第5話 失墜
どうしても、消えることのない思い出という物語…
二人の心は、一瞬で交差する目線の奥の奥でリンクすると、深い腹の底から甦った純粋な
「うっ、ううっ…」
こんな時、男という生物は、なんともか弱き者である。形容し難い呻き声を上げながら、デペカニスはこの場を逃げるように立ち去った。
(あぁ…なぜ…デペカニス…)
「ねぇ、フラエ?どうしたの?ねぇ?続きは?」
「あっ、は、はいエルマル様、少々お待ちください。わたくし、どうも今日はひどく胸が高鳴っております…お覚悟のほどはよろしいですか?」
こうして、この日、エルマルはいつにも増して、苛められた。
それは、壮絶に絶するほどの仕打ちに次ぐ仕打ち、ひと時の火遊びの範疇をゆうに超えた、地獄の拷問といえる行いであった。
そのためなのか、この日を最後に、エルマルの喜怒哀楽は喜楽喜楽になり、怒と哀は欠落した。
そのエルマルのポジティブ過ぎる性格に、真面目で優しいウトキは真正面から向き合ったことで、正気を遣いすぎた反動のためか、鬱病を発症した。
王国一の剣士である筈の漢は、見るも無惨な引き篭もり剣士になってしまったのである。
こうなると、ラマゴスの政治や治安が不安定になるのが目に見えていた。
そして、この状況を待っていたかの如く、@マカちゃんのBL魔導書がラマゴスの街中にばら撒かれたのである。
想像以上に常軌を逸していた…
その見るに耐えない光景は、語り継がれるべくして起こった聖なる性の大革命、乱痴気騒ぎで応える女共の驚嘆と失望が混合されし人工的不自然な副産物、といえばそう言えるのかもしれない…
ここに、この時の状況を嘆いた、ラマゴス国王『トイフ・ラマゴス14世』の有名な言葉が残っている。
「嗚呼、ラマゴスよ、いったいどこへ向かうのだ…」
トイフは、不落の王都の惨状を嘆いたのであった。
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