第13話 ハッピバースデー

 「ハッピバースデー!ウトキ!」


 「お誕生日おめでとうございます、ウトキ様」


 「あ、ありがとう、なんだか恥ずかしいな、僕はもう大人なんだから、こんな会開かなくていいのに」


 「ガハハ、なんだ恥ずかしがることはないぞ、寧ろ有り難く思うんだな、俺なんて誕生日会なんてもん一度もしたことないぞ」


 「はいはい、お二人共、今日ぐらいは仲良くしてくださいね、ではでは、ウトキ様目を瞑ってください…」


 「え!なに、なにがあるんだい」


 仰々しいリアクションで、期待を裏切らないウトキ、出来た子である。


 「はいはい、焦らないでください。では両手を出してください…」


 3、2、1


 「うわ、なんだい!重たいけど、どこかで触ったことのある様な感触だ…」

 

 「よし、さすがだなデペカニス、目を開けてみな」


 「こ、これは!お父様の剣だ!ずっと前に無くなったはずなのに、どうして!」


 ウトキは今年で15歳、ラマゴス王国では成人の歳にあたり、人生の節目の年齢になる。

 

 成人した剣士は帯刀を許される、故に成人を迎えた剣士に、剣をプレゼントする事が慣例となっていたのである。


 「ううっ、ありがとう、フラエ、デペカニス、ううっ、ありがとう」


 「ウトキ様、そんなに喜んでいただけるなんて、ううっ、私、私、ううっ」


 「うぉー!!ウトキよー!!なんてお前は純粋なんだ!!ううっ、ゔぉおっ」


 皆で泣いた、なぜか泣いた、嬉し泣きで皆幸せだった。

 

 しかし、なぜだろうか、運命は時に残酷である、三人の仲を引き裂く大事件が、この後起ころうとは、この時誰が想像できただろう…

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