そうだな、あくまで想像の範疇だが…」


 ロイシ曰く、この憎悪の穿通創は、何百年とかけて練り上げられた怨念がなせる業、何世代もかけて矢尻に呪いをかけたのであろう。それは、恐ろしいほどの執着心であるが、それほどチャンクリイ一族に怨みのある一族の仕業なのであろう…なのだそうだ。


 「それほど執拗な呪いが…、どうしたら、どうすればウトキは助かるのでしょうか」


 しかめ面で、腕を組むロイシ。

 あくまでも目線は下へ向けたまま、一言こう言った。


 「無理だろうな」


 「そんな!!そんなはずはない!!あなたは四聖ロイシだ!創造主セクウス様から神託を受けているはず!絶対に治す術を知っているはずだ!」


 「確かに…無いことはない、しかしそれには大きな代償が伴う、言うも言われぬほど過酷な仕置きだぞ、よいのか」


 「はい、構いません」


 「うむ、そうか…デペカニスよ、すぐ支度するんだ、思うほど時間はないぞ」


 そして、出発の準備は整ったのである。

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